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北大、学術クラウド基盤を構築、PB級ストレージを全国の研究者へ

 北海道大学情報基盤センター(以下、北大)の「ペタバイト級データサイエンス統合クラウドストレージシステム」を構築、全国のHPCI(High Performance Computing Infrastructure)ユーザー向けに4月1日より提供を開始した。

 総物理容量1.96PBの大規模ストレージや仮想サーバー、Hadoop環境を全国のHPCIユーザーに提供するシステム。「日立クラウド基盤導入ソリューション Powered by Apache CloudStack」で構築されている。

 HPCIは、理研の10ペタフロップス級のスパコンや、全国の大学・研究所などに設置されている主要スパコン、大規模ストレージなどをネットワークで結び、1つのユーザーアカウントから利用できるITインフラ。

 現在、解析用プログラムなどを利用した研究開発を支援するため、ITインフラ環境を全国の研究者向けに提供しているが、スパコン演算性能の飛躍的な向上により膨大なデータを取り扱うことが可能となったため、大容量ストレージや並列処理可能なビッグデータ解析環境へのニーズが高まっている。

 新システムは、これらのニーズに応えるもの。HPCIユーザーは新システムで提供されるポータル画面を介し、簡単な操作で必要なITリソースをアサインし、効率的に研究開発が行える。

新システムの利用概念図

 新システムで利用されている「日立クラウド基盤導入ソリューション Powered by Apache CloudStack」は、大規模なストレージや仮想サーバー、Hadoopなどを提供するためのクラウド基盤を構築するもの。

 HPCIで標準利用されているShibboleth(シボレス)認証(異なるドメイン間で認証情報を引き継ぐシングルサインオン機能を提供する認証技術)に対応するため、他システム間のログイン共通化も実現。

 仮想サーバー環境においてHadoopなどを稼動させる際に課題となっていたストレージへの負荷を平準化する処理機能も新たに追加し、性能劣化を解消するなど、日立独自の機能が多数実装されているという。

川島 弘之