クレオ、ITサービス管理クラウド「ZeeM サービスデスク」を刷新
SIer、データセンター事業者向けに機能強化
株式会社クレオは9日、クラウド型ITサービス管理ソリューション「ZeeM サービスデスク」のフルリニューアル版を発売した。価格は月額2万5000円から。
ZeeM サービスデスクは、ITサービス管理のSaaSサービス。システム管理は大きく「システム運用管理」と「ITサービス管理」に分類されるという。これまではハードウェアやネットワークなどのプロダクトを対象とする「システム運用管理」に重点が置かれてきたが、ZeeMサービスデスクは「ITサービス管理」に着目し、システムの構成・変更管理、リリース管理、インシデント管理、サービスレベル管理、ヘルプデスクなどの業務を効率化する。
機能構成 | リニューアルの概要 |
各種マネジメントプロセスを包含できる柔軟性 |
リニューアル版では、ITILに代表される各種マネジメントプロセスに対応できる「柔軟性の強化」を図った。例えば、インシデント管理として「アラート対応」「ユーザー問い合わせ」といったITサービス管理項目をユーザー自らカスタマイズし、「新規受付」「対応中」「対応済み」「完了」といった業務フローを自由に作成。Web画面上で、各項目のどのステータスにいくつの案件があるかを確認し、承認フローを経ながら、ITサービスにまつわるさまざまな問題を解決していける。
管理項目や業務フローをかなり柔軟にカスタマイズできるため、ITサービス管理以外にも、システム保守・運用、セキュリティ管理、開発管理、商談管理、クレーム管理などさまざまな用途で使える「柔軟性」を備えたのが特長。
また、情報共有を促進するため、各種フォーマット・レイアウト・画面項目を設定できる汎用的な情報ライブラリを用意。ライブラリの参照・更新を業務プロセス内で呼び出して活用できるようにすることで、情報の鮮度を保つよう工夫している。これを「共有性の強化」と説明。
加えて「連携性の強化」もコンセプトの1つとなっており、ICTサービス事業部長の宮島利光氏は「2008年7月に主にエンドユーザー(情報システム部門)を対象に提供してきたが、実績が増えるにつれ、SIerやデータセンターでも利用したいという声が上がった。それに応えるため、新たな提供形態としてパートナー販売ライセンスを提供するほか、外部連携APIを用意した」と語る。
担当プロジェクトの情報を一覧できるスタート画面 | インシデント詳細画面。対応状況をステータスで表示している |
画面項目などを自由に設定する管理画面 | 業務プロセスに応じて自動的に表示できるライブラリ画面 |
サービス管理の実績を集計できるレポート情報画面 |
「柔軟性・共有性・連携性」の3つの強化がもたらすものは、ZeeM サービスデスクを軸とした企業連携ソリューションの実現だ。
SaaSモデルなので、複数拠点にまたがるシステム運用関係者が同一画面にアクセスして簡単に情報を共有できる。APIによる外部システム連携も可能なので、メール・アラートなど形式の異なる情報を柔軟に取り込み、取り込んだアラートを統一的に扱うことで、ZeeM サービスデスクを各種外部サービスの運用情報を集約したポータルとして活用できる。
「このため、システム運用サービスを提供する企業が、委託先の保守会社や開発会社とZeeM サービスデスクを共有しながら、一本化されたサービスをエンドユーザーに提供できる」(ICTサービス事業部長の宮島利光氏)。
「さらにITサービス管理以外のマネジメントプロセスも定義すれば、情報システム部門によるITサービス管理から、カスタマセンターによる顧客管理、オペレーションセンターによる運用管理、コールセンターによる受注管理、BPOサービスセンターによる業務代行まで、各社のサービスをZeeM サービスデスクを軸に連携させて、総合運用管理ソリューションを実現できる」(同氏)。
委託先の保守会社や開発会社とZeeM サービスデスクを共有しながら、一本化されたサービスを実現 | 各社のサービスをZeeM サービスデスクを軸に連携させて、総合運用管理ソリューションを実現 |
パートナー提供モデルとしては、OEMモデルと再販モデルを用意。いずれもSaaS版とライセンス版を提供し、OEMモデルでは導入支援サービスも提供する。宮島氏は「従来の情報システム部門などに加えて、顧客システムを運営するSIerや、システム運用サービスを統合したいデータセンターなどへ市場を拡大していく。特に成長期をとらえて売り上げとシェアを拡大するため、チャネル販売なども積極的に推進する」と意気込みを見せた。
価格例として、エンドユーザー提供モデルの場合、1つのプロジェクト内で複数の顧客向け領域を設定できる「スタンダードプラン」が月額30万円から、インシデントや課題を関係者間で共有できる機能限定版の「エントリープラン」が月額2万5000円から。初年度50社の受注を目指す。
なお、今後のロードマップとして、2011年夏に「掲示板」「イベントカレンダー」「WiKi」「ファイル共有」「データ可視化」といった機能を追加し、同年冬に「ライブラリ間連携」「リマインドメール」「スマートフォン対応」を図る予定。
エンドユーザー提供モデル | パートナー提供モデル |