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富士通、手のひら静脈認証装置を韓国の決済市場へ提供

 韓国富士通と富士通フロンテックは29日、韓国の大手クレジットカード会社であるロッテカード株式会社が展開する決済サービス「Hand Pay サービス」に、手のひら静脈認証「FUJITSU 生体認証 PalmSecure(パームセキュア)」を提供し、ロッテカード会員向けカードレス決済システムを実現したと発表した。

 ロッテカードは、高い認証精度を誇る富士通の手のひら静脈認証技術を生かし、クレジットカードを携帯しなくても生体認証だけで本人認証からクレジットカード決済までを一括して行うことができる韓国初のバイオペイサービスを、5月16日より運用開始した。

 手のひら静脈認証装置「PalmSecure」は、手のひらの静脈情報をイメージの形態では保存せず、静脈のパターン情報を解読が不可能なデータに変換した上で暗号化する。ロッテカードの「Hand Pay サービス」のシステムでは、暗号化されたデータを韓国金融決済院のバイオ情報分散管理センターと、ロッテカードのシステム環境に分散保存したことで、セキュリティをより強化した。

システム構成図

 PalmSecureは、皮下組織にある静脈中の還元ヘモグロビンが近赤外線を吸収して黒く映し出される特性を利用して、個人ごとに異なる静脈パターンを識別して認識を行う。

 手のひらの静脈は、指先より血管本数が多く、体毛や色素による影響もほとんどなく、双子でも判別が可能で、人種、年齢、性別に関わらず安定して高い認証が可能。また、静脈パターンは変わらないため、一度登録すれば再登録なしで利用できる。さらに、体内情報であるため改ざんやなりすましに強く、生体認証の中でも高い安全性を実現しており、非接触で認証できるため衛生面でも優位性を持っています。

 韓国富士通は、2015年に新韓銀行のセルフバンキング窓口である「SHINHAN YOUR SMART LOUNGE」の非対面手続き用デジタルキオスクにPalmSecureを適用し、韓国初の生体認証による金融事例を構築した。続いて、韓国2番目の生体認証ソリューションとなるカードレスでの非対面取引サービスを、ウリ銀行の新しい非対面チャネルである「Wibee Smart Kiosk」へ提供。さらに、KB国民銀行に手のひら静脈認証を使ったATMおよび貸金庫向け本人確認サービスを、NH投資証券向けに証券業界初となる本人認証サービスを提供するなど、多くの生体認証サービスを提供してきた。

 韓国富士通では、今回のロッテカードの「Hand Pay サービス」は、現金、カード、スマートフォンなどが不要で、自分の身体が決済手段になる初のバイオペイサービスであり、最も安全なFintech基盤の決済システムだと説明。世界で最も高い安全性と利便性を備えた手のひら静脈認証ソリューションを通して、韓国内生体認証ソリューション市場をリードしていくとしている。