大塚商会、2012年度中間決算は増収増益、通期見通しを上方修正


大塚商会 大塚裕司社長

 株式会社大塚商会は1日、2012年12月期中間決算(1月1日~6月30日)を発表した。

 連結売上高は、前年同期比6.9%増の2663億9200万円、営業利益は同21.1%増の168億9100万円、経常利益は同21.6%増の173億9400万円、純利益は同26.9%の99億3000万円となった。

 単体では売上高は前年同期比6.0%増の2456億6800万円、営業利益は同20.4%増の153億600万円、経常利益は同20.2%増の157億1300万円、四半期純利益は同21.5%増の88億6500万円となった。

 「連結、単体共に増収増益となった。売上高は過去最高で、上半期だけに限ると3期連続の増収増益」(大塚裕司社長)

 売り上げが好調な要因は、「前年が東日本大震災の影響で厳しい環境となったこともあって、第1四半期、第2四半期ともに高い伸長となった」と大塚社長は説明している。


2012年1月~6月の業績概況連結売上高・利益の状況
連結売上高の四半期推移連結経常利益の四半期推移

 

SI事業、サポート&サービス事業ともに好調

 連結セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が8.4%増の1531億200万円、サービス&サポート事業が5.5%増の1129億5600万円、その他の事業が55.7%減の3億3300万円。

 「IT投資は底堅く推移しているが、まだ大口案件は動きが鈍い。中小企業案件が集まって売り上げを伸ばしている。2006年ごろはクライアント機の大規模入れ替えを行い、億単位の売り上げとなる案件もあったが、そういった案件がない。依然としてクライアントはWindows XPからの移行が進んでいない」(大塚社長)。

 単体の詳細セグメント別売上高では、システムインテグレーション事業内のSI関連商品が前年同期比6.2%増の1169億3000万円、受託ソフト等が同7.1%増の172億2300万円。サービス&サポート事業内のサプライが同6.9%増の560億2700万円、保守等が同4.6%増の554億8800万円。

 受託ソフト等が前年同期比7.1%増と伸長していることから、「基幹システムの見直しなど少し(IT投資に)動きが見られる」(大塚社長)という。

 大塚商会自身の体制としては、以前から進めてきた顧客との接点を強化し、担当者が複写機、IT関連商品などの垣根なく、全商品を前営業担当者が説明できる「全員参加型」を掲げている。「現場にはiPadなど情報武装を進め、営業支援システムSPR活用以上にビデオを活用し、これまでの喋(しゃべ)りでは伝わらない部分をアピールしていく」(大塚社長)

 こうした取り組みから、重点戦略事業の概況では「たのめーる」売上高は前年同期比8.3%増の587億4900万円、オリジナルパッケージソフト「SMILE」は同14.0%増の48億4700万円、ドキュメントソリューション「ODS21」は同4.8%増の234億1000万円、セキュリティソリューション「OSM」は同3.3%増の253億2300万円。


連結 セグメント別売上高単体 詳細セグメント別売上高単体 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移

 

今後はハイブリッド型の提案を充実させていく

 主要ハードウェアの販売台数は複写機が前年同期比9.5%増の1万7733台で、そのうちカラー複写機は同12.6%増の1万5008台。サーバーは同1.3%増の1万9794台、パソコンが同2.5%増の36万1177台。

 「今年6月はハードウェアの買い控えが見られたが、深刻な要因ではないと見ている。サーバーに関しては当社でも仮想化、統合によって、50台分を1台にまとめるといった取り組みを行っている。今後は単純にサーバーの販売台数を追うだけでは十分ではないことも確か。しかし、その一方で、完全に企業が社内からサーバーを無くすことが最適なのかという判断もある。データセンター、社内とどちらにもサーバーを置くハイブリッド型提案なども充実させていく必要があるだろう。どの程度がサーバー需要の上限なのか、他社の動向、当社自身が顧客の元に訪問して得られる情報などを見越して着地点を模索する必要がある。一方、パソコンは、クライアントは必要で、まだまだニーズがある。ただし、Windows XPからの買い換えもまだ進んでいない」(大塚社長)

 

通期計画を大幅に上方修正

 2012年度通期計画は、連結売上高は前回の発表から上方修正を行い、対前年同期比5.2%増となる5029億円、営業利益は15.2%増の266億円、経常利益は17.1%増273億円、当期純利益は19.8%増の152億7000万円とした。

 「初めての5000億円超えに上方修正した。これをきっちりクリアできるように取り組みたい。IT市場は不透明ながら回復基調に復帰すると見られる。訪問販売のメリットを生かし、円高メリットを受けている企業、元気な企業をターゲットにビジネスを進めたい。Windows XP搭載パソコンは大塚商会でも2005年に55万台、2006年に54万台販売しているがこの買い換えが進んでいない。さらにタブレット、スレート系端末市場の拡大もある。また電量供給懸念から、省エネにつながるITと組み合わせたソリューション提案を進める。営業体制として単品取引が65%と多い現状を打破し、総合的な提案を進めていく」(大塚社長)。

 大塚商会ではLED電球、東京大学と共同で発表した「東大グリーンICTプロジェクト」など省電力につながる製品やソリューションを積極的に展開しており、こうした省電力提案とITを提案し、「中小企業にも手の届くソリューションや製品提供を進める」計画だ。


単体 重点戦略事業の状況たのめーる年次推移大塚商会のトータルサポート

 2012年度下期にはWindows 8が発売される計画だが、「企業は導入検証に時間がかかることから(Windows XPからのリプレースでは)8ではなく、7を選択する企業が多くなるのではないか。ただし、Windows 8はタブレットやスレート型端末との相性がよいので、私見ではあるが、タブレットのみWindows 8、企業のメインはWindows 7となるのではないか」と述べ、企業導入はWindows 7がメインで、Windows 8の企業導入はタブレットなど特別なものに限られるという見方を示した。

 また、大塚社長が景気の指針と話しているコピー用紙の出荷数は、1月は前年同期比15.8%増、2月は同10.9%増、3月は同11.3%増、4月は同15.0%増、5月は同9.7%増、6月は同14.0%増と好調で、「リーマンショックの時のような1けた増と比較すると、ビジネスが動いている実感はある」という。

 最近では紙の扱いを止めて電子化を進める企業もあり、大塚商会自身もタブレットを活用しているが、「実際にソフトバンクの孫社長はペーパーレスを掲げている。しかし、それが実際にどうなるのかは紙(神)のみぞ知るところ。IBMのシステム360の時代から紙はなくなると言われてきたが、今、見ている限りでは簡単にはなくなることはないのではないか」と現段階ではペーパーレスによる影響は小さいとした。


連結 売上高・利益の計画連結 セグメント別売上高推移
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(三浦 優子)
2012/8/2 06:00