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富士通研究所、ブロックチェーンのトランザクション処理を高速化する技術を開発

 株式会社富士通研究所は、Linux Foundationが提唱するHyperledgerプロジェクトのブロックチェーンフレームワーク「Hyperledger Fabric」において、トランザクション処理を高速化する技術を開発したと発表した。

 ブロックチェーンでは、参加者数に応じたノード群がネットワークを形成し、取引処理の実行や取引の正当性の検証といった一連の処理がネットワークを介して連携して進む。そのため、従来の集中管理型のシステムに比べて、ネットワークを介した通信の影響により単位時間あたりに実行できる取引の数が制限され、大量の取引処理を即時に行うなどの高い性能が要求される、オンライン取引システムへの適用が課題となっている。

ブロックチェーンにおける取引処理

 富士通研究所の解析技術により、日本国内の複数拠点でコンソーシアム型ブロックチェーンを運用するケースなど、64ms程度以下の応答時間が必要となるネットワーク状況下においては、取引処理におけるアプリケーションとブロックチェーン基盤との間の通信が主要なボトルネック要因であることが分かったという。

 これをもとに富士通研究所では、アプリケーションとブロックチェーン基盤との間の通信回数を削減することでトランザクション処理を高速化する2つの技術を開発した。

 ブロックチェーンの取引処理においては、特定のデータを取得してアプリケーション上で演算処理を行ないブロックチェーン基盤に書き戻すという処理が多く用いられる。そこで、指示したデータに対する差分演算のみをブロックチェーン基盤上で一回の処理で実行し、通信回数に直結する演算数を削減する、データの差分更新(DUS: Differential Update State)機能を開発した。

 また、ブロックチェーン基盤に対して複数の処理をまとめて送付して一括実行する一括更新(CR: Compound Request)機能を開発。複数処理をまとめることにより、ブロックチェーン基盤上での処理を効率化するとともに通信回数を削減し、まとめた処理に部分的なエラーが発生した場合には、一括実行した起点に巻き戻し、再処理を行うことで精度を保つ。

差分更新機能および一括更新機能による通信回数削減(口座AからBへX円送金する場合)

 富士通研究所では、技術をHyperledger Fabricの安定版(v0.6.1)に実装し、4台のサーバーから構成されるブロックチェーン基盤で取引性能の測定を実施。従来方式では毎秒約500取引のところを、開発した技術を用いることで約2.7倍となる毎秒約1350取引を実現した。

 今回開発した技術により、金融機関のように毎秒1000取引を超えるような高い性能が要求されるオンライン取引システムに対し、性能面でHyperledger Fabricフレームワークの適用が可能になると説明。富士通研究所では、Hyperledger Fabricフレームワークの最新版に対応しながら、さらなる高速化技術の開発を進めるとともに、技術の業務適用を想定した検証を進め、2017年度中に富士通株式会社での製品化を計画中としている。