NECの2010年度第3四半期決算は減収減益、IT投資回復の遅れと大型案件の減少が響く


取締役執行役員専務の小野隆男氏
セグメント別の実績
セグメント別の実績のポイント

 日本電気株式会社(以下、NEC)は27日、2010年度第3四半期連結決算を発表した。売上高は前年同期比12.7%減の7207億円、営業損失は前年同期から60億円悪化した135億円の赤字。経常損失も前年から205億円悪化した270億円の赤字、当期純損失も169億円悪化した265億円の赤字で、減収減益になっている。

 4~12月の9カ月間を見ると、売上高は前年同期比11.7%減の2兆1899億円、営業損失は前年同期から328億円改善したが、124億円の赤字。経常損失は前年同期から71億円改善し、492億円の赤字、純損益は逆に4億円悪化した536億円の赤字となった。

 NEC 取締役執行役員専務の小野隆男氏は、売上高の減少について「NECエレクトロニクス(現・ルネサスエレクトロニクス)が連結子会社から外れたこと、またITサービスで、IT投資回復が遅れ、大型案件の減少などが影響した」と説明。利益面では「前年同期に営業損失を計上していたNECエレクトロニクスが連結子会社でなくなったため、その面では改善したが、ITサービスの減収が響いている」とした。

 そのITサービス事業を見ると、売上高が前年同期比8.8%減の1710億円、営業損益が同100億円減で66億円の赤字に転落した。小野氏は「IT投資意欲が、当社の想定と比べるとなかなか持ち上がってこない現実の中で苦戦した」とするが、先の見通しについては、「IT投資は、企業や官庁がいつまでも投資しないというわけにはいかないもの。来年度後半には相当盛り上がってくると期待して、来年度の増収増益を狙って行きたい」と話している。

 プラットフォーム事業は、売上高が前年同期比5.1%減の825億円、営業損失は前年同期から17億円悪化し、20億円の赤字。ソフトウェアが堅調に推移したものの、サーバーなどハードウェアの売上高が減少したため、減収減益となった。

 キャリアネットワーク事業は、売上高が前年同期比2%増の1457億円、営業利益は、前年同期から38億円増の58億円。海外向け無線通信機器が減少したものの、ケーブルテレビ関連システムや電力・エネルギー分野向けシステムが増加し、好調に推移した。

 社会インフラ事業は、売上高が前年同期比3.0%増の666億円、営業利益は前年同期から1億円減の4億円。交通、消防など社会システム分野が堅調に推移した。

 パーソナルソリューション事業は、売上高が前年同期比9.2%増の1930億円、営業損益が前年同期から51億円悪化し、16億円の赤字に転落した。PCの売上高は減少したが、携帯電話事業における、カシオ日立モバイルコミュニケーションズとの事業統合の影響で、売上高は増加。一方で、スマートフォンの急激な普及のあおりを受け、既存の携帯電話の販売が不振で、減益になってしまったという。

 この携帯電話事業については、「不振の理由は『世の中の読み違い』」とし、スマートフォンの躍進を読み切れなかったとコメント。また、「端末がガラッと変化する際にはそれなりの開発期間がかかるため、他社よりも一回り遅れてしまった。遅れを取り戻そうと開発を急いでいるので、そう遠くない時期に市場投入できる」とし、Android搭載スマートフォンの投入を急ぐとした。小野氏によれば、海外では年度内、国内でも早期に投入できる見込みという。なお、携帯電話の年度内出荷数については、260万台から250万台へ下方修正した。

 その他事業は、売上高が前年同期比62.8%減の619億円、営業損益は前年同期から90億円改善し、13億円の黒字。減収、増益、どちらにも、NECエレクトロニクスが連結子会社でなくなったことが大きく影響している。

 なお、通期業績予想は、合計、セグメント別ともに変更しない。「本年度も通期予想達成に向けてV12の初年度として執着心を持って取り組む」(小野専務)とした。

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