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日本IBM、アプリケーション“開発運用連携”環境をPaaSで提供

「IBM SmarterCloud Application Services」を発表

SCASの概要

 日本IBMは26日、IBMクラウド基盤上で稼働するアプリケーション開発環境と、アプリケーション・ライフサイクル管理機能を統合したPaaS型クラウドサービス「IBM SmarterCloud Application Services(SCAS)」を発表した。

 SCASは、パブリッククラウド「IBM SmarterCloud Enterprise(SCE)」上で稼働するPaaSとして、アジャイル開発の支援と開発運用連携(DevOps)を推進する環境を提供するサービス。ビジネスサイクルに合わせてシステムを構築・展開・運用したい顧客や、市場ニーズに合わせて企業向けソリューションを開発し、さまざまなプラットフォームに提供したいSIerやソフトウェアベンダーなどをターゲットとする。

 サービス構成は大きく「コラボレーティブ・ライフサイクル・マネジメントサービス(CLMS)」と「アプリケーションワークロードサービス(SCAWS)」の2つ。

チームによる協働開発を支援する「CLMS」

CLMSの概要。IBM Rationalシリーズで企画部門、開発部門、品質部門の“協働開発”を支援

 「サービスを開発する際にコンセプト策定、開発、テストに時間をかけてもリリースするまではその成否は分からない。そうした不透明な時代こそ、スピード展開でリスクを最小にすべき」との考えからアジャイル開発を提案し、アジャイル開発で必要な“チームでの協働開発”を支援するのが「CLMS」。

 具体的に「CLMS」では、開発支援製品群「IBM Rational」シリーズのうち、ソフトウェア要求定義ツール「Rational Requirement Composer(RRC)」、構成管理・変更管理・作業管理など必要な機能を1つのパッケージにした、チームによる協働開発プラットフォーム「Rational Team Concert(RTC)」、テスト管理・品質管理ツール「Rational Quality Manager(RQM)」をPaaS上で提供。

 要求からユーザーストーリーをまとめる企画部門、実際に開発を行う開発部門、テストを行う品質部門をそれぞれ支援しつつ、要件定義の段階からテストケースの策定を始めたり、テストの結果を開発部門へフィードバックしたりと各部門の連携を支援する。

 5人以上の利用が前提で、価格は月額8万円程度から。

開発運用連携(DevOps)を実現する「SCAWS」

SCAWSの概要

 「SCAWS」では、開発運用連携を支援するため、パターンや仮想イメージの開発・管理ツール「IBM Workload Deployer」を提供。もともとハードウェア・アプライアンスとして提供されている製品だが、今回、クラウドとしてPaaS上で提供する。

 特徴は、ソフトウェアの仮想イメージおよびパターンを用意し、ドラッグ&ドロップの簡単操作ででクラウドにソフトウェア環境を簡単・迅速に構築でき、デプロイ・管理まで安全に行えるというもの。仮想イメージとパターンはあらかじめ用意されており、そのまま使用できるだけでなくカスタマイズすることも可能。

 (1)複数のVMで構成されているようなシステムを一気にプロビジョニングする機能、(2)Webアプリケーションサーバーやデータベースといった各コンポーネントのリンクを定義する機能、(3)Webアプリケーションサーバーが5秒タイムアウトしたらスケールアウトさせるといったようなポリシーを定義する機能、(4)障害発生時にファイルオーバーさせるといったような運用のセミオートメーション機能――の大きく4点が提供される。

 CLMSおよびSCAWSをSCEパブリッククラウド環境上で提供するのが、今回の新サービスだ。ここで構築した環境やシステムは仮想パターン化して簡単に「PureApplication」などのプライベートクラウド基盤製品に移すことも可能。最初はパブリックで始めて、ビジネスの進ちょくなどに応じて一部をプライベートに移すといったハイブリッドクラウドが容易に実現できるようになっている。

 新サービスの「SCAS」は2012年12月より一部提供が開始されており、サービスの追加や機能の拡張が順次実施。すでに幕張データセンターからの国内提供も始まっているとのこと。

SCEのコントロールパネルから「サービス・インスタンスの追加」で新サービスが利用できる
SCAWSのトップ画面
各コンポーネントをドラッグ&ドロップでキャンバスに配置。矢印でリンクを定義する
デプロイ中
仮想マシンモニターやロギング機能も利用可能

(川島 弘之)