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埼玉県、職員約1万3000名が利用する仮想基盤を構築

約400施設を結ぶ大規模な県庁LANも

 ネットワンシステムズ株式会社(以下、ネットワン)は7日、埼玉県の職員約1万3000名が利用する情報系システムの先進仮想基盤、および約400施設を接続する県全域の大規模な共通高速ネットワーク基盤(以下、県庁LAN)を構築したと発表した。これらの情報基盤は2013年2月より本稼働している。

 今回構築した仮想基盤では、約1万3000名の職員が利用する大規模なメールシステム、アカウント管理、DNS、ウイルス対策、ファイルサーバーなどの情報系システムが稼働している。また、これらシステムを利用する県庁LANは、本庁舎、地方・合同庁舎、単独庁舎、県立学校など約400施設を結んでおり、県民サービスや職員の事務を支える税務システム、土木積算システム、財務会計システムなどの約100個の業務系システムが接続されている。

構成概要図

 構築にあたって埼玉県が要望したのは、主に「物理サーバー群の集約」「耐障害性の向上」「運用体制の改善」の3点。物理サーバー群の集約については「VMware vSphere 5」で仮想環境を構築することで、従来の物理サーバー約30台を15台へと約50%削減。仮想マシンデータおよびファイルサーバー用の共有ストレージには「EMC VNX 5700」を採用した。これは最大500ドライブ搭載できる上位版のユニファイドストレージ製品。

 耐障害性を高める仕組みとして、サーバーには「Cisco UCS Bシリーズ ブレードサーバ」を採用。サーバーに障害が発生した際には、Cisco UCS特有の機能である、サーバーの設定情報をまとめたサービスプロファイルを予備のブレードサーバーに割り当てる機能で、迅速なサービス復旧を可能としている。また、データバックアップのために重複除外機能を備えた「EMC DataDomain DD640」を採用した。

 運用面では、ITIL V3のベストプラクティスに基づき、約半年にわたって埼玉県と情報交換を実施。その結果、運用業務を可視化するとともに、改善を容易にする運用体制を構築した。ここで定型化された業務(障害監視・セキュリティ監視・ヘルプデスク業務)は、ネットワンの遠隔運用監視サービスを活用することで運用コストを削減している。

 埼玉県は「特定技術に依存しないオープンな環境にすることができた。通信速度が向上したことで、将来的な仮想デスクトップ環境も視野に入れながら議論している。また今回の仮想環境を生かした形で、災害時の事業継続についても検討したい」としている。

川島 弘之