ニュース

富士通、明石のデータセンターで新棟を開設~2つの異なる要件に対応可能

西日本のメインセンターを強化

 富士通株式会社は21日、西日本地区のメインデータセンター「明石システムセンター」において、モジュール型データセンター技術を取り入れた新棟を開設すると発表した。この新棟は設計PUE値1.2以下の環境配慮型データセンターで、同日より運用を開始している。

 明石システムセンターは、西日本におけるメインデータセンターとして1997年に開設しているが、今回の増設ではモジュール型データセンター技術を駆使することで、異なるファシリティ仕様のデータセンターを同一ロケーションに同時展開している。

 そのうち1つ目は、ミッションクリティカルシステムの運用に最適な高スペックデータセンター「免震DC」で、免震構造の3階建てに500ラックを設置(今後1000ラックまで増設予定)した。生体認証、共連れ防止、ラック電気鍵システムなどによる物理セキュリティ設備を備えているほか、長期間の電力途絶時の対応力を強化する目的で、自社の従来設備と比べて5倍の稼働可能時間を持つ、長寿命型非常用自家発電機も導入した。

 2つ目は、品質とコストのバランスのとれた、ディザスタリカバリ(DR:災害対策)用途向けのスタンダードスペックデータセンター「耐震DC」。耐震構造の1階建てで、100ラック×1、60ラック×2を設置。今後は600ラックまでの増設を予定する。こちらも、生体認証、ラック物理鍵管理などによる物理セキュリティを備え、無停電電源装置(UPS)の2重化、免震設備などをオプションとして追加可能だ。

明石システムセンター外観図
免震DC

 なお明石システムセンター新棟では、UPS、空調などにおける高効率設備の導入や熱流体シミュレーションによるサーバー室レイアウト設計など、以前からの環境配慮型データセンターの施策を継承するとともに、外気活用による空調設備の省電力化にも取り組んでいるとのこと。

 具体的には、夏季の補助冷却装置として、データセンター用の空調設備に一般的な電算室用パッケージエアコンを組み合わせ、温暖な地域でも通年の外気冷却を可能とする新たな空調技術を開発・導入した。この技術は、従来の個別設計・個別構築型の空調設備と異なり、データセンターの規模や建物仕様を問わず導入できるので、既存のデータセンターのエネルギー効率を改善する際にも有効という。

 また運用についても、国内外の自社データセンターや顧客企業のオンサイトに配置されたICTインフラの構成情報、稼働状況、インシデント情報、キャパシティ状況を一元管理できる運用マネジメント体制を整備。グローバルに展開したシステムの状況も、24時間365日リアルタイムの把握が可能としている。

石井 一志