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JEITA、新会長にパナソニック会長の長榮周作氏が就任 Society 5.0の推進を事業指針に

 一般社団法人 電子情報技術産業協会(以下、JEITA)の新会長に、パナソニックの代表取締役会長である長榮周作氏が就任した。5月26日に開催された第7回定時社員総会で、前会長である東原敏昭氏(日立製作所 代表執行役社長兼CEO)が、任期満了により会長を退任したことを受け、長榮氏が新会長に就任した。任期は1年。

JEITA会長の長榮周作氏

Society 5.0の推進を事業指針に

 長榮氏は平成29年度(2017年度)の取り組みとして、世界に先駆けた超スマート社会の実現「Society 5.0」の推進を事業指針とし、異業種・ベンチャー・海外などとの連携を進める。成長分野にかかわる課題の検討、政府への提言も実施していく。特に会員の競争力競争力向上のための事業環境整備、「CEATEC JAPAN」の変革、体制強化を集中的に取り組んでいく。

 長榮氏は今後のJEITAの役割として、「Society 5.0推進のために、産業界は従来の産業ごとの発展ではなく、各産業がつながり、新たな価値創出を目指していく必要がある。JEITAでは本日、開催した総会で会員制度に関する定款を変更し、IoTに密接に関係する企業に会員の門戸を広げることとした、今後は、自動走行、ヘルスケア、スマートホームなどの成長分野における、関連業界との積極的な協調を進めるつなげ役として、業界の垣根を越えた連携を促し、あらゆる産業をつなげていく役割を果たしたい」と話した。

 今年度の注力事業として長榮氏が挙げたCEATEC JAPANの改革は、昨年からJEITAが取り組んできた課題のひとつ。2016年度、「ITとエレクトロニクスの総合展」から、「CPS(サイバー・フィジカル・システム)/IoT Exhibition」へと内容を大きくシフトした。

 「その結果、2016年度の来場者数、出展企業数、海外からの参加者ともに大幅に増加した。これは新しい社会に関する情報が得たい、体感したいと考える人が多かった結果だと分析している。今年度もそれをさらに発展させる」(JEITA常務理事の川上景一氏)。

JEITA常務理事の川上景一氏

 具体的な取り組みとして長榮氏は、「社会課題の解決をテーマに据えて、あらゆる産業がつながることによる新たな価値創出を具現化し、Society 5.0のイノベーション、ショーケースを目指す。その実現のために、政府との連携、経済界との連携、海外との連携を実現する」という。

 そして、それぞれについて「政府との連携では、昨年初めて、オープニングレセプションに安倍晋三総理に来場いただいた。ラグビーワールドカップ、オリンピック・パラリンピックも見据えて政策と連動した取り組み、発信を強化する。経済界との連携では、一般社団法人 日本経済団体連合会と連携し、CEATECのIoTタウンを、社会問題を解決し、Society 5.0を築くフロントランナーが集結するエリアとする。海外との連携では、以前から連携しているアメリカ、ドイツ、フランスなどに加え、インドとの連携にも取り組む」と説明している。

 なお海外との連携については、米国のトランプ政権を筆頭に保護主義政策にシフトする国もあるものの、「デジタル貿易分野では、グローバルなデータ流通が阻害される懸念がある。JEITAとしては、国境を越えたデータのやり取りが阻害されてはならない、フェアユースを守らなければならないと考える」(長榮氏)と、今後も自由な連携が必須との考えを示した。

 JEITAの定款を変更し、IoTに関連するさまざまな業界と連携することに対しては、昨年のCEATECでは、化学繊維の企業がウェアラブルデバイスのひとつに衣料品が利用されることを念頭としたイベントを実施した経緯があり、アパレル業界など、これまでJEITAの会員企業にはなり得なかった業界の企業が会員にあることも歓迎するという。

 また、JEITAに近い存在ではありながら、会員ではなかったソフトウェア産業に対しても、「IoTにおいてソフトウェアは重要な役割を担う存在。ソフトウェア業界からの会員も歓迎したい」(川上常務理事)と参加を歓迎する。

 会見での質疑応答は、「JEITAに関することに限り、個々の企業に関する質問は受け付けない」ということだったが、「東芝の現状を、JEITA会長としてどう考えるのか?」という質問も登場した。

 長榮氏は苦笑いしながら、「個別企業に関しての返答はできないが」と前置きしながら、次のように話した。

 「私から見ると、JEITAに参加する企業それぞれが、特徴づいてきