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「5年前のDellとは違う、包括的なソリューションを提供できる」~米Dellがエンタープライズ戦略を説明

米Dell Dellエンタープライズ・ソリューション・グループ担当プレジデントのマリウス・ハース氏

 米Dellでエンタープライズ部門を統括する、Dellエンタープライズ・ソリューション・グループ担当プレジデントのマリウス・ハース(Marius Haas)氏が来日。これを受けてデル株式会社は21日、同社のエンタープライズ戦略について報道陣に説明した。

 ハース氏は、Dellの企業向けソリューションにおける設計、開発、マーケティングを担当する人物。今回はまた、米Dell アジア太平洋地域/日本 コンシューマビジネス部門エンタープライズ・ソリューション事業統括バイスプレジデントのフィリップ・デイビス氏が同席し、日本を含むアジア太平洋地域の、エンタープライズビジネスへの取り組みについても説明した。

 ハース氏は、「ここ数年で160億ドルを投資することで、多くの企業を買収してきた。これにより、統合型ソリューションを投入することができ、企業の変革を支援できる体制が整った。5年前のDellとは違うということが理解してもらえるだろう。Dellは、過去のビジネスモデルにしがみついているわけではない」と主張。

 「最新の四半期決算は、エンタープライズ事業は、前年同期比8%増、前四半期比で7%増。勢いがついている。競合に比べてもいい結果が出ており、サーバーは2けた成長を達成。マーケットシェアも高まっているはずであり、北南米およびアジアではナンバーワンシェア。全世界でも数千台の差でトップに肉薄している。Density Optimization(高密度)サーバー分野における取り組みが成果となっている」と現状について語った。

 また、「四半期決算では、ネットワークは19%増となり、全世界で第3位。ストレージは、出荷済みの総容量ではDellがナンバーワンとなり、このビジネスにも弾みがついている。ストレージでは、オールフラッシュ型ストレージアレイを、EMCの4分の1、5分の1の価格で投入する一方で、ローエンドのストレージも強化。ハイ・ロー・ストラテジーを展開することで、幅広い階層の製品群を提供できる」などとした。

 さらに、同社のエンタープライズ戦略が、「Transform」「Connect」「Inform」「Protect」の4つの観点から、ユーザーの課題解決に貢献していることを強調。「Dellは、サーバー、ネットワーク、ストレージ、アプリケーションまでの包括的なエンタープライズ・ソリューションを提供しており、日本でも今年7月からActive Infrastructureを開始した。Dellだけがオープンな環境を提供しており、IBMやHPの垂直統合製品はオープンだとは思っていない」との考え方を示す。

 さらに「Dellは、モジュラー型プラットフォームの提案によって、さまざまな要件に柔軟に対応できる。顧客の資産を生かすことにも長けているのもDellの特徴である。こうした取り組みが高い評価を得ている。顧客が、どこに課題を持っているのかということを、最も知っているのがDellである」などと述べた。

 日本市場に関しては、「日本の顧客に対してソリューションを提供していくための投資は今後も惜しまない。パートナーとのエコシステムにも投資をしていきたい」と語った。

包括的なエンタープライズソリューションを提供できるのが、Dellの強みだという
最適化されたビジネスとITソリューションを提供する

 日本におけるエンタープライズ戦略に関しては、デル日本法人 エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作執行役員が説明した。

 日本におけるユーザー事例として、日本最大規模の医療グループである一般社団法人徳州会が、デルのサーバーであるPower Edge R720xdおよびR620、ストレージ製品であるPowerVault MD1220、MD3220、MD3600を活用し、遠隔地バックアップシステムを構築したことを紹介。「ビジネスの継続性は、医療機関においても重要な課題となっている。この導入事例は、日本の医療分野における大規模な導入事例としても特徴的なものであり、47病院の電子カルテのバックアップをリアルタイムで行うことができる」(町田執行役員)と語った。

徳州会の事例
デル 執行役員 エンタープライズ・ソリューション統括本部長の町田栄作氏

パートナー戦略は今後も重要な位置を占める

 さらに、パートナー戦略について言及。「従来は、直販と販売パートナーが競合する体制となっていたのも事実。マーケット全体のなかでどう展開すれば、Dellが成長するのかといったことを考えるような体制とし、その戦略をひとつのマネジメントチームが推進している。今後は、直販とパートナーが競合するような状況は最も避けたい」(ハース氏)との考え方を示す。

 またデイビス氏は、「ここ2、3年、日本のチャネルパートナーに対する投資を加速してきた経緯がある。日本を含む、アジア太平洋地域においては、チャネル向けのプログラムがうまく進ちょくしており、パートナー販売比率は38%に達している。日本ではさらに比率が高く、今後もチャネル向け販売は比率は増加していくことになるだろう。日本においては、今後2~4年は、パートナー販売が早く成長していくことになるだろう。付加価値を提供する意味でもパートナー販売は重要である」と述べ、パートナーとの関係を今後も継続していくとした。

 これについては、町田執行役員も「日本におけるイコールロジックの販売では、パートナー販売比率が50%を占めている。買収した製品を日本で展開していくという点でも、パートナー販売は重要である」と強調していた。

米Dell アジア太平洋地域/日本 コンシューマビジネス部門エンタープライズ・ソリューション事業統括バイスプレジデントのフィリップ・デイビス氏

大河原 克行