もうテープ装置はいらない? エントリー向け重複排除アプライアンス「Data Domain DD160」~EMCジャパン


 EMCジャパン株式会社は7日、バックアップ向けの重複排除アプライアンス「Data Domainシリーズ」のラインアップに、エントリーモデル「Data Domain DD160」を追加すると発表した。価格は105万円から。また、中規模向けのラインアップを刷新し、「Data Domain DD620」「同 DD640」を提供する。


Data Domain DD160Data Domain DD620/DD640

 

テープオートローダーの置き換えを狙うDD160

米EMC バックアップ・リカバリ・システムズ部門 CTOのウインザー・スー氏
DD160の特徴

 DD160は、小規模データセンターやリモートオフィスなどに向けた、重複排除アプライアンス。従来のData Domain製品と同様、アーカイブ、バックアップ用途において、インラインでの重複排除機能を提供できる。

 ラインアップとしては従来製品「Data Domain DD140」の後継にあたり、有効容量は1.6~3.98TB、論理容量は40~195TBと、大幅な容量の向上を果たしている。速度も最大667GB/時(高速化オプションのDD Boost適用時で1.1TB/時)へと高速化されているため、4TBのデータでも4時間かからずにバックアップ可能だ。

 また、これまでのData Domainのソフトもすべてサポートしており、「本当の意味での、エンタープライズクラスのエントリーモデルを提供できる。価格面でも、米国での価格を参考にするとGBあたり77%のコスト削減を実現している」(米EMC バックアップ・リカバリ・システムズ部門 CTOのウインザー・スー氏)という。

 さらに、FCインターフェイスに非対応で、RAID 5しかサポートしていなかったDD140と違い、DD160は4Gbps FC(オプション)やRAID 6をサポートしているのも、大きな特徴。EMCジャパン BRS事業本部の河野通明本部長は、「RAID 5のみのDD140は、日本企業の厳しい要件には適合していなかったため、あまり販売してこなかった。そういう意味では、エントリー製品として初めて、強力な武器を得たといえる」と、DD160に対して大きな期待を示す。

 具体的な販売ターゲットとしては、「日本では特に、(小型)テープオートローダーのリプレースに注力する」(河野本部長)とのこと。バックアップ市場におけるテープ装置への需要は、少なくなったといわれながらも、中小規模では価格容量比の面などから、まだまだテープに対しても根強い需要があり、河野本部長が引用したIDC Japanのデータを見ても、まだ6000台以上が毎年出荷されるとの予測がなされている。EMCジャパンではこの市場を、コストパフォーマンスが向上したDD160によって狙いたい考えで、同本部長は、「LTO5の8巻オートローダーで、1カ月の保持期間を設定しているお客さまであれば、1台のDD160で置き換えられる。こうした領域で、テープを駆逐する戦略を立てたい」と話した。

 また、リモートオフィス環境での小規模システムデータ向けバックアップストレージとしても十分に適応可能であるし、レプリケーション機能を標準で備えていることから、WAN経由でのDR対策にも活用可能。従来のDD600シリーズでは、価格面で満足できなかったところにも適用可能なため、これまであきらめられてきた小規模テープ環境でも、重複排除ストレージを導入し、バックアップ/リストア作業を効率化できるとしている。

 販売については、既存のData Domainの販売パートナーとも進める一方、SMBのバックアップ市場に対して強みを持つディストリビュータとも連携し、プロモーションを進める考えで、「各パートナーの“色”を出しながら販売を進めていただく予定。『Tape撲滅キャンペーン』といった刺激的なキャンペーンを進められる予定のパートナーもいるし、二次店向けのポイントプログラムも用意する」(河野本部長)とのことだ。

 価格は105万円から。河野本部長は、「DD160では、初年度1000台の販売を目指す。これは、過去すべてのData Domain製品の販売台数において、2割~3割に近い台数。非常にアグレッシブな目標を立てている」と話している。


小型テープオートローダーの置き換えを狙うEMCジャパン BRS事業本部の河野通明本部長

 

ミッドレンジ市場向けのDD620/DD640

米EMC バックアップ・リカバリ・システムズ部門 ビジネス開発担当 シニア・ディレクタのロッド・マシューズ氏

 一方、DD620とDD640はミッドレンジ向けの「Data Domain DD610」「同 630」を置き換える製品。基本機能は従来製品を踏襲するが、いずれもバックアップ速度、最大容量などが大きく向上している。

 DD620は最大速度が1.1TB/時(DD Boost使用時は2.4TB/時)、有効容量が最大8.3TB、論理容量が83~415TB。DD640は、最大速度が2.3TB/時(同 3.5TB/時)、有効容量が最大32TB、論理容量は0.32~1.6PBとなる。なおDD640の有効容量、論理容量の最大値は、オプションの拡張筐体を接続した場合の数字で、「ミッドレンジ向けに、ハイエンドと同じような機能を初めて搭載したものだ」(スー氏)とした。

 なおEMCでは、「バックアップソフトの3倍の速度で、ソフトとハードを組み合わせた統合型のソリューションが成長している」(EMC バックアップ・リカバリ・システムズ部門 ビジネス開発担当 シニア・ディレクタのロッド・マシューズ氏)とのデータを提示。さらに、「当社は、(このようなニーズの高い)バックアップ市場においてソフトとハードを統合した市場作りに注力していく。お客さまは従来型バックアップシステムから次世代への移行の最中であるが、お客さまがどのステップであっても、多様なソリューションにより、当社のバックアップ・リカバリ・システムズ部門は支援をしていける」と述べ、バックアップ市場でのさらなる顧客獲得に自信を示していた。


バックアップシステムがどの段階であっても、EMCは支援していけるというData Domain製品のアップデート
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