IDC Japan、国内ITサービス市場予測～緩やかな成長で2017年に5兆3000億円規模に

　IDC Japan株式会社は10月30日、情報システムの構築、導入、運用などを含む、国内ITサービス市場予測を発表した。2012年にプラス成長を回復した国内ITサービス市場は、2013年以後も景気の回復などを背景に、年成長1.5％と低成長ながらも拡大を続け、2017年の市場規模は5兆3151億円になると予測している。

　IDCでは、2012年末から2013年初めにかけていったん市場成長が減速したものの、その後再び成長軌道に乗ったと見ている。

　その背景として、2012年におけるITサービス市場の回復をけん引してきた製造業が、老朽化システムの更新やプライベートクラウドへの移行などを目的におおむね堅調にITサービス支出を拡大していることを上げる。また、金融業も銀行などで支出が回復しつつある。

　一方、製造業と共に2012年の市場回復のけん引役だった通信事業者のITサービス支出は、スマートフォン関連システム需要の一巡もあり、成長を鈍化させていると指摘する。

　サービスセグメント別では、2012年にはプロジェクトベース（システムインテグレーションやITコンサルティングなど）の成長率を下回ったITアウトソーシングが、運用需要の高まりや大型アウトソーシング契約のサービスイン、既存アウトソーシング契約の下で行われる開発案件の増加などにより、再びプロジェクトベース市場の成長を上回る見込み。

　国内ITサービス市場は、経済の緩やかな成長を背景に2014年以降も成長を継続すると見られ、ビッグデータ／アナリティクス、モビリティなどIDCが提唱する「第3のプラットフォーム」に関連したコンサルティング、システム構築などの需要も増えていくことが見込まれると予測している。

　ただし、中長期的には国内経済の低成長やそれに伴う企業の海外進出によるIT予算の海外シフト、低価格サービスの利用拡大などにより、成長率は低いものにとどまる見通し。国内ITサービス市場は構造的に低成長化していると分析する。

　なお、今回の発表はIDCが発行したレポート「国内ITサービス市場 産業分野別 2012年の実績と2013年～2017年の予測：2013年上半期アップデート」（J13260107）で詳細が報告されている。