日商エレとNCI、完全冗長型のプライベートクラウドサービス「ZETA Cloud」


日商エレクトロニクス 取締役 常務執行役員の鈴木達氏

 日商エレクトロニクス株式会社(以下、日商エレ)と、グループ会社であるエヌシーアイ株式会社(以下、NCI)は11月5日、エンタープライズ向けのプライベートクラウドサービス「ZETA Cloud(ゼタクラウド)」を12月12日より提供開始すると発表した。

 新サービス「ZETA Cloud」は、クラウド/オンプレミス環境を一元管理する完全冗長化型のエンタープライズ向けプライベートクラウドサービス。ラインアップとして、プライベートクラウド「ZETA Cloud Private」、およびディザスタリカバリ(DR)サービス「ZETA Cloud Recovery」の2種類のサービスを提供する。

 日商エレ 取締役 常務執行役員の鈴木達氏は「ZETA Cloud」の発表にあたり、「当社では、データセンター事業およびクラウド事業を、重要な成長戦略の一つとして位置づけ、事業拡大に力を注いでいる。その中で、今回、当社のもつ営業リソースや技術リソース、データセンター設備を、日商エレグループの戦略事業会社であるNCIに提供し、これらのリソースを活用した新たなクラウドサービスとして『ZETA Cloud』を立ち上げた。今後の成長事業として大きく期待しており、日商エレとNCIが連携して営業活動を展開していく」との考えを示した。

NCI 代表取締役社長の橋本晃秀氏

 一方、NCI 代表取締役社長の橋本晃秀氏は、「数学において、『素数を見つける公式』を解明する鍵は『ゼータ関数』にあるといわれている。そこで今回、企業におけるIT運用の難題を解決したい、という強い思いを込めて、サービス名を『ZETA Cloud』に決定した。『ZETA Cloud』の提供によって、当社がこれまで手掛けてきたシステムマネジメント事業、データセンター事業、セキュリティサービス事業に加え、新たな4つめのコア事業としてクラウドサービス事業を本格展開していく。『ZETA Cloud』では、今後1年間で100社へのサービス提供を目指す」と意欲を見せた。

 「ZETA Cloud」の中核サービスとなる「ZETA Cloud Private」は、完全冗長化、変動リソースを実現したプライベートクラウドサービス。単一のサービスを契約するだけで、冗長化されたプライベートクラウド環境を利用できるほか、ビジネス規模に合わせて最適なシステム構成での運用が可能となる。

クラウド/オンプレミス環境を含めた監視/運用のアウトソース

 主な特徴としては、クラウド/オンプレミス環境を一元的にコントロールできる統合管理ツールを独自開発。各環境を単一画面で監視し、その情報をもとに遠隔操作も行えるため、障害発生時の対応など、ハイブリッドクラウドの運用負荷を軽減した効率的なシステム運用を実現する。

 また、クラウド/オンプレミス環境を自在なネットワーク構成で接続・連携させることが可能で、「NCIでは、IP-VPNや閉域網などを利用して、両環境の運用管理を代行するサービスを提供する」(橋本氏)という。

 さらに、ビジネス規模や利用用途に合わせて、運用途中でもリソースの追加や削除を柔軟に行える点も特徴だ。プライベートクラウドでありながら、将来を見据えた大規模な設計や投資が不要なため、スモールスタートによるコストの最適化が可能となる。

 マルチデータセンターに対応。現在の大阪データセンターに加え、2013年1~3月には横浜、石狩のデータセンターも選択可能となり、BCP用セカンダリサイトなどとして利用する機能を提供予定。また、2013年春にはマルチデータセンター間にわたったリソースプール構成による完全冗長化機能を提供する予定。

 DRサービス「ZETA Cloud Recovery」は、オンプレミスで運用されている仮想サーバー上のデータのバックアップやリカバリーサイトをデータセンター内に構築するサービス。VMwareのSRM(Site Recovery Manager)のテクノロジーを採用し、仮想サーバーとバックエンドデータの統合的なレプリケーションを実現する。これにより、社内のサーバールームが停電や万が一の障害に遭った場合にも、速やかに復旧し業務を再開することができる。また、本番環境に影響を与えることなく、万が一に備えたリカバリーテストをいつでも実施することが可能となる。

「ZETA Cloud Private」のプランラインアップ「ZETA Cloud Recovery」の価格/システムスペック

 税別価格は、「ZETA Cloud Private」の「Pro」プランが初期費用10万円、月額費用8万5000円、「ProPlus」プランが初期費用10万円、月額費用15万円、「Advance」プランが初期費用10万円、月額費用30万円。「ZETA Cloud Recovery」の「8コア」プランが初期費用10万円、月額費用14万円、「16コア」プランが初期費用10万円、月額費用28万円。


関連情報
(唐沢 正和)
2012/11/6 06:00