日本オラクル、IT統合管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager 12c」を発表

クラウド管理機能を大幅に強化


日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏

 日本オラクル株式会社は9日、オラクル製品群の管理と、エンタープライズ・クラウドの導入から運用までのライフサイクル管理全体を組み合わせる業界初のIT統合管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager 12c」の国内提供を、12月6日より開始すると発表した。

 「Oracle Enterprise Manager 12c」の発表にあたり、日本オラクル 専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、「今回のメジャーバージョンアップでは、プロダクト名を『11g』から『12c』に変更した。従来バージョンの『g』はグリッドを意味していたが、新バージョンの『c』にはクラウドの意味が込められており、当社にとって、とても重要なプロダクトであることが示されている。そして、新バージョンには、非常に多くの新しいファンクションが搭載されている」と、クラウド管理機能を大幅に拡充したことを強調した。また、三澤氏は、同社エンジニアド・システムとの緊密な統合、ユーザーインターフェイスの改善、国内パートナーのマネジメントツールとの連携強化といった点も、新バージョンのフォーカスポイントとして挙げていた。

米Oracle アプリケーション/システム管理担当 バイスプレジデントのレン・タン氏

 続いて、米Oracle アプリケーション/システム管理担当 バイスプレジデントのレン・タン氏が、「Oracle Enterprise Manager 12c」の特徴や機能強化ポイントを説明した。「メジャーバージョンアップとなる今回の新製品は、3年間をかけて開発し、顧客の要望を反映した200の新機能および機能強化が組み込まれている。また、10万回もの回帰テストを行い品質の確保も行った。そして、『トータル・クラウド・コントロール』をコンセプトに、プライベートクラウドの管理機能を大幅に強化した。これにより、ビジネス視点に基づき、ライフサイクル全体にわたってフルスタックを網羅できるクラウド管理ソリューションを実現した」という。

 タン氏は、「Oracle Enterprise Manager 12c」の機能強化ポイントについて、(1)クラウドライフサイクル管理、(2)クラウドスタックの統合監視、(3)ビジネス視点によるアプリケーション管理--の3領域にフォーカスして紹介。「まず、クラウドライフサイクル管理では、企業がプライベートクラウドを管理する上で必要なすべてのライフサイクルに対応した。これにより、エンドユーザーにセルフサービスITを実現する。次のクラウドスタックの統合監視では、シンプルで自動化されたツールを提供することで、データセンター管理をさらに容易にする。最後のビジネス視点によるアプリケーション管理では、IT部門がビジネス価値を提供する業務に集中することが可能になる」と述べている。


「Oracle Enterprise Manager 12c」の機能概要クラウドライフサイクル管理

 新バージョンの具体的な機能強化点としては、システムの管理を新しいコンソール「Oracle Enterprise Manager Cloud Control」に一元的にまとめ、クラウドのライフサイクル全体を独自に管理する機能を実装した。主な新機能は、統合・キャパシティプランニング、セルフサービス、テスト、監視、測定、チャージバックなど。これにより、エンタープライズ・クラウドの計画、導入、管理、利用に携わるすべての関係者に、ウィザード主導型のロールベースの機能を提供する。

新コンソール「Oracle Enterprise Manager Cloud Control」のデモ画面

 また、「Oracle Enterprise Manager 12c」のクラウド機能を「Oracle VM 3.0」および「Oracle Virtual Assembly Builder」と統合することができる。「Oracle VM 3.0」では、管理者による、VM、リソース・プール、リソース・ゾーンを組み込んだクラウド環境の自動的な計画およびプロビジョニングが可能となる。一方、「Oracle Virtual Assembly Builder」では、アプリケーション開発者による、セルフサービス利用者のための複雑なマルチティア・アプリケーションのモデル化とパッケージングを支援する。

 さらに、「Oracle Fusion Applications」およびオラクルのエンジニアド・システムズ向けに、新しい統合型「アプリケーション・ツー・ディスク」管理機能を追加した。特に「Oracle Fusion Applications」の完全管理を実現しており、「Oracle Fusion Applications」に合わせた設計により、これらのアプリケーションの健全性と可用性を確保する機能を提供する。

 「Oracle JD Edwards EnterpriseOne」および「Oracle Siebel CRM」管理スイートが認証され、「Oracle Applications Unlimited」向けの即時可用性をサポートした。2012年には、さらなるアプリケーション認証を計画している。

 「Oracle Fusion Middleware」の管理も強化しており、自動根本原因解析やプロアクティブな推奨アクションの提示など、新たな自己管理機能を追加した。ITおよびアプリケーションの管理者が、より多くのアプリケーションを簡単に管理できるようになる。

 データベースの自己管理機能では、リアルタイムおよび期間比較の自動データベース診断モニターやActive Session History(ASH)分析などの機能により、データベース管理者による巨大データベースの管理を可能にしている。

 品質管理ソリューションの強化では、新たなApplication Replay機能により、アプリケーションの実際の負荷テストが可能になり、より実用的なテストを実施できるという。新しいデータの発見、モデル化、データ・サブセッティングによって、テストデータをより合理的に管理することが可能となる。この機能を組み合わせることで、少ない負担でアプリケーションの品質を改善することができる。

 さらに、同社エンジニアド・システムズとの緊密な統合を図っており、「Oracle Exadata Database Machine」および「Oracle Exalogic Elastic Cloud」向けのハードウェア・ソフトウェア統合ビューにより、管理の簡略化と優れたパフォーマンスおよび可用性を実現している。

 このほか、新バージョンには、「Oracle PartnerNetwork」から利用できる新しいパートナー・リソースの拡張機能や、オラクル以外のコンポーネント向け管理機能も導入されている。

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