富士通、次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」を発表


 富士通株式会社は21日、次世代ものづくり環境「エンジニアリングクラウド」のコンセプトを確立し、ものづくりを支援するソフト・サービス群をクラウドサービスとして、10月より順次提供すると発表した。

 CADや解析ソフト、部品データベースなど製造業のものづくりを支援するソフトや、ものづくりを革新する新サービス群を、同社データセンターからクラウドサービスとして提供する。富士通研究所が開発し、富士通アドバンストテクノロジが実用化に成功した高速画像圧縮技術「RVEC」を採用することで、設計データなど大量なデータやアプリケーションをクラウド基盤に集約することに成功したという。

 RVECは、クラウド基盤にデータを格納する仮想デスクトップにおいて、動画や高精細な画像を扱う際のデータ転送量を従来の約10分の1に削減する技術。一般的に仮想デスクトップで弱点とされるCADなどのグラフィック処理を高速化し、より幅広い業務へ広げることが可能となる。

 新クラウドサービスとして具体的には、顧客の製品開発環境に合わせて、日本の製造業が求めるさまざまなソリューションを提供する「エンジニアリングクラウド/SaaS」と、RVECによる高速シンクライアント環境を提供する「エンジニアリングクラウド/PaaS」の2種類を用意する。

サービス体系

 エンジニアリングクラウド/SaaSは、同社のCADや解析、PDM(製品データ管理)などのアプリケーションをSaaSとして提供。これに加え、同社グループのものづくりの現場で利用している製品開発ノウハウ・手法をクラウド基盤に統合し、「富士通ものづくりノウハウサービス」として提供する。

 また、各拠点が連携したものづくりも実現し、遠隔地での設計レビューや在宅勤務などの新しい協業スタイルやワークスタイル、クラウドだからこそ可能になった蓄積データの分析など、新しい価値のサービスも創出するとしている。

 一方のエンジニアリングクラウド/PaaSでは、RVECによる高速シンクライアント環境を提供する。従来専用ワークステーションが必要だった重い処理をノートPCやスマートフォンでも可能にするという。

 富士通では、販売開始から3年間で100億円の売り上げを目指す考え。

関連情報