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富士通研が仮想サーバー制御技術を開発、ラックあたりのサーバー実装密度を向上

 株式会社富士通研究所(富士通研)は27日、データセンターにおける、ラックあたりのサーバー実装密度を向上させる仮想サーバー(VM)制御技術を開発したと発表した。

 現在のデータセンターでは、ラックへのサーバー搭載台数は、サーバーの定格電力の合計値がラックの給電量以下となるように決められているが、サーバーには常に100%の負荷がかかっているわけではなく、10~50%程度にとどまる場合も多い。こうした際には、負荷に比例するラックあたりの電力使用量は、定格電力に対して低い状態のまま利用されていることになる。

 そこで富士通研では、サーバーの実装密度を向上させるため、データセンター内のラックへ物理サーバーを高密度に実装した上で、予備のサーバーからなる区画を設け、VMの物理配置と電力消費に基づき、データセンター管理で標準的に利用できるAPIを用いて予備区画へVMマイグレーションを行う技術を開発。効率的なサーバー設置を実現している。

データセンターのサーバー実装密度を高めるためのVM制御技術
物理配置に基づいたVM制御技術

 ただし、サーバーの実装密度を上げ過ぎるとマイグレーションがひんぱんに起こってしまうため、電力量と比例するサーバー負荷とマイグレーション頻度の適度なバランスが必要となる。

 そこで今回は、あらかじめ測定した各サーバーの負荷をもとに、負荷の変動が正規分布となると仮定し、ラックごとのマイグレーション頻度を統計的に予測することで、ラックに搭載するサーバー台数を決める技術も開発した。

 例えば、30%のサーバー負荷が正規分布の中心の場合、50%の負荷の電力値に基づいた台数を搭載することで、95.5%の負荷の変動を吸収しつつ、サーバー実装密度を最大にできるとしている。

サーバー搭載ルール設定技術

 これらの技術をデータセンター環境に適用すると、サーバー実装密度の向上が可能となり、設置スペースの大幅な削減が期待できるとのこと。負荷変動が正規分布で予測できるようなクラウドサービスを提供する用途で、一例として、サーバーラックの稼働効率が50%で10区画を使い運用しているデータセンターに対し、今回開発した技術を用いて5区画でサーバーラックの稼働効率が90%となるように制御して運用した場合は、適用前と比べて40%のスペースの削減が行えるとした。

 なお富士通研では、富士通のインフラ運用管理ソフトウェア「FUJITSU Software ServerView Infrastructure Manager」に対し、2018年度中にこの技術を実装する予定。