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キヤノンソフト、クラウド開発基盤「Web Aviator」で本番環境の移行が可能に
AWS・他クラウド・オンプレミス間の稼働ポータビリティを実現
(2013/8/6 10:00)
キヤノンソフトウェア株式会社(キヤノンソフト)は8月6日、クラウド上でのアプリケーション開発基盤の最新版「Web Aviator(ウェブアビエーター) v1.3」を発表した。v1.3では従来のAWSに加え、クラウド・オンプレミス間の稼働ポータビリティを実現している。年間ライセンスは10ユーザーで年間18万円(税別)から。8月20日より順次提供を開始する。なお、開発環境のみの試用ライセンスは3カ月まで無料で利用できる。
「Web Aviator」はアプリケーションの開発・管理をクラウド上で行えるクラウド開発基盤で、自社で開発したGUI搭載の開発ツールをAWSクラウド上で提供する。AWS採用により即時性ある環境構築ができることに加えて、開発はGUIでフォームやロジック、データアクセスなどを定義して、テスト実行エンジンで一部だけの実行もできるため、低コストかつスピーディな開発が可能だという。開発環境はAWS上にあるため、Webブラウザがあれば開発が行える。
開発したアプリケーションはマルチデバイス・マルチブラウザ対応で、デバイス自動判別表示機能を備える。PC、タブレット、スマートフォン用の3種のフォームを定義しており、アクセスしたデバイスに応じて最適なフォームを適用。さらに画面サイズ自動調整機能によって、デバイスの画面サイズにぴったり合わせた表示が行える。
従来の「Web Aviator」では、開発も本番環境もAWSのみがサポートされていたが、v1.3では新たに、各社のパブリッククラウド、プライベートクラウド、オンプレミスで稼働する実行エンジンを提供。本番環境を他のパブリッククラウドやプライベートクラウド上で稼働させることができるほか、オンプレミスでも稼働可能となった。
AWS以外のクラウドおよびオンプレミスに配備する場合のWeb Aviator v1.3稼働環境は、OSはRed Hat Enterprise Linux Server 6、Windows Server 2008 R2(10月提供予定)、CentOS 6に対応。データベースはMySQL 5.5、WebサーバーはApache 2.2、APサーバーはTomcat 7.0に対応する。
具体的には、以前からのAWSのほか、キヤノンMJのクラウドサービス基盤「SOLTAGE」、Windows Azure、Google、Windows Azure、NTT ComのBIZホスティング、ニフティクラウド、Salesforce、IBMのSCE、富士通のIaaSサービスなどのパブリッククラウドに対応可能だ。
v1.3の本番環境の対応拡大により、AWS上のWebアプリケーションのほか、パブリッククラウド上のB2Bアプリケーション、プライベートクラウドやオンプレミスで稼働する企業の基幹システムなど、さまざまなアプリケーション開発の分野において、「Web Aviator」が利用できる。
なお、開発環境については従来通りAWSのみの対応となる。
ポータビリティも担保されており、当初オンプレミスを選択しても、その後AWSやその他のクラウドへの移行が可能。クラウドからオンプレミスへの移行も可能となっている。オンプレミスで構築し、BCPやDRなどで将来的にクラウドへの移行を考えているケースや、バックアップとしてクラウドも併用したいケースなど柔軟に本番環境を選択できる。
Web Aviator v1.3 ライセンス体系は、開発環境のみの3カ月間無料試用ライセンス「Sライセンス」と、検証・実行環境までを含む有料の「Fライセンス」があり、有料の「Fライセンス」は年間利用ライセンスと一括ライセンスが選択できる。一括ライセンスはオンプレミスに対応したことで今回新設したプランとなる。
年間利用ライセンスは10ユーザー18万円から。一括ライセンスは50ユーザーで216万円、年間保守料金が別途21万6000円(価格はいずれも税別)。
キヤノンソフトでは、キヤノンMJのパートナー企業をはじめとしたSIベンダーを中心に拡販していく考えで、幅広い開発現場で利用しやすくするため、10月には独自のJavaライブラリを配置してサーバーサイドの機能拡張性を高め、開発操作性の向上を図るとしている。オンプレミスでも利用可能となったことでSIベンダーを中心に幅広く拡販し、2015年までに個別の受注開発部分も含めて売上10億円を目指す。