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中堅・中小企業でマイナンバーの収集/保管対応を完了している割合は34.9%、ノークリサーチ調査

 株式会社ノークリサーチは2月29日、四半期毎に実施しているIT投資に関する定点観測調査の一環として、中堅・中小企業のマイナンバー制度への対応状況に関する調査結果を発表した。

 調査対象企業は、年商500億円未満の国内民間企業700社の経営層/管理職/社員。
調査対象地域は日本全国。調査対象業種は組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/サービス業。調査実施時期は2016年1月。

 マイナンバー制度への対応を尋ねた質問のうち「取り扱い担当者の任命」については、「既に対応を完了している」という回答が57.4%、「対応を進めている」が19.6%、「未着手だが、計画はある」が7.9%、「未着手であり、計画もない」が15.1%となった。

 一方、「マイナンバーの収集/破棄」「マイナンバーの保管」については、対応完了済みという回答はいずれも34.9%にとどまっている。ノークリサーチでは、2016年1月からマイナンバー制度の施行が開始されたが、多くのユーザー企業において従業員のマイナンバーが本格的に必要となるのは年末調整の時期ということもあって、マイナンバーの収集をまだ行っていないケースも少なくないとしている。

マイナンバー制度への対応状況(年商500億円未満全体) 出典:ノークリサーチQuarterly Report 2016年冬版(特別編)

 マイナンバーの収集/破棄について、具体的な取り組みを尋ねた質問(複数回答)では、「従業員などに来社してもらい、対面でマイナンバーを収集する」が22.4%と最も多い。その他の取り組みの割合は、「従業員がマイナンバーを申告するための専用ウェブサイトを設置する」が12.3%、「マイナンバー収集/廃棄の業務を専門業者にアウトソースする」が11.3%、「従業員などからメール添付によってマイナンバーを収集する」が8.9%、「会計士や社労士にマイナンバーの収集/廃棄を依頼する」が7.1%。

 この取り組みの割合は企業規模により異なり、年小規模が小さな企業層では対面での収集や会計士などへの依頼といった、新たなIT投資を極力避けて人手によるマイナンバー収集を選ぶ傾向が見られる。一方で、年商規模が大きくなるにつれ、専用ウェブサイトの設置や専門業者へのアウトソースなど、新たな投資を伴う取り組みが多くなるという。

 また、年商5億円未満の小規模企業層を除いたいずれの年商規模においても、「従業員などからメール添付によってマイナンバーを収集する」という対応が1割程度挙げられている。

 ノークリサーチでは、メール添付は新たなIT投資を伴わず、従業員以外からマイナンバーを収集する際にも便利な方法と考えがちだが、宛先間違いや配信途中の傍受などによってマイナンバーが漏洩してしまった場合に責任を誰が負うのかといった問題も生じると指摘。ITソリューションの提供側には、メール添付によるマイナンバー収集のリスクや留意点を顧客であるユーザー企業に周知し、必要に応じて対策を提案するなどの取り組みが求められてくる可能性もあるとしている。

 また、マイナンバー制度への対応は中堅・中小企業にとって、「具体的なメリットが見えない一方で負担やリスクの大きい取り組み」になっているとして、ITソリューション提供者は関連ソリューションを訴求しつつも、マイナンバー制度対応がIT投資全般への意向を減退させるネガティブ要因とならないように配慮することが重要だとしている。

三柳 英樹