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CA、日本市場への中期経営戦略~ITインフラ強靱化を支援する「縁の下の力持ち」に

CA Technologies 代表取締役社長の内藤眞氏

 CA Technologiesは6月26日、日本市場に向けた中期経営戦略について記者説明会を行った。日本市場の現状と今後に対する方向性を示唆し、中期5カ年計画の具体的戦略として、「注力分野に向けた製品・ソリューションの投入」、「顧客満足度の向上」、「パートナー・ビジネスの拡大」、そして「社員・地域への取り組み」を強化する方針を明らかにした。

 CA Technologies 代表取締役社長の内藤眞氏は、「当社では、ワールドワイドでの企業ビジョンとして、『プライベート、ハイブリッド、パブリック・クラウド環境とアプリケーションを管理し、セキュリティを保つ包括的なプラットフォームを提供するマーケット・リーダーであり続ける』ことを掲げている。これを受けて、今回、日本市場における中期経営戦略では、日本IT産業の『縁の下の力持ち』として日本のITインフラの強靭化を支援していくことをビジョンに掲げた」と、中期経営戦略を展開する狙いを説明。

 「昨今、仮想環境やクラウドの進展によって、IT環境が極めて複雑化しており、従来の『維持管理するIT』から『ビジネスに革命をもたらすIT』が求められるようになってきている。また、モバイル化、ソーシャルメディアやクラウドへの対応、新サービスの創出など、ITを取り巻く市場環境も大きく変化している。こうした市場環境を踏まえ、当社では、メインフレームから仮想環境、クラウドまで、すべてのIT環境を包括的にサポートし、優れたIT製品やサービスを提供することで、日本経済の成長と社会の活性化に貢献していく」(内藤氏)との考えを述べた。

日本市場における中期経営戦略の見通し

 「中期経営戦略の見通しとしては、今年度はソリューションの営業力やマーケティング戦略をベースに、事業基盤を固め、品質向上、経営体質の強化を図る。1~2年後には、パートナービジネスをさらに伸長し、公共事業、医療、教育分野などの新市場を拡大していく。そして、5年後に、日本のITインフラの強靭化を支援する企業になることを目指す。個人的には、この目標を3年後には達成したいと考えている」と、内藤氏は、中期経営戦略の早期での目標達成に意欲を見せた。

 中期経営戦略に向けた具体的な施策としては、(1)注力分野に向けた製品・ソリューションの投入、(2)顧客満足度の向上、(3)パートナー・ビジネスの拡大、(4)社員・地域への取り組み――の4点にフォーカスして展開していく。

CA Technologiesの新たな注力分野

 まず、「注力分野に向けた製品・ソリューションの投入」では、同社の“宝の山”であるM&Aおよび自社開発による製品やソリューションを順次、日本市場に投入していく。今後、APIの管理とセキュリティを提供する「Layer 7」、アプリケーション開発を支援するサービス仮想化ソリューション「CA LISA」の最新版、継続的アプリケーション・デリバリにより企業のDevOpsを進展させる「Nolio」、戦略的なIT投資管理を実行できるiPadアプリ「CA Clarity Playbook」、IT統合モニタリング・ソリューション「CA Nimsoft Monitor」など、日本のITインフラを支える最先端の技術を用いた新たな製品群を積極的に投入していく予定。

 「顧客満足度の向上」では、市場やニーズの変化に合わせた品質向上を行い、日本の品質基準を満たす製品を提供する。テクニカル・サポートやローカリゼーションを行う「ジャパン・テクノロジ・センタ(JTC)」では、カスタマ・サクセス・アドボケイトを導入し、顧客のビジネス成功に向けて、より強化したカスタマーサポートを提供していく。「また、製品分野ごとに担当者を置き、商品企画機能(プロダクト・マネジメント)を強化する。顧客の声を製品開発に取り入れ、日本市場のニーズに合った製品を展開していく」(内藤氏)という。

 「パートナー・ビジネスの拡大」については、システムインテグレータやMSP、OEM、コンサルティングなど、多角的なパートナーシップを拡大し、新規パートナー企業の拡大を図る。既存のパートナー企業に関しては、パートナー・トレーニングや共同マーケティングといったパートナープログラムを増強して提供する。また、パートナー企業とのリレーション構築の機会として、日本およびアジアパシフィック&ジャパン地域で「CA Technologies Partner Exchange(CAPE)」を開催する。「CAPE」では、パートナー企業との相互の情報交換と信頼関係づくりによって、パートナー企業とCA Technologiesのビジネス発展だけでなく、日本のIT作業全体の活性化を促進することを目指す。

 「社員・地域への取り組み」では、まず社員への取り組みとして、「外部から優秀な人材を採用する『Attract』、社内の人材を育成する『Develop』、優秀な人材を社内に引き留める『Retain』の3点に重点を置いた人事制度を提供する。とくに、社内の人材育成では、キャリアプログラムとして『Talent Development Program』を導入し、デベロップメントニーズに合わせた3つの育成プログラムにより、将来のリーダーへのパイプラインを創っていく」(内藤氏)としている。

 一方、地域への取り組みとしては、CSR活動「花がれき」支援プロジェクトを2012年から実施。東日本大震災の被災地で地元の高校美術部員によって描かれた作品「花がれき」をデジタル・アーカイブ化するなど、地域社会への貢献を行っていく。今後は、ITに関する講習を行い、地元学生のITスキル向上を支援していく予定。

唐沢 正和