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マイクロソフト、タブレット「Surface RT」を3月15日発売
32GBモデルが4万9800円から
(2013/3/1 17:29)
日本マイクロソフトは、同社ブランドのタブレットPC「Surface」を、3月15日から発売する。
今回発売するのは、Windows RT版。Windows 8 Pro搭載版は「時期が来たときにお話ししたい」(日本マイクロソフトの樋口泰行社長)としており、今後販売を検討していくことになる。
Surfaceの価格は、32GB版が4万9800円、64GB版が5万7800円。また、32GB版とTouch Coverのセットが5万7800円、64GBとTouch Coverのセットが6万5800円となっている。
ビックカメラ、コジマ、ソフマップ、ヤマダ電機、ベスト電器、ヨドバシカメラの約1000店舗の店頭および、日本マイクロソフトの直販サイトであるMiicrosoft Storeを通じて販売する。
Surfaceは、同社初のPCハードウェア製品であり、2012年10月26日のWindows 8発売にあわせて、Windows RT搭載版を、米国、カナダ、英国、ドイツ、フランス、中国、香港、オーストラリアの8カ国で発売。1月22日には、スペイン、イタリア、オーストリア、ノルウェー、ポルトガルなど欧州13カ国でも販売を開始し、これまでに21カ国で販売を行ってきた。今後、日本のほかにも、メキシコ、ニュージーランド、ロシア、シンガポール、台湾で発売される。
また、2月9日には、Windows 8 Pro搭載版を米国およびカナダの2カ国に限定して販売している。
日本においては、2月25日から、都内などにおいて、Surfaceのティザー広告の掲示を開始。同社サイトでもSurface発売を予告する内容を掲示していた。
Surfaceは、10.6型のClearType HDディスプレイを採用。NVIDIA Tegra 3モバイルプロセサ クアッドコアを搭載しており、最大8時間のバッテリー駆動が可能となっている。
筐体サイズは、約275×172×9mm。重量は約675g。質量がアルミニウムの3分の1となるVaporMg(ベイパーマグ)を採用することで強度と軽量化を実現。付属のキックスタンドにより、動画などを楽しめる角度に立てて利用できるほか、オプションのTouch CoverやType Coverを接続することで、画面保護とキーボード利用ができるようになる。
Touch Coverはブラック、ホワイト、シアンブルーの3種類を用意。価格は9980円。キートップに日本語を表示したモデルも用意される。発売は、3月15日の予定。また、TypeCoverは1万980円。カラーはブラックを用意。こちらは近日発売予定となっている。
同社では、発売にあわせて、Surfaceのロゴが入ったウェッジタッチマウスを900人のプレゼントするほか、店頭での購入者全員を対象に、日本経済新聞電子版有料サービスの10日間無料チケットを配布する。
日本マイクロソフトの樋口泰行社長は、「Surfaceは、非常によくできた製品であり、お客様やパートナーからは、いつになったら販売するのか、という声があがっていた製品。競争力を持った価格帯の製品として、自信をもって国内市場に投入できる」と前置きし、「これまでマイクロソフトはソフトウェアを開発し、ハードウェアはOEMパートナーが生産するという仕組みとなっていた。しかし、ハードとソフトを一緒にまとめ上げるスピード感が求められ、それをやる必要性が出てきた。これは競合環境上のものである。パートナーと一緒にやっていくことは、これからも変わらないが、Windows PCの環境を一緒に盛り上げていくという点で、日本マイクロソフトからも1機種投入することになった。Windows 以外のタブレットを購入したユーザーの半数が、タブレットは、これぐらいのことしかできないのかという不満を持っている。Surfaceは、タブレットとして使え、これまでのPCのようにも使える。しかも、Word、Excel、PowerPoint、OneNoteが最初から使用できる。比較にならないほど高いバリューがある」などとした。
