さくらインターネット、石狩DCに高電圧直流給電システムを採用へ


 さくらインターネット株式会社は9日、2011年秋に竣工予定の石狩データセンター(DC)での採用に向け、NTTデータ先端技術株式会社、河村電器産業株式会社、日商エレクトロニクス株式会社とともに、高電圧直流(HVDC)給電システムの総合的な評価検証を実施すると発表した。HVDCの採用と北海道の冷涼な外気を活用した外気冷房を組み合わせ、世界最高水準のエネルギー効率を目指す。

 同データセンターは、クラウドコンピューティングに特化した大規模データセンターとして北海道石狩市に建設している施設。低温外気の自然エネルギーを外気冷房に活用するのが特徴で、通年外気冷房のみの場合のPUEで1.11を達成する見込みとなっている。従来型データセンターと比較すると、これだけで空調の消費電力を約9割削減できる計算だが、さらに電力効率を改善するため、高電圧直流給電システムの導入を検討する。

サーバルームの空調は、天井から冷却風を供給する天井吹出方式と、壁面から冷却風を供給する壁吹出方式を採用する

 データセンターへの給電にはAC方式とDC方式が存在する。従来のAC方式では、受電設備となるUPSに給電する際にAC→DC→ACと2度のAC/DC変換を行い、サーバー内部の電源ユニットでも再度AC/DC変換を行う。変換時には必ず電力損失が起こるため、AC方式の効率は70~80%にとどまってしまう欠点がある。

 一方、DC方式では、UPSからサーバーなどの機器に至る電力経路での各種損失を徹底的に取り除くことが可能で、IT機器の消費電力そのものを引き下げられる。今回は、高電圧力竜給電方式のHVDC 12V方式を採用することで、受変電設備からサーバーまでの経路における総合的な電力効率は90%以上となり、AC方式よりも高いエネルギー効率が実現する。

AC方式とHVDC方式の違い

 具体的には、従来型データセンターを100とした場合の石狩データセンターの消費電力は、外気冷房とAC方式での給電の場合で60となり、HVDC 12V方式の場合で50まで下がるという。IT機器と空調の消費電力は、AC方式と比べて10~20%削減される見込み。

エネルギー効率への効果

 さくらインターネットでは、「外気冷房に高電圧直流給電を組み合わせることで、エネルギー効率は世界最高水準に達し、競合他社はもちろん海外勢も圧倒する低コストと省エネを実現する。また、国家レベルの課題である電力問題に対するデータセンター業界の取り組みの第一歩として、次世代データセンターのスタンダードを確立したい」としている。

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