2011年のソフト市場、震災の影響は思ったよりも小さく～IDC Japan

　IDC Japan株式会社は10日、国内ソフト市場動向および予測を発表した。2010年の市場規模は2兆1337億2300万円。2010～2015年の年平均成長率（CAGR）は2.5％で、2015年には2兆4168億9700万円に達すると予測している。

　同市場は2009年に前年比成長率マイナス10.3％とリーマンショックの影響を色濃く受けたが、2010年は前年比成長率5.4％と順調に回復。2兆1337億2300万円の規模となった。しかし、2011年は震災の影響やその後のさらなる円高、タイの洪水、内需冷え込み、欧州経済不安などの影響で、再びマイナス成長に転じると分析する。

　震災の影響については、2011年3～5月にかけてのプロジェクト延伸によるソフト支出抑制が顕著だったという。また、公共/教育分野、メインフレーム市場向けのソフト支出も震災の影響を強く受けたが、一方でBCP（事業継続計画）のためのソフト支出や、複雑化するグローバル対応を見据えたソフト市場が市場をけん引した。その結果、震災直後に想定したほどの深刻な影響は及ばないと分析。今回のアップデートで2011年5月に発表した前年比成長率マイナス8.1％から7.6ポイント上方修正。マイナス0.5％の2兆1235億800万円規模になると予測している。

　2010～2015年のCAGRは2.5％、2015年には2兆4168億9700円になると予測。また過去を振り返ると、2008年にピーク（2兆2572億8000万円）を迎えた同市場だが、2013年にはその規模を超えると見ている。

国内ソフト市場予測 2010～2015年

　2010年の同市場におけるベンダー売り上げランキングは、日本マイクロソフトがシェア18.3％で1位、前年比成長率6.8％と大きく成長。2位は富士通でシェア10％だったが、前年比成長率はマイナス1.6％と、2年連続で前年割れの見込み。3位はIBMと日立が同率でシェア6.9％だったが、IBMは前年比成長率5.2％であるのに対し、日立は1.3％だと分析する。5位はNECでシェアは5.7％、前年比成長率は1.8％。上位5ベンダーの動向を見ると、マイクロソフトとIBMが好調だったのに対し、国産ベンダー勢はリーマンショック後の立ち上がりが遅れる傾向にあるという。

　今後は「従来型のライセンスソフトビジネスが中長期的に縮小傾向に向かい、ハードとソフトの一体型モデルや、モビリティ、ビッグデータ、ソーシャルメディアなどの未成熟市場が新たな成長市場となり、ソフトベンダーによっては収益構造の大幅な変革に迫られることになる」としている。