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広島赤十字・原爆病院、トレンドマイクロ「SafeSync」で安全に情報共有

 トレンドマイクロ株式会社は14日、広島赤十字・原爆病院がファイル共有ソリューション「Trend Micro SafeSync for Enterprise(以下、SafeSync)」を導入したと発表した。

 医療機関には個人情報が多く存在する。これまで同院では、電子カルテを導入するなど医療現場のIT化を積極的に進め、機密性の高い電子カルテや画像データを扱う診療系と、事務や医師などが連絡に用いる情報系に区分し、2系統のネットワークを運用していた。診療系ネットワークはクローズドな環境で権限管理を徹底した運用を行っているが、一方の情報系システムについては安全管理の面で課題を抱えていたという。

 課題は、従来、病院情報システムで出力したデータを端末へ持ち出す際は、ウイルスチェック機能を備えたセキュリティUSBメモリを利用して受け渡していたが、それらのファイルを含め、各部門の業務ファイルや医師が作成した資料などは、それぞれの部署が個別に構築したファイルサーバーで保管していた点。このため、情報が各部門のサーバーに散在し、必要な情報がすぐに探し出せなかったり、病院システムを統括する医療情報管理課でも情報の一元化ができなかったりしたという。

 そこで、セキュリティUSBメモリの代わりにSafeSyncを導入。コンプライアンス上、海外にサーバを置くオンラインストレージサービスの利用を制限する厚生労働省のガイドラインに準拠した形で運用を開始した。

 運用形態としては、冗長化された2台の物理サーバー上でSafeSyncを稼働させ、分散していた業務ファイルの保管場所を、オンプレミスで管理された環境下に一元化。パーソナルフォルダ、チームフォルダによるアクセス権や割り当て容量も管理。メール添付されたファイルは自動的にストレージ保存し、そのリンク情報だけをメールで送信するなど、安全なファイル管理と情報共有を実現した。

 これらを実現するために、同院が特に評価したのがSafeSyncのActive Directory(AD)連携機能。ADと連携させることで、アカウントやアクセス権限の設定が簡単に行えるほか、ADの情報を更新するだけで、データアクセス権限設定も変更できるようになった。

 同院は今後、各科・部門のファイルサーバーを統合し、院内のでUSBメモリの利用を制限、安全なオンラインの共有環境を推進する予定。さらにはSafeSyncをタブレット端末で利用することも検討する。

川島 弘之