大塚商会の2011年度決算、震災・タイ洪水の影響あったものの増収増益に


2011年12月期決算の概要

 株式会社大塚商会は1日、2011年度(2011年12月期)の決算を発表した。

 連結売上高は前年比3.2%増の4782億1500万円、営業利益は同21.5%増の230億9500万円、経常利益は同19.5%増の233億1500万円、当期純利益は同19.9%増の127億4400万円となった。

 代表取締役社長の大塚裕司氏はこの結果について、「売上高は連結、単体とも計画未達となったが、震災、タイの洪水の影響があった環境を考えると健闘したといえる。額だけ見れば連結、単体共に新記録となった。利益は営業利益、経常利益、当期純利益ともに順調に推移し、連結、単体ともに計画を上回った」と説明している。

 なお、単体での売上高は前年比2.7%増の4446億2500万円、営業利益は同18.9%増の209億2500万円、経常利益は同18.3%増の216億2800万円、当期純利益は同25.0%増の125億1900万円。

 大塚社長は自身が景気をはかるベースとしている、コピー用紙の一日あたりの出荷量について、「2011年度は前年比17.7%となった。12月の1カ月に限ると15%。リーマンショックの時の転げ落ちるような動きとは違う、景気の持ち直し傾向が見られる」と分析している。


連結売上高・利益の状況連結売上高の四半期推移連結経常利益の四半期推移
大塚商会 代表取締役社長 大塚裕司氏

 セグメント別売上高では、システムインテグレーション事業が前年比3.5%増の2625億0800万円、サービス&サポート事業が同3.2%増の2145億7600万円、その他の事業は同41.8%マイナスの11億3000万円となった。

 単体でのセグメント売上高の詳細では、SI関連商品が2038億5200万円、受託ソフトが296億6500万円、サプライが1041億2600万円、保守が1069億8100万円で、「各項目ともに伸びたが、中でもサプライの伸びが目立った」(大塚社長)という。

 利益を支えるサプライや保守契約などストック型ビジネスについては、前年に比べ69億円増加し2024億円となった。「上場した2000年時点に比べ、1209億円プラスとなっている」(大塚社長)と順調に拡大している。


セグメント別売上高単体 詳細セグメント別売上高単体 詳細セグメント別売上高増減率の四半期推移
単体 重点戦略事業の状況

 重点戦略事業については、たのめーるが対前年同期比6.9%増の1079億3400万円、オリジナル業務ソフト「SMILE」が15.9%増の77億7400万円、ドキュメントソリューション「ODS21」が4.9%増の406億8000万円、セキュリティソリューション「OSM」が7.4%増の471億1300万円。

 「たのめーるは、東日本大震災の影響で上半期は品不足といった事態に陥ったものの、その後順調に回復し、初めて売り上げ1000億円を突破した」(大塚社長)

 複写機は8.0%増の2万9153台、うちカラー複写機は11.9%増の2万4296台、サーバーは3.2%増の3万7582台、パソコンは4.6%増の69万7057台。サーバーはサーバー統合などの影響で従来よりも販売台数は減少傾向にあるという。

 たのめーると同時にスタートしたWebサービスの利用者は2011年に116万人となっている。

 また、5年前にスタートした調達・購買業務支援サービス「たのめーるプラス」の概況を初めて公開。稼働会社数は115社、このサービスを通過する金額が471億円となった。


たのめーる年次推移調達・購買業務支援サービス「たのめーるプラス」の概況主なWebサービス(ASP)の利用人数推移

 2012年度(2012年12月期)の計画は、連結売上高は前年比3.1%増の4930億円、営業利益は同3.9%増の240億円、経常利益は同5.1%増の245億円、当期純利益は同6.3%増の135億5000万円。

 セグメント別売上高は、システムインテグレーション事業が前年比2.5%増の2691億1000万円、サービス&サポート事業が同3.9%増の2229億9000万円、その他事業が同マイナス20.4%の9億円。

 かなり堅めの見通しだが大塚社長は、「今年度の業績がどうなるのかは大変読みにくい。第1四半期、上半期の状況を見て、上にいけるように頑張りたい」と上半期の実績によっては上方修正する可能性もあることを示唆した。

 需要としては、2000年問題の2巡目のシステム更新、パソコンの入れ替え、電力削減需要の取り込みなどを見込む。


2012年度 連結売上高・利益の計画連結 セグメント別売上高計画

 このうちIT関連については、「2000年問題の2巡目のシステム更新はまだ本格化していない。企業のパソコンも依然としてWindows XPを利用する企業が多く、Windows 7へのリプレースはこれから始まる見通しだ。Windows 8が2012年に登場する見通しがあるが、時期が明確でないうえ、企業はシステム検証に時間がかかるため、すぐに影響はなく、まずWindows 7が導入されるのではないか」と分析している。

 電力削減については、注力事業のひとつであるLED照明の販売に加え、より省電力型のパソコンへのリプレースをアピールする。

 「大塚商会自身が本社ビルの電力使用状況をホームページで公開している。この結果を得たのは、実はLED照明ではない。LED照明はすでに去年よりも前に切り替えが進んでいた。昨年、大幅に電力消費削減に貢献したのはパソコンの入れ替え。従来の液晶モニタとデスクトップをノートパソコン+液晶モニタに交換した結果、111Wから45Wへ、約60%の電力削減を実現した。ノートパソコンのみ利用すると77%の削減となっている。照明取り換えと同様に、パソコンの交換が電力消費量削減に効果がある」(大塚社長)。

 こうした商材に加え、ワンストップでのソリューション提供、サポート提供、総合提案、複合提案の推進、ストックビジネス強化などを2012年度の方針として掲げ、「たのめーるだけ、1商品だけの取引しているお客さまが全体の65%を占めている。新規開拓と共に、より多くの商品取引が実現するよう、顧客深耕をすすめる」としている。


大塚商会のトータルサポート大塚商会自身の電力使用状況を1時間ごとに更新して公開電力削減の最大要因となったのはPCの入れ替えで約60%の削減を実現
関連情報
(三浦 優子)
2012/2/2 00:00