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オムロンと日本マイクロソフト、製造業の生産現場におけるビッグデータ活用で連携

製造装置とSQL Serverの“直結”ソリューションを提供

オムロン オートメーションシステム統轄事業部 コントロール事業部 副事業部長の横見光氏。手にしているのは新製品の「Sysmac NJシリーズ データベース接続CPUユニット」である

 オムロン株式会社と日本マイクロソフト株式会社は30日、製造業における“ビッグデータ”の活用で協業すると発表した。第1弾として、オムロンが持つセンシング&コントロール機器と、日本マイクロソフトのデータベースを組み合わせ、製造業の生産現場のさまざまな情報を収集・活用する「Sysmac&SQL直結ソリューション」を提供する。

 このソリューションでは、オムロンが新たに提供するSysmacオートメーションプラットフォーム対応製品「Sysmac NJシリーズ データベース接続CPUユニット」を活用。マシンデータをシリアル番号やタイムスタンプなどとひも付け、最速20msでSQL Serverへリアルタイムで送り込む。これによって、製造履歴管理(品質トレーサビリティ)や機械の保全業務支援のためのデータ活用が容易になるとのこと。

 オムロン オートメーションシステム統轄事業部 コントロール事業部 副事業部長の横見光氏は、「品質に関する法規制の強化や消費者のPL(product liability)意識の変化によって市場リコールが拡大している中で、ひとたびインシデントが発生すると長年積み重ねてきた市場の評価が一瞬で崩れてしまう。そうした背景もあって、製造業の生産現場では、これまでのロット単位、製造単位ではなく個体単位での品質管理の強化が強く求められるようになった」との背景を説明。こうした課題に応えるため、日本マイクロソフトと連携した取り組みを推進するに至ったとする。

 今回提供する「Sysmac&SQL直結ソリューション」では、製造装置とデータベースを文字通り“直結”させる点が特徴。製造装置からデータベースにデータを送る場合、従来は、間にPCなどのゲートウェイをいったん介していたため、ソフトウェアの開発が必要になっていたほか、ゲートウェイが間に入ることによってその分信頼性が落ちるといった問題があった。しかしこのソリューションは、余分なものを廃して製造装置から直結することで、プログラミング作業なく、マシンデータを漏れなく確実に、かつ高速に送れるのだという。

 この点について横見氏は、「1000のデータのうち999が送れればいい、というわけではなく、すべてのデータを確実に蓄積してトレーサビリティに活用し、その結果、リアルタイムな経営判断に使えるという点が重要。また、IT技術を意識しなくても直接データを遅れることも意味がある」と述べた。

Sysmac&SQL直結ソリューションの概要

 一方、送ったデータについては、SQL Serverが持つさまざまな分析機能によって詳細な分析が可能になるとのこと。日本マイクロソフト インダストリーパートナー営業統括本部 インダストリーソリューション本部 本部長の浜口猛智氏は、Webブラウザでリッチなレポート機能を実現している「Power View」、画像データを合わせた詳細な分析を可能にする「Pivot Viewer」といったSQL Serverの機能を紹介。オフィスワーカーが使い慣れたExcelによる詳細分析とともに、さまざまな活用が可能だとアピールした。

協業ソリューションにおける日本マイクロソフト製品の活用イメージ
Power Viewの活用例
Pivot Viewerの活用例

 両社では、オムロンの草津事業所内にある「つなぎラボ」で展示するモデル機械を用いて、このソリューションの検証環境を提供するほか、パートナー企業などとも連携して、営業・マーケティング活動を展開する計画で、2013年に30社への導入を目指して活動を進めるとしている。

オムロンの横見光 副事業部長(左)と日本マイクロソフトの浜口猛智 本部長(右)

(石井 一志)