日本IBM、世界共通基盤を採用した新パブリッククラウド

PaaS、VDI、テストSaaSなどを国内展開


世界共通基盤を幕張データセンターに構築し、4種の新サービスを提供する

 日本IBMは29日、企業向けの新パブリッククラウドサービスを発表した。

 同社では、グローバルで統合されたパブリッククラウド基盤を構築し、全世界へ展開している。その一環として、幕張データセンターに同基盤を構築し、国内企業向けに新たなパブリッククラウドサービス提供する。

 グローバルで統合された基盤を活用することで、「ユーザーは世界中どこでも均一のサービスを受けられ、コンプライアンスやパフォーマンスの観点から好きな拠点を選択できる」(執行役員 クラウド・コンピューティング事業担当の吉崎敏文氏)のが最大の特長。セキュリティ研究開発組織「X-FORCE」の技術を活用した進入防御装置を設置し、全世界に9拠点あるセキュリティ・オペレーション・センターから24時間365日監視するなど、セキュリティも万全の体制を整えている。

共通基盤の概要各地の拠点を統合することでグローバル規模での統合サービスを実現

 提供する新サービスは、1)PaaSサービス「IBM Smart Business 開発&テスト・クラウド・サービス」、2)VDIサービス「IBM Smart Business デスクトップ・クラウド・サービス」、3)クラウドアプリケーション設計・開発支援「IBMクラウド・アプリケーション開発サービス」、テストSaaS「IBMクラウド・テスト・サービス」の4種類。


ソフト開発環境を提供するPaaS

IBM Smart Business 開発&テスト・クラウド・サービスの概要

 1)は、アプリケーションの開発・テスト環境を提供するPaaSで、仮想CPU、仮想メモリ、仮想ディスク、ソフトなど必要なIT資源をメニューから選択するだけで、10分程度で仮想マシンを利用できる。

 また、開発ツール「Rational」、Webアプリケーション基盤「WebSphere」、データベース管理ソフト「DB2」、ならびにサー ドパーティ製ソフトなど、幅広いソフト群を短期間で仮想サーバーに立ち上げられるよう構成・テスト済みのひな形が提供されるのが特長という。

 提供開始は2011年3月を予定。価格は、OS込みで10円(税別)/時間から。10円の場合の構成は、仮想CPU(1.25GHz)×1個、仮想メモリ2GB、仮想ディスク60GB、Windows Server 2003/2008となる。


Citrix XenDesktop/HDXを活用するVDIサービス

 2)は、仮想デスクトップ環境(VDI)を提供するサービス。同社が用意したサーバー上のVDIで、PCのアプリケーションを稼動させることができ、出張先のモバイル端末からでも、会議室、自宅、もしくはネットワークに接続されたさまざまな場所からでも、ユーザー固有のVDIにアクセスできる。

 仮想化にはCitrix XenDesktopを活用。HDXテクノロジーにより、エンドユーザー端末の性能に関係なく、優れたグラフィック、マルチメディアに対応した柔軟な業務環境を実現する。

 グローバル統合基盤のおかげで、国内・海外で一貫した利用が可能。大規模な場合は、顧客のデータセンターにおける運用にも対応する。

 提供開始は2011年3月を予定。価格は、仮想クライアントあたり2960円(5年契約の場合)となる。

IBM Smart Business デスクトップ・クラウド・サービスの概要「IBMデータセンター型」と「お客さまデータセンター型」の2種類の提供方式を用意



クラウドアプリケーションの設計・開発支援

IBMクラウド・アプリケーション開発サービスの概要

 3)は、クラウドサービスを提供したい企業に対して、ビジネス上の要件分析、アーキテクチャ設計、組織や体制のあり方、実現に向けてのロードマップ作成、実際の開発まで支援する。

 提供開始は2011年3月を予定。価格は個別見積もりだが、参考として、計画フェーズ約12週間で1500万円(税別)から。


SaaS型テストサービス

IBMクラウド・テスト・サービスの概要

 4)は、SaaS型のテストサービス。システムのシミュレーションテストとパフォーマンステストが可能。実際の物理的なテスト環境をクラウド上のソフト環境上にシミュレーションすることで、物理環境に依存することなくテストできるのが特長。テストの自動化やテストツールをまとめることで、テストの効率化を図り、所要時間の短縮やコスト削減を実現する。

 提供開始は2011年第2四半期(4~6月)を予定。価格は個別見積もりだが、参考として、ソフト環境におけるシミュレーションの初期評価の場合、約2週間で400万円(税別)となる。


グローバル統合基盤が他社と比べた強み

代表取締役社長の橋元孝之氏

 代表取締役社長の橋元孝之氏は、「グローバル共通」という言葉を強調する。「グローバル共通基盤を採用しているため、グローバル企業が一貫したサービスを受けられるし、必要に応じて世界の拠点の中から最適なデータセンターを選択できる。当社はグローバルリソースが豊富で、これが他社のパブリッククラウドと比べた強みといえる。現地スタッフも豊富なので、基盤は共通でも、その上のアプリケーションに地域特性を反映させる活用も可能となる」とのこと。

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