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パナソニックが全世界で「panasonic.com」に統一、起死回生のWeb戦略

 パナソニック株式会が世界61の地域で展開する70の商品情報サイトのブランドイメージ統一を図り、全世界で「panasonic.com」にドメインを統一。実現するために、アカマイの「Webエクスペリエンス・ソリューション」を採用した。

 展開する地域ごとに主力製品やマーケティング手法が異なるため、パナソニックの商品情報ページは各国独自のデザインで運用されていた。そのため、地域ごとにWebサイトはのコンテンツ構成やドメインが異なり、全社的に重要な情報を統一して発信する場合に、複数の地域にまたがって調整する必要があるため、実質的には「世界同時発信ができなかった」という。

 2012年、B2C製品戦略の一環として、全世界の売上拡大につながるような横断的マーケティングイニシアチブを推進するため、インターネットを利用したデジタルマーケティングの強化プロジェクトが発足。世界各拠点で個別に作っていたコンテンツの制作プロセス、および配信タイミングを統一し、グローバルで高い水準の情報発信を目指した。その一環として、Webサーバー一極集中するとともに、61あったドメインを「panasonic.com」へ集約。

 世界中で個別に運用されているサイトを統合できるのか、丁々発止の議論は3カ月にもおよんだが、「このままではコンシューマ事業が縮小してしまう」という危機感の下、意思決定。「パナソニックのホームページを統一した戦略上に乗せる。コンテンツを一極で作り、インフラも一極で配信する。コンテンツの品質が上がり、業務スタイルが変わる。その結果、お客さまに喜んでいただき、そして当社の商品を使っていただく。それが我々の喜びです」と語るのは、同プロジェクトを率いたAVCネットワークス社 デジタルマーケティングイノベーションG グループマネージャーの山本雅通氏だ。

 各地に散らばっているサイトを論理的に1つのドメインに集約する。その実現には、グローバルでのレスポンス短縮と、ドメイン名を柔軟に扱えるグローバル規模のCDN(コンテンツ配信ネットワーク)が必要だと判断。他社での導入実績などを重視し、最終的にアカマイのサービスを採用した。

 アカマイには、同一のURLにサブディレクトリとして違うサイトのURLをマッピングできる「Modify Path」という機能がある。「これを利用すれば、世界各地に散在しているコンテンツのうち、地域的な特性の高いものや移行に時間のかかるものを、基盤は分けたまま、1つのドメインに統合できる。このおかげでサイトのグローバル統合を段階的に分けて行うことができた」という。

 ユーザーエクスペリエンスの面でも、「(アカマイを採用したことで)アクセス時間が劇的に改善。例えば、欧州から日本のサイトを表示するには、約3MBのページで13秒くらいかかっていた。さらに北米から日本のサイトを表示する場合も7秒ほどかかっていた。今回、日本にオリジンサーバーを設置して一極集中化を行ったが、アカマイ経由にしたことでいずれの場合も1秒で表示されるようになった」と満足げだ。

 まずは2013年3月に北米からアカマイ化を開始。次いで、アフリカ、中近東、アジアへと着々と進行しており、引き続き、中南米、ロシア、欧州も切り替えていく予定という。