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レッドハット、仮想化製品とOpenStack製品の新版リリース

OpenStack Havanaベースになり、サポート期間は1年半に

レッドハット株式会社 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長 纐纈昌嗣氏

 レッドハット株式会社は28日、仮想サーバー管理ソフトウェアRed Hat Enterprise Virtualizaiton(RHEV)の最新バージョン「RHEV 3.3」を発表した。同時に、IaaS基盤ソフトウェア「OpenStack」とRHEV、クラウド管理製品「CloudForms」を組みあわせたエンタープライズ向けIaaS基盤製品「Red Hat Cloud Infrastructure(RHCI)」の最新バージョン「RHCI 4.0」も発表した。1月22日の米国発表を受けてのもの。

 RHEV 3.3では、RHEV自身を仮想マシンに配備できるようになり、従来のように専用のサーバーマシンを用意する必要がなくなった。また、OpenStackのコンポーネントであるGlance(仮想サーバーイメージ管理)とNeutron(仮想ネットワーク管理)をサポートし、これらの基盤として利用できるようになった。さらに、分散ストレージ製品であるRed Hat Storageとの連携の強化や、ディザスターリカバリーのためのバックアップ/リストアとレプリケーションの機能の強化、SLAマネージャの強化もなされている。

 同時に、パートナーソリューションの強化も言及。2013年に発表されたサードパーティプラグインフレームワークにもとづき、HPの「HP Insight Control」、NetAppの「Virtual Storage Console」、Symantecの「Veritas Cluster Server」の3製品の開発が完了したことを発表した。

RHEV 3.3の新機能
RHEVのサードパーティプラグインフレームワークにもとづくパートナー製品

 一方のRHCI 4.0では、その中心となるレッドハットによるOpenStackディストリビューション「Red Hat Enterprise Linux OpenStack Platform(RHEL-OSP)」が、2013年10月にリリースされたOpenStack本家の最新バージョン「Havana」をベースとした「RHEL-OSP 4.0」となった。Havanaでは、各コンポーネントがバージョンアップしているほか、新コンポーネントとして、課金管理のためのモニタリングの「Ceilometer」と、複数サーバーのオーケストレーションのためにテンプレートからデプロイする「Heat」が加わっている。

 また、RHEL-OSP 4.0では、ベアメタル(物理)サーバーをOpenStackでデプロイする独自のツール「Foreman」も追加された。さらに、CloudFormsやRed Hat Storageとの連携も強化されているという。なお、サポート期間はRHEL-OSP 3.0の12か月から、RHEL-OSP 4.0では18か月に延ばされた。

 OpenStack製品について、パートナーの再販のプログラムも始めたことも明らかにされた。すでにパートナーには連絡がなされ、2月から広く告知するという。

RHEL-OSP 4.0の新機能
RHEL-OSP 4.0の特徴

 記者発表会の壇上に立ったレッドハット株式会社 常務執行役員 製品・ソリューション事業統括本部長の纐纈昌嗣氏は、仮想化とリソースの最適化だけではクラウドとは呼べず、パブリックとプライベートの両方を同じインターフェイスで使えないとクラウドとはいえないと主張。RHCIにも含まれるクラウド管理製品CloudFormsの重要性を力説した。

 また、OpenStack本家へのコントリビューション量について、ソースコードの変更実績とチケットのクローズ(バグフィックス)実績を比較。レッドハットからのコントリビューションはチケットのクローズ数で際立っていることを示し、「Linuxと同様にOpenStackでも、オープンソースのソフトウェアをエンタープライズで使えるように安定化していくのがレッドハットの立ち位置」と説明した。

 一方、競合製品について纐纈氏は、RHEVについてVMware vSphere 5.5と、RHEL-OSPについてVMwre vCloud Suiteと比較し、サポート費用での優位性を主張した。また、「OpenStackは、モノリシック(一体型)アーキテクチャの競合ソフトウェアよりスケーラビリティが高い」との主張もなされた。

 OpenStackの利用企業への普及について纐纈氏は「半年前に想像したより早い」と語り、米国ではサービスプロバイダー企業だけでなく、金融なども含む一般企業が数十社のオーダーで、Red HatのOpenStackの評価を始めていることを紹介。これについては、SIerにおまかせの日本企業と比較して、ユーザー企業がIT技術者を抱えることが多いことが要因だろうと補足された。日本市場については、OpenStackがトレンドになっているのはやはりサービスプロバイダー企業であると説明。そのほか、日本でもグローバルでもネットワークの機器やソフトウェアの企業がOpenStackに興味を示しているという傾向も紹介された。

 OpenStackの勢いでもあり導入への不安要素でもある開発サイクルの早さについては、現在でもリリースサイクルが本家と同じく半年であると説明。一方で、RHEL-OSP 4.0でサポート期間が延びたことを挙げて、少しずつユーザーにとってのサイクルをレッドハットとして長くしていきたいと語った。

OpenStackでのレッドハットのコントリビューション数。チケットのクローズ(バグフィックス)が多いのが特徴だという
国内でのトレーニング、認定試験、コンサルティング
RHEV 3.3とvSphere 5.5の、RHEL-OSP 4.0とvCloud Suiteの価格比較。3年間の24時間サポートの料金を試算

高橋 正和