日本オラクル、「Oracle Enterprise Manager」の製品特徴や導入効果を説明
次期バージョンの機能強化ポイントも明らかに
専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括 兼 テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏 |
日本オラクル株式会社は27日、管理ソリューション「Oracle Enterprise Manager」に関する説明会を開催し、製品特徴や導入効果について事例を交えて説明するとともに、次期バージョンの機能強化ポイントについても明らかにした。
専務執行役員 ソフトウェアライセンス事業 製品事業統括兼テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、「10月2日から米国サンフランシスコで『Oracle OpenWorld 2011』が開催されるが、その中で『Oracle Enterprise Manager』についても大きな発表が予定されている。これに先立ち、『Oracle Enterprise Manager』の概要や導入メリットをあらためて紹介し、理解度を深めてもらいたいと考えた」と、今回の説明会の狙いを話す。
「企業のシステム環境は10年前に比べて大きく変化している。ネットワークインフラの高速化にともない、従来のPCや携帯電話に加え、スマートフォンやGPS、RFIDなどさまざまなシステムデバイスが登場。これにともない、業務データ量やトランザクション量、データベースサーバー数、さらにはデータ連携インターフェイス本数が急激に増加し、今後も増え続けることが見込まれる。その一方で、情報システム管理者の人数は横ばい、もしくは減少しているのが実情」と、三澤氏はシステム環境の複雑化が進んでいるのにもかかわらず、情報システム管理者数はほとんど増えていないと指摘する。
「こうしたギャップを埋めるためには、肥大化、複雑化したシステム環境を統合し、業務の自動化を図っていくことが重要になる。当社では、この統合・自動化を推進するためにさまざまなソリューションを提供してきたが、その中で最も重要なコンポーネントとして位置づけているのが『Oracle Enterprise Manager』である」と、システム環境の統合・自動化を強力に支援する管理ソリューションが「Oracle Enterprise Manager」だと強調した。
テクノロジー製品事業統括本部 データベースビジネス推進本部 製品推進部 部長の人見尊志氏 | 「Oracle Enterprise Manager」の概要 |
「Oracle Enterprise Manager」の製品コンセプトについて、テクノロジー製品事業統括本部 データベースビジネス推進本部 製品推進部 部長の人見尊志氏は、「もともとデータベース管理ツールとしてスタートしたが、ここ数年で、アプリケーションからディスクおよびクラウドまでを統合管理するプラットフォームとして機能拡張を行ってきている。また、システム管理とサポートを統合し、問題を事前予防的に特定して修正する機能の拡張にも取り組んできており、将来的にはビジネス主導型のアプリケーション管理を実現するソリューションを目指す」と説明する。
具体的な機能特徴としては、「リアルタイムSQLモニタリング」および「データベース診断・チューニングアドバイザー」をピックアップして紹介した。「リアルタイムSQLモニタリング」は、実行に時間のかかっているSQLを自動で監視する機能で、データベースパフォーマンスに影響なく、各SQLの実行状況を自由にモニタリングすることができる。一方、「データベース診断・チューニングアドバイザー」では、負荷の高いSQLを動的に診断し、チューニング方法を分析してアドバイスを行う機能。「これによりシステム管理者は、自ら情報収集することなく、自動診断やアドバイザーに従って迅速にデータベースのチューニングを実施できる。さらに、ボトルネックの発見から分析、解析までをシームレスに実現できる」(人見氏)という。
次に、「Oracle Exadata」および「Oracle Enterprise Manager」の導入事例として、ソフトバンクモバイル、北陸コカ・コーラ、楽天証券の3社の事例を交えながら、「Oracle Enterprise Manager」の導入効果をアピール。「ソフトバンクモバイルでは、大規模データウェアハウスの運用スタッフを従来の半分に減らすとともに、障害原因の特定時間を1/32まで短縮することができた。北陸コカ・コーラでは、運用コストの削減だけでなく、社内の技術者育成に活用し、システム品質の向上を実現した。そして、楽天証券では、本番・開発環境合わせて60インスタンス以上のデータベースの一元管理を実現し、運用効率化を図った」(人見氏)としている。
「Oracle Enterprise Manager」次期バージョンの機能強化ポイント |
最後に、人見氏は、「Oracle OpenWorld 2011」で発表予定の「Oracle Enterprise Manager」次期バージョンの機能強化ポイントにも触れ、「さらなる自動化・効率化を推進するべく、既存機能について、それぞれ強化が行われている。特に、クラウド管理については大規模な機能追加を実施しており、クラウド環境を効率的に管理するための機能が追加された。さらに、製品自体のルック&フィールも含めたベース機能も強化している。これにより次期バージョンは、エンタープライズ・クラウド環境を支える次世代の運用管理基盤に進化する」と述べた。
クラウド管理を支える具体的な機能としては、(1)クラウド環境のセットアップ、(2)アプリケーションのパッケージ化、(3)セルフサービスによるクラウドの利用、(4)運用管理、(5)課金--の5つの機能を提供する予定だという。