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NEC、特定業務・業種向けに最適化したソフト/ハードの統合製品「NEC Solution Platforms」

 日本電気株式会社(以下、NEC)は3日、特定の業務・業種に必要なシステム基盤を提供するソリューション型プラットフォーム製品群「NEC Solution Platforms」を発表した。「これまでのSIの知見に基づき、利用システム環境の最適化、サイジング、各種パラメータ設定情報などをあらかじめ盛り込んだ推奨構成を提供することで、お客さま先での構築・運用リスクを削減。導入期間を最大60%、導入コストを最大40%、それぞれ削減できる」(システムプラットフォームビジネスユニット 執行役員の福田公彦氏)点が特徴。第1弾として、3種10モデルを6月より順次出荷開始する。

NEC Solution Platforms
NEC Solution Platformsの特徴

オープン性と広い適用領域が他社にない特徴

 NEC Solution Platformsは、サーバー、ストレージといったハードウェアと、ソフトウェア、ネットワークなどを統合して提供するソリューション群。NECの知見に基づくノウハウが盛り込まれており、システムプラットフォームビジネスユニット 執行役員常務の庄司信一氏は「長年にわたる当社のシステムプラットフォームの総決算。レディメイド型での提供により、構築期間や導入コストを半減するとともに、高い信頼性を備えている」と、これを紹介した。

 もっとも近年では、日本オラクルのExadataをはじめとするエンジニアド・システムや、PureSystemsの製品名で提供されている日本IBMのエキスパート・インテグレーテッド・システムなど、こうした統合製品がいくつも提供されるようになっているので、それらとの違いをきちんと打ち出す必要があるのは、言うまでもない。庄司執行役員常務はこの点について、「囲い込みではないオープン性」「広い適用領域」の2つを他社製品との違いとして挙げた。

 NEC Solution Platformsでは、NEC独自の技術も盛り込まれているのはもちろんだが、オープン製品も積極的に取り込んでいるため、「当社のシステム構築の知見を元に、パートナーの技術や汎用製品を積極的に取り込んでいける」(庄司執行役員常務)点を特徴としている。このため、国内約550社の販売パートナーと協業し、例えばパートナーが持つ業務パッケージなどを取り込んでソリューション化することも可能なのだという。

 またNECの強みであるPBX市場に向けて、ネットワークとITの融合製品を当初提供するラインアップにも加え、コミュニケーション領域への適用も狙っていく考え。こうした取り組みにより、IT領域だけをターゲットとしている一般的な統合製品のカバー範囲を超え、さまざまな領域への適合が可能になる点も、NECならではの強みとしてアピールしていくとした。

システムプラットフォームビジネスユニット 執行役員常務の庄司信一氏
他社の統合型製品よりも広い範囲をカバーできる

第1弾は3種10製品をラインアップ

 具体的な製品体系としては、データ蓄積/解析基盤の「Data Platform Suite」、業種/業務アプリケーション基盤の「Application Platform Suite」、クラウドサービス基盤の「Cloud Platform Suite」と、大きく3つに分かれる。

 まずData Platform Suiteでは、すでに販売されている、Netezza(現・IBM)の技術を用いた超高速データ分析プラットフォーム「InfoFrame DWH Appliance」に加えて、Oracle Databaseの構築ノウハウとNEC独自の高可用技術を統合した「Data Platform for Oracle Database」をラインアップした。

 特にData Platform for Oracle Databaseは、NECが持つ「国内有数のOracleに対する知見」(福田執行役員)に基づき、システム環境の最適化、データベースのチューニングなどを行っている点が強み。チューニングを行っていない場合と比べ、トランザクション性能を10倍以上に引き上げられるほか、プラットフォーム構築期間も約50%短縮できるとしている。

 価格は、2ソケットサーバーのシングルノードを利用する、Data Platform for Oracle Databaseの最小構成で1480万円(税別)から。出荷開始は6月28日を予定する。InfoFrame DWH Applianceは5300万円(税別)から。

Data Platform for Oracle Database

 2つ目のApplication Platform Suiteでは、ネットワークのノウハウをベースにしたホテル業向けの「UNIVERGE ホテル業務基盤」「UNIVERGE 客室タブレットソリューションパック」と、コラボレーション環境を最適化する「コラボレーション基盤」、多くの実績があるシンクライアント導入のノウハウを生かした「シンクライアント基盤」を用意。さらに、パートナーの業務・業種向けパッケージを組み込む基盤として「Application Platform for Partners」を提供する。

 このうち「UNIVERGE ホテル業務基盤」は、PBXとITをワンパッケージ化しているため、ホテルシステムの統合化/効率化を実現できるとのこと。庄司執行役員常務は、「PBXはIT化が進んでいる一方で、販売店によっては、ネットワークには慣れていてもITのノウハウがないといったところもある。この製品を利用すれば、そういった販売店でもソリューションが売りやすくなるだろう」と述べ、NECの強みを生かすことで他社の統合型製品との差別化が可能になったという点を強調した。

 価格は、「UNIVERGE ホテル業務基盤」が1500万円(税別)から、「UNIVERGE 客室タブレットソリューションパック」が900万円(税別)から。出荷はいずれも9月から開始する予定で、「UNIVERGE ホテル業務基盤」はまず北米から販売を行う計画である。

「UNIVERGE ホテル業務基盤」と「UNIVERGE 客室タブレットソリューションパック」
「シンクライアント基盤」

 3つ目のCloud Platform Suiteは、すでに提供されているITネットワーク統合パッケージ「Cloud Platform Suite」を強化したもの。対応OSの拡充や設定項目の拡大などを行っており、ラインアップには従来同様、導入の容易さを重視した中堅企業向け「スタンダードパッケージ」、大企業や官公庁でのプライベートクラウド構築に最適な製品をそろえた「エンタープライズパッケージ」、大規模なクラウド基盤の構築に適した「データセンターパッケージ」を用意している。

 価格は、エンタープライズパッケージの場合で3900万円(税別)から。最新版は、7月の出荷開始を予定している。

Cloud Platform Suite

 さらにNECは今回、これらの運用を支えるサポートとして、ハードウェア・OS・アプリケーションをワンストップで対応する「NEC Solution Platformsサポート」を新たに製品化。通報サービスやバックアップサービスなどのメニューも順次拡充する。また、保守履歴や機器構成をユーザー企業ごとに確認できる、統合サポートホームページも10月に開設する予定とした。

 なおNECでは今後、開発中の次期ハイエンドXeonサーバーと、Microsoftのインメモリデータベースエンジン(開発コード名:Hekaton)を搭載するData Platform Suiteの新モデルや、「コラボレーション基盤」のラインアップ拡充などを行う計画で、ラインアップ強化を継続して実施していく考えである。

 「迅速な経営で新しい市場を創造しようという経営者からすると、プラットフォームの選定やチューニングなどに時間がかかるのは大きな問題になっているし、当社のSEもそこに多くの時間を割かれてしまっている。プラットフォームにかかる手間暇を軽減し、IT部門をアプリケーション方面にシフトさせて、少しでも早く仕上げられるようにするのが望まれていることで、そこにNEC Solution Platformsで応えていく。3年間で500億円の販売を目標に、ビジネスを進めていきたい」(庄司執行役員常務)。

(石井 一志)