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ラックがJSOCをリニューアルオープン、新時代の技術者にふさわしい施設へ
2017年7月21日 14:58
株式会社ラックは21日、セキュリティ監視センター「JSOC(Japan Security Operation Center)」をリニューアルオープンした。
同社のJCOCリニューアルは7年ぶり。代表取締役社長の西本逸郎氏は、「当社のセキュリティ事業は95年からスタートし、黒字化2005年、10年は赤字のままだった。そこからさらに12年たち、生意気ではあるが、『日本を守るんだ』という気持ちでやってきた。今後もこの気持ちを変えることなく、精進していきたい。今回のJSOCは初代の2000年に構築したものから4世代目。JSOC 4.0としてリニューアルオープンする」とした。
また、「5月にはWannaCryという大変悪質なコンピュータウイルスの攻撃があった。あれは現在でも全く沈静化されておらず、工場の中など閉鎖環境の中で猛威を振るっている現状もある。われわれも常に進化をして対抗していかなければならない。今回スペースもかなり拡大している」とセキュリティ事業強化を進めるためのリニューアルであると強調した。
新JSOCオープン後は、毎月第2水曜日の午後を見学会の日として、定期的に見学会の開催を予定している。ラックではJSOCを自社の事業アピールに活用するとともに、“利用者が自社内にSOCを開設する際のヒントとなるような場所”とも想定しており、定期見学会もこうした狙いのもとに開催していく。
3点にポイントを置いてJSOCのリニューアルを実施
今回、リニューアルを行った背景について、ラックのITP統括本部 CS事業部の中間俊英氏は、「事業環境が変化し、攻撃を仕掛けてくる相手はプロの犯罪者になり、攻撃の手法もAIなどの活用によって、より狡猾になっている。お客さまの環境もクラウド活用が当たり前になって、プライベートSOCを設けるケースも増えている」ことを挙げる。
同社の監視サービス事業も好調に推移しており、2010年度には売上が23億2700万円だったが、2016年度は35億8000万円と着実に増加している。
今回、こうした背景をふまえ、次の3点にポイントを置いてJSOCリニューアルを実施した。
(1)合理的な環境の整備=知的労働の場の雰囲気、高い生産性を生む雰囲気、明るくすること
(2)監視センターのイメージを変える=攻撃者が変わって、われわれも変わる。ホワイトハッカーの清廉なイメージ
(3)スペースの拡大=1名あたりの面積の拡大
「合理的な環境の整備については、以前のように汗をかいて対策を採ればいいという時代ではなくなった。高い生産性をあげるために、知的労働の場にしなければならない。技術者に変化を促すためには、場を変えていくことが効果的と考え、デザイン面も含めてリニューアルを行った」(中間氏)。
デザインは、JSOCがあるビルのオーナー企業である森ビルが担当した。ラックは森ビル側に「ホワイトハッカー」「ブレインワーク」という2つのキーワードを挙げてデザインを依頼。ホワイトハッカーにはセキュリティのエキスパートとしての清廉なイメージを、ブレインワークには研ぎ澄まされた能力・技術力を持つプロフェッショナル集団というイメージを想定した。
このキーワードのもと、白を基調としたデザインとなった。従来のJSOCはサイバー空間をイメージしたような暗い印象がある室内だったのに比べ、セキュリティエキスパートが働く場として清廉なイメージでデザインが行われた。
今回の発表当日は、スタッフはグレーのジャンパーで作業を行っていたが、明るく、清廉なイメージの新JSOC開設にともない青いジャケットに変更する予定だ。
レイアウトについては、複数のモニターを利用し作業することが多いことから、執務者の意見を設計に反映。テーブルなどの各種寸法、天板の素材、メンテナンス方法法などは現場の意見を取り入れている。
利用するいすについても、長時間座って作業することが多いことを考慮して、主要メーカーのハイグレードチェアを1カ月間試用して、導入するものを決定した。現在利用されているのはオカムラのContessa IIだ。
室内にはテレビ番組を流すモニターも用意されているが、「政治家の発言が問題になった時など、一挙に攻撃が増えることもあるため、速報性があるテレビニュースを常時流して、情報把握を進めることが目的」となっている。
JSOCにかかわるスタッフは約200人。常時百数十人が作業しているが、今回公開されたスペースで働いているのは約60人で、それ以外のスタッフはバックエンドで作業を行っている。女性はこのうち2割強だという。