オープンなネットワークに取り組むブロケード、2012年2月に「OpenFlow ソリューションラボ」を開設へ


米Brocade マイケル・クレイコーCEO
米Brocade CTO兼コーポレートディベロップメント担当副社長のデイブ・スティーブンス氏

 「IT業界で仮想化が進む中で、従来の企業のインフラは次の5年には対応できない。この変化は過去25年より大きく、インフラが変わらないといけない」--。ブロケード・コミュニケーションズ・システムズ株式会社(ブロケード)は11日、米Brocade マイケル・クレイコーCEOの来日記者会見を開催。同社の方向性などを説明した。

 ネットワークによって、xSPやデータセンター、エンタープライズのビジネスを支えていくというBrocadeの基本の方向性は、以前から変わっていない。この1年で仮想化はさらに進展し、特にサーバー仮想化は当たり前になった。しかし、ネットワークはこうした動きに追随できておらず、管理や運用の面でユーザーの大きな負担になっているのは、再三指摘されている事実だ。

 こうした面は、仮想化をさらに進めた「クラウド化」においても大きな課題となっている。自社データセンター内のプライベートクラウド、クラウド事業者の環境を利用したパブリッククラウド、そしてそれらを合わせたハイブリッドクラウドの各環境は、従来のネットワークとはまた違った要件が必要とされる。それに対してブロケードが提供する答えが「CloudPlex」というアーキテクチャだが、これを米Brocade CTO兼コーポレートディベロップメント担当副社長のデイブ・スティーブンス氏は、「ファブリック」「グローバル」「オープン」という3つの要素から説明する。

 まず「ファブリック」では、スイッチをクラスタ化する「Brocade Virtual Cluster Switching(VCS)」と、その中の「イーサネットファブリック」技術が、重要な鍵を握るという。SANのファブリックでは、FCスイッチを中心にサーバーとストレージが放射線状に接続され、基本的に階層を持たない。一方Ethernetでは、3階層のアーキテクチャを採用するケースが多く、階層で遅延が発生するため、通信の高速化を妨げたり、ネットワーク全体の構成が複雑化したりしていたという。

 「イーサネットファブリック」は、前述のようにフラットなネットワークであるSANのファブリックの概念を、Ethernetに持ち込んだもの。FC SANの世界ではグローバルで70%、国内では85%のシェアを持ち、長年ビジネスを行ってきたブロケードにとって、クレイコーCEOが「約15年、ストレージ側のビジネスでファブリックを使ってきた」と話すように、ストレージの世界でのファブリックは、非常に慣れ親しんだ概念である。

 昨今、さまざまなベンダーが「イーサネットファブリック」、あるいはそれに近いアーキテクチャを提唱するようになっているが、クレイコーCEOは「製品として提供できているのは当社だけ。使い方がシンプルで、止まらない可用性を持ち、コストも低く抑えられる、また、アプリケーションにも最適化されている」と述べ、この分野でのリーダーシップについて、自信を隠さない。

 「イーサネットファブリック」の具体的なメリットとしては、スパニングツリーを廃したネットワークを構築できることが挙げられる。従来のスパニングツリーでは、最短経路以外のネットワークケーブルは通常使われていないので、「データセンターのリンクの4割は使われてない」(スティーブンス氏)状態になってしまう。

 しかし「イーサネットファブリック」ではすべてのケーブルを利用してマルチパスのデータ通信を分散して行うため、すべてのケーブルが有効に利用できる。さらに、仮想マシンのライブマイグレーションなどによる移動時、ネットワーク設定を自動化できる「Automatic Migration of Port Profile(AMPP)」も、仮想化時代には欠かせない機能で、管理や設定の手間を大幅に軽減可能になる。クラウドの利用が拡大し、ネットワークの役割がより重要度を増す中で、こうした機能の存在価値は大きいといえる。


イーサネットファブリックの価値

 2つ目の「グローバル」というキーワードでは、システムのポータビリティを視野に入れている。自社のデータセンター間、あるいはクラウド事業者の提供するパブリッククラウドの間で、自由に環境を動かせるようになれば、ユーザーにとってもメリットは大きい。ただし、仮想マシンが動くときには、データの移動も考えなければならず、それらをいかに効率よく動かせるようにするか、という点も大事になる。こうした点も、今後のCloudPlexでは考慮されていくという。

 また3つ目の「オープン」という点も、非常にブロケードが重要視しているところだ。ベストブリードによる仮想化ソリューションを届けるための「Virtual Compute Block」という考え方もその一つだし、ネットワークにおけるOpenFlow、クラウド構築におけるOpenStackといったオープンな技術にコミットしているのも、その現れ。そしてブロケードでは2012年2月に、国内に「OpenFlow ソリューションラボ」をオープンさせ、この分野への取り組みを強化する計画で、いっそう「オープン」なネットワークを推進していきたい意向だ。


ベストブリードの仮想化ソリューションを実現する「Virtual Compute Block」「OpenFlow ソリューションラボ」を国内に開設する
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