ニュース
日本HP、順調に進展するSDNへの取り組みをアピール
(2013/6/13 06:00)
今後のネットワークビジネスにおける根幹をなす、SDNへの取り組みが極めて好調な歩みをみせている――。日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は12日、来日した米HP バイス・プレジデント グローバルマーケティングのマイク・バニック氏が、千葉県幕張の「Interop Tokyo 2013」会場にて、SDN分野での自信のほどを語った。
同社がネットワークの自動化を促進するSDN戦略と製品・サービスを明らかにしたのは、今年1月上旬のことだ。あれからほぼ半年経過したいま、SDN戦略が好調な背景についてバニック氏は、「そのときに発表したOpenFlow 1.0対応のスイッチは、25機種、1500万ポートの稼働だったものが、半年の間に、すでに40機種、2000万ポート超えしている」と話した。
またサポートするアプリケーションは、仮想化・クラウドおよび負荷分散、セキュリティの3種類であったのに対し、現在ではUC&C、WANバーストが加わって5種類にまでなったという。
さらに2013年は、40GbE対応機種を拡大させるという目標も立てていたそうだが、HP FlexFabric 11900/12900スイッチなどをラインアップに加えるなど、この分野でも順調に目標を達成。業界に先駆けてOpenFlow 1.3をこれらの製品でサポートするなど、当初の予定と方針に大きなブレなく進んでいるとした。
むろん、HPのSDNの好調さは、たゆまぬ投資と取り組みの歴史を抜きにしては語れない。バニック氏は「HPがSDNに取り組みんだのは2007年のこと。当時スタンフォード大学らとHP研究所が共同してOpenFlow前身のEthaneに取り組みんだことに始まる」と感慨深く思い起こす。
その後、スタンフォード大学の研究者とともに初めてOpenFlow対応スイッチのデモを2008年に行った。このときの技術が研究者の間で急速に拡大、OpenFlow普及に協力する研究所の数も10社、60社と増えていった。こうした動きを踏まえて需要も増大、2011年に商用OpenFlowを提供し始めたのである。
そして周知のように「2012年にHP Virtual Application Network SDN Controllerを発表、今日に至るまでこのピッチは加速し続けている」という。さらに、このコントローラの一般商用化や、サードパーティ・アプリケーションの開発者向けAPI提供などを、2013年下半期に予定している。
このたびのInteropで、日本HPは新たに2つのSDNアプリケーションを示した。
1つが、日本マイクロソフトのLync向けUC&C SDNアプリケーションだ。例えば2名がLync上でファイルを共有する場合、Lyncサーバーに接続した瞬間に、LyncサーバーはSDNアプリケーションに通知する。そうするとユーザーの過去のIDや位置が特定されて、ユーザーエクスペリエンスを最大限良くするために、どのような要件がネットワークにかかってくるのか、SDNアプリケーションに関連情報が通知される。そして、実際にユーザーエクスペリエンスが最大化されるよう、ネットワークのリソースがプロビジョニングされるというわけである。
またもう1つのアプリケーションが、Sentinel Securityアプリケーションだ。
現在では、スマートデバイスが多用される中、ユーザーは仕事でもプライベートでも同じデバイスを使用するBYODのケースが増えてきた。したがって、デバイスのセキュリティソフトも双方のニーズで使うことになるから、会社のIT部門ではコントロールしづらくなっているし、非常に多くの台数が企業の環境に持ち込まれるようになっている。
これを解決するのがSentinel Securityで、IPSのTipping Pointやセキュリティ監視ツールのHP ArcSight、OpenFlowコントローラ/スイッチが連携することで、SDNを利用して広範な環境のエンドポイントを一括してコントロール可能。また、BYODに対応した幅広い可視性も提供できるという。
なお、日本HPのこうしたSDNへの取り組みは、Software Defined ServersおよびSoftware Defined Storageと並んで、Software Defined Datacenter実現のための重要な柱と位置付けられており、複雑性の排除やインフラ管理工数の劇的な削減を実現するほか、ユーザーをインフラではなくアプリケーションにつなげられるようにするとした。