NEC、プラットフォーム事業で2012年度に売上4100億円を目指す
サーバー分野でレノボとの提携も計画
プラットフォームビジネスユニット 執行役員常務 山元正人氏 |
日本電気株式会社(NEC)は9日、プラットフォーム事業に関する記者説明会を開催。同社 プラットフォームビジネスユニット 執行役員常務 山元正人氏が、「重点事業への集中投資や原価低減などを徹底し、(2009年度から2012年度までのCAGR)3%の成長で、2012年度に4100億円の売上高を目指す」との計画を示した。
プラットフォーム事業とは、サーバー機やストレージといった「ITハードウェア」、OSやミドルウェアなどの「ITソフトウェア」、PBXやユニファイドコミュニケーション(UC)などの「ネットワーク」から構成される事業。2009年度の売り上げ構成比は、それぞれ33%、23%、44%で、特に突出した事業はない。
また、全体の25%が海外からの売り上げとなっているが、ネットワーク事業は欧米や豪州などの先進国を中心に、50%が海外からの売り上げで、ITハードウェア、ITソフトウェアは国内が中心のビジネスになっているという。
プラットフォーム事業の領域 | 事業内容 |
2009年度の実績を見ると、売上高が3737億円、営業損失が17億円の赤字と、実績を残せなかったが、2010年度は「仮想化の進展で約110億円の売り上げ増が見込めるほか、費用改善効果で110億円の利益を見込んでいる」。費用改善では、例えば、事業統合・組織再編で効率化を図っているほか、品質損失コスト、原価、回転数といったQCD(品質・コスト・デリバリ)の改善なども実行。さらに、選択と集中による重点事業への集中投資と、開発の共通化なども行って、さらなる改善を図っていく計画だ。
プラットフォーム事業の状況 | 体質改善への取り組み |
重点事業としては、1)UC事業、2)クラウド共通基盤事業、3)サーバ事業を挙げた。
UC事業 |
クラウド共通基盤事業 |
サーバ事業 |
1)では、クラウドサービスとネットワークサービスを既存のオフィスソリューションに融合した「C&Cオフィス」を中核に据え、オフィスのICT環境をクラウドサービスで提供する「UNIVERGE Live」、新興国向けのコミュニケーションサーバー「UNIVERGE SL1000」などの拡販を図る。またNECでは、ネットワーク製品の販売網を海外ですでに持っているが、これをさらに強化し、業種特化ソリューションの新興国展開なども図るとしている。
2)では、クラウド基盤「REAL IT PLATFORM G2」の強化を図る考え。具体的には、サービス実行基盤でのマルチテナント処理や高速データ処理の強化、クラウド運用やクラウドサービス間の連携、リソースの効率的な利用、仮想ネットワーク基盤「OpenFlow」の製品化などを順次行うという。なおOpenFlowに関しては、現在国内外のデータセンターで実証しており、運用コストの削減と最適なネットワークの構築ができる製品として、2011年春にはデータセンター向けの製品を提供できる予定とのこと。
3)のサーバー関連では、クラウド需要の広がりを受け、データセンターでの活用が広がると予測。省電力化と、高密度化、軽量化を徹底的に追求し、「エコには徹底的にこだわりたい」(山元氏)との姿勢を示す。さらに、屋外設置対応、耐粉塵など、各種環境に対応したサーバーを提供し、用途・範囲の拡大を狙うほか、ネットワーク製品の販売網を利用した海外での販売増、新興国での新規チャネル獲得なども行うとしている。
なおサーバー分野では、先ごろPC部門で合弁会社設立が発表された、中国Lenovoとの販売提携を積極的に検討しているという。「Lenovoもサーバーを販売しているが、安いサーバーが基本で、当社と比べるとラインアップも少ないので、彼らから見たら補完関係にある。Lenovoは、中国では政府系にかなり販売していると聞いているし、まず中国を対象に販売を伸ばしていきたい」と、山元氏は狙いを説明した。ただし、具体的な活動についてはこれからの協議内容によるとし、提携の時期や販売計画などは明らかにしていない。
このほかNECでは、サプライチェーンの改善や、ソフトウェアの生産性向上、ハードウェアプラットフォーム共通化による競争力強化なども行う計画。特に、サーバー、ストレージ、PBX、ATMといった製品のハードウェアを共通化が実現すれば、最新技術の早期搭載、開発・生産コスト、保守コストの削減などが達成できるとのことで、「価格低下は著しいが、それを上回る原価低減を期待している」(山元氏)とした。
NECではこうした取り組みにより、3%のCAGR(2009~2012年)、重点目標では8%のCAGRを見込んでおり、2012年度では4100億円の売上高、200億円の営業利益、5%の営業利益率を達成する計画である。
2012年度までの売上高計画 | 収益向上への取り組み |