ニュース

富士通の連結決算、2015年度第1四半期決算は減収減益スタートに

 富士通株式会社は30日、2015年度(2016年3月期)の第1四半期連結決算を発表した。連結売上高は対前年同期比0.3%減の1兆650億円、営業損益は前年同期から346億円減となる273億円の赤字、税引き前四半期損益は同272億円減の168億円の赤字、四半期損益は同257億円減で189億円の赤字となった。

 富士通 取締役 執行役員常務CFO・塚野英博氏は、減収となった原因を「サービス事業は好調だったものの、PCが大幅に下落した」と説明。営業利益が減収となっている点については、「5月に発表したネットワーク事業再編が主な原因であり、ほぼ計画通り」とした。

富士通 取締役 執行役員常務CFOの塚野英博氏は
第1四半期連結決算

 通期見通しについては4月発表から変更しない。「セグメント別では、サービス、システムプラットフォームともに第1四半期減収だが、トータルでは黒字化すると予測している。ユビキタスはPCが厳しい状況にはあるものの、トータルではブレークイーブンを見込む」計画だ。

 ビジネスモデル変革に対応するため事業再編を進めているネットワーク事業、収益改善策を模索するPC事業については、300億円かけて事業再編することを発表しているが、具体的な内容については「秋口に、あらためて説明の場を設けて説明したい」とした。

 また、東芝の不正会計処理について、「17万人の社員がいて、そういったことを全く行う人間がいないのかと聞かれれば、それはゼロとはいえない。ただ、マネジメントがコンプライアンス違反を承知で同様のことをすることは絶対にあり得ない。あえて、絶対をつけてそう申し上げたい」(塚野氏)と、経営陣がらみでの不正は絶対にないと断言した。

 富士通の2015年度連結決算のセグメント別では、テクノロジーソリューション事業の売上高が前年同期比1.5%増の7188億円。国内売り上げが同1.2%増の4231億円、海外売り上げが同2.0%増の2957億円。

 営業損益は前年から154億円悪化した40億円の赤字。サービス事業は国内を中心に好調で増収となったものの、システムプラットフォーム事業に含まれる、再編を進めているネットワーク事業の減収が影響した。

 サブセグメントのサービスは、売上高が前年同期比5.3%増の6112億円、営業利益は同24.4%減の99億円。国内の売上高が同5.6%増の3506億円、海外の売上高が同4.9%増の2606億円となった。売上高の内訳は、ソリューション/SIが同9.0%増の2113億円、インフラサービスが同3.5%増の3999億円。ソリューション/SIが金融、公共分野を中心に伸長した。営業利益については、ISP事業の拡販費用の負担増の影響もあって大幅な減収となっている。

 システムプラットフォームは、売上高は前年同期比15.6%減の1076億円、営業利益は前年から122億円悪化して139億円の赤字。国内は前年同期比15.9%減の724億円、海外は同15.1%減の351億円となった。売上高の内訳としては、システムプロダクトが同9.9%増の551億円、ネットワークプロダクトが同32.2%減の524億円。国内外のネットワーク需要減の影響が大きく減収となり、国内ネットワーク事業の人員再配置などにともなう一時費用計上も収益悪化の原因となった。

テクノロジーソリューションの概況
テクノロジーソリューション(サービス)の概況
テクノロジーソリューション(システムプラットフォーム)の概況

 ユビキタスソリューションの売上高は前年同期比9.5%減の2423億円、営業利益は前年から163億円悪化して76億円の赤字。国内の売上高が前年同期比14.8%減の1551億円、海外売り上げが同1.5%増の881億円。PC/携帯電話の売上高は、PCの売上減の影響で前年同期比18.7%減の1516億円、モバイルウェアは同11.1%増の916億円となった。

 「携帯電話、モバイルウェアはほぼイーブンだが、PCは減収に加えて円安の影響を受けて収益が悪化した」(塚野氏)。

 デバイスソリューションの売上高は前年同期比10.9%増の1499億円、営業利益は前年同期比219.5%増の107億円。国内の売上高は同8.7%増の738億円、海外が同13.1%増の760億円。売上高の内訳としては、LSIが同16.7%増の805億円、電子部品が同5.1%増の697億円。LSI事業は円安がマイナス影響になったものの、スマートフォン向けビジネスが好調で増収となった。電子部品は円安が追い風となった。

ユビキタスソリューションの概況
デバイスソリューションの概況

通期の業績見通しは変更なし

 前述したように、業績見通しは4月発表から変更しない。

 セグメント別では、テクノロジーソリューションの売上高が、前年比1.7%増の3兆3600億円、営業利益が同5.6%増の2350億円、うちサービスの売上高が同2.0%増の2兆7600億円、営業利益が同4.4%増の1850億円、システムプラットフォームの売上高が同0.6%増の6000億円、営業利益が同10.6%増の500億円、ユビキタスソリューションの売上高が同1.2%減の1兆500億円、営業損益が同100%減の87億円の赤字、デバイスソリューションの売上高が同4.1%増の6200億円、営業利益が同18.8%減の300億円。

 なお、富士通は運用管理のミスで、本来は15時公開予定の一部情報を10時24分から11時3分までの間、誤って開示した。決算短信などが誤って公開されたと見られているが、正確な原因、アクセス件数、他の資料の公開があったか否かなどについては現在調査中としている。

通期の業績見通し

三浦 優子