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慶大が「データビジネス創造・ラボ」創設、データサイエンティスト育成へ

 慶應義塾大学SFC研究所は19日、アクセンチュア株式会社および株式会社ブレインパッドの協力の下、データサイエンティスト育成カリキュラムの構築、ならびに先進的なビッグデータの集計・解析手法などに関する共同研究を行う「データビジネス創造・ラボ」を創設したと発表した。

 ビッグデータを統計手法によって分析し意思決定を行うことが、企業の競争力を左右する要因となってきている。政府でも公共データの民間開放(オープンデータ)に関して、2013年6月に第2次安倍内閣の新たなIT戦略として「世界最先端IT国家創造宣言」が閣議決定。行政が保有する地理空間情報、防災・減災情報、調達情報、統計情報などの公共データを2次利用可能な形態で民間に開放することが宣言されるなど、ビッグデータを活用した新たなビジネスや官民協働によるイノベーションの創出が見込まれている。

 一方でデータサイエンティストの不足が懸念されており、産学連携の「データサイエンティスト協会」が2013年7月に設立されるなど、現在育成の基盤形成が取り組まれている。

 このような社会背景の下、データビジネス創造・ラボでは、「IT、アナリティクス、デザインの融合方法の研究」を主題に、以下の研究を実施していく。

【IT、アナリティクス、デザインの融合方法の研究】
・各種データの収集に向けたあるべき情報システムの研究
・データ処理方法などのアーキテクチャ構築の研究
・データ分析手法の研究
・データを組織戦略に活用できる人材の研究

【人材教育】
・データサイエンティストの育成
・教育カリキュラムの立案

【ケーススタディ執筆】
・非営利・営利組織の事例調査、およびケースの作成

 データサイエンティスト協会が業界団体として、「新しい職種であるデータサインティストに必要なスキル・知識を定義し、育成のカリキュラム作成、評価制度の構築、啓蒙活動を行う。また、所属を超えてデータ分析にかかわる人材が開かれた環境で交流や議論をし、自由に情報共有や意見発信ができる場を提供する」ことを目的とし、幅広い活動を行うのに対し、今回のデータビジネス創造・ラボは慶大が主体となり、同大学で実際に採用するカリキュラムの構築を目指す、より具体的な活動となる。

 アクセンチュアは、世界中で1万6000名を超えるアナリティクスの専門家による2000件ものアナリティクス関連ビジネスで培った専門知識や経験を共有し、ブレインパッドは創業以来、大手企業にサービスを提供し培った、主にマーケティング領域における豊富な分析・データ活用の知見・経験を共有。慶大に対して、データサイエンティスト育成カリキュラムの構築支援、構築されたカリキュラムに基づいた両社データサイエンティストによる講義を行う。こうしたビッグデータの集計・解析手法に関する共同研究の成果を広く公開していく方針。

川島 弘之