ニュース

「成長企業はOSS活用に積極的」、IDC Japanが利用実態調査

OSSの導入状況:2013年調査と2012年調査の比較(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は8日、国内企業におけるオープンソースソフトウェア(OSS)の利用実態に関する調査結果を発表した。2013年11月に、国内の企業および組織を対象としたアンケート調査を実施したもので、自社の情報システムにおけるOSSの導入状況を調査した「1次調査」で1138社、OSS導入企業に対して、より詳細に利用実態を調査した「2次調査」では515社から有効回答を得たという。

 このうち1次調査では、OSSを「本番環境で導入している」と回答した企業は32.0%で、2012年12月に実施した前回調査より6.7ポイント増加している。逆に、「導入する予定は全くない」、あるいは「今後の予定は分からない」と回答した企業は前回より減少した。

 また産業分野別にOSS導入状況を見た場合、「本番環境で導入している」が30%を超えているのは、公共/公益(44.8%)、情報(38.7%)、運輸/サービス(35.8%)の各分野。従業員規模別では、従業員1000人以上の企業において、「本番環境で導入している」が40%を超えたという。

 一方、2次調査においては、「OSSに関する予算を増加している企業」の64.8%で、企業の売上高も増加しているという結果が出たほか、そのうち26.1%の企業で、売上高が10%以上増加しているという。また、IT戦略の中でOSSを積極的に活用していく方針をとっている企業の44.4%において、売上高が増加。その約半数の企業で、売上高が10%以上増加している(ほとんど変わらないは28.3%、減少は21.3%)。

 この調査の結果を受け、IDC Japanは、「OSSの活用に対して積極的な企業は、ビジネスが成長している企業が多いということが分かる。またOSSの予算を削減あるいは最低限使用するがなるべく使用していかないという方針の企業は、いずれも売上高の減少が増加を上回る結果になっている」と指摘した。

 なお、企業の関心が増加しているOSSのRDBMSの利用状況についても調査が行われた。それによると、一般ユーザー企業では、MySQLの無償版(コミュニティ版)の利用率が34.8%と最も高かったが、サービスプロバイダーでは、PostgreSQLが41.5%と最も高くなった。また、利用企業を従業員規模別にみると、従業員1000人以上の企業では、MySQLの商用ライセンス版が39.8%と、最も高くなっている。こうした調査結果から、ユーザー企業の業態や規模などによって、使用されるOSS RDBMSの種類の傾向にも違いが出ているということが分かったとのこと。

 IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏は、今回の調査結果を受け、「これまでOSSは商用ソフトに対するコスト削減手段としての役割が大きかったが、これからは、第3のプラットフォームでの活用など、新たにビジネスやサービスを生み出すための役割が大きくなっていくと考えられる」と指摘。「そのような中で、ユーザー企業は今後のIT戦略の中でOSSの重要性をしっかりと認識し、最適な活用方法を検討していくことが強く求められるようになっていく」と分析している。

石井 一志