さらに、「春商戦に向けて投入したのは、この時期に新入学、進学、新入社員のといった、新たなことに対するマインドが高まる時期であり、それにあわせてWindows 8の勢いも盛り上げていきたいと考えたため。春商戦は、SurfaceとWindows 8とをあわせて、過去最大規模のマーケティング投資を行って盛り上げていく」と語ったほか、日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ リテールビジネス統括本部長の横井伸好執行役は、「Windows RT用のアプリケーションが出揃うタイミングを待っていたこと、2月に新たなOfficeを発売したタイミングであり、その点でも、日本のお客様に提供しやすい環境が整った。春商戦という最大の商戦に間に合わせることができた。Windows RTは、タブレットに最も適したOSである。それでいて、PCのような利用もできるのが特徴である」などと語った。
なお、販売目標については「公表できない」(樋口社長)とした。
キャッチフレーズは「ハマる、タブレット。」
Surfaceは、「ハマる、タブレット。」のキャッチフレーズで展開。「キーボードがカチっとハマる、そして、Surfaceの魅力にハマってしまうということを意味した。個人ユーザーにも、ビジネス用途で活用したいというユーザーにも使ってもらえるものにしたい」(日本マイクロソフト コンシューマー&パートナーグループ リテールビジネス統括本部長の横井伸好執行役)と位置づけた。
会見では、Surfaceを取り扱う量販店3社の経営幹部が登壇した。
ビックカメラの宮嶋宏幸社長は、「日本マイクロソフトにとっては満を持しての投入だいえるだろう。我々としても待ちに待った製品であり、スタイリッシュで完成度の高い製品と捉えている。ビックカメラには、マイクロソフトのアソシエイト資格を取得したスタッフが4000人いる。店頭にきていただき、Surfaceの性能の高さ、使い勝手の良さを確かめていただきたい」とコメント。
ヤマダ電機の佐俣信一取締役兼執行役員常務は、「Windows 95以来の衝撃の製品がSurfaceである。こんなものがあったらいいなという夢や想いを実現する製品を販売してきたのがヤマダ電機。タブレットで、こんなことができたらいいなと思うことを実現できるのがSurfaceになる。リアル店舗を盛り上げることができる製品であり、この製品をしっかりと担いでいきたい」とした。
また、ヨドバシカメラの藤沢和則副社長は、「日本のWindowsファンにとっては待望の製品。家ではWindowsを利用してるいのに、表に出るときには使い勝手の違うタブレットを持ち運ぶというユーザーが多かったが、Surfaceはそれを解決できる。ヨドバシカメラは全店でSurfaceの取り扱いを行い、オプションも取り揃える。その良さを体感していただけるような形で展示したい」と語った。
なお、日本マイクロソフトでは、今後、システムインテグレータなどの法人向け販売ルートでの取り扱いも検討していくとしている。
日本の市場は、数多くの国内PCメーカーが参入している特殊な市場構造を持つ。
Windows 8発売時には、13社から250機種以上のWindows 8搭載PCが発売されていた。これは、全世界で1000機種以上という製品数と比較すると、約4分の1の機種が日本に集中していたことになる。
競合激化という点で、日本のPCメーカーにとっても、Surfaceの存在は見逃すことができないものになるといえよう。
しかし、これに対して樋口社長は、「日本では250機種以上が製品化されるなかで、Surfaceは、今回発表したSKUでもわずか4機種。たくさんあるPCのなかのひとつにすぎない。パートナーとのエコシステムはこれからも変わることはない。Windows 8を一緒に盛り上げたいという意味の製品である」とコメント。「我々が、我々のパートナーと競争するというよりも、Windows陣営とそうでない陣営との競争がメインとなる。いまは、トータルとしてWindowsを盛り上げていかなくてはならない時期にある。Surfaceが店頭に足を運ぶことを促進する、盛り上げ材料のひとつになればいい。店頭にくれば、Windows 8を搭載したPCのなかから、様々なものから選んでもらうことができるだろう。これによって、Windows全体を盛り上がることになる」とする。
だがその一方で、「ハードウェアはひとつだけ出して終わりということではない。これからも魅力的な製品を出していくという方向性である」と、今後のラインアップ強化にも言及した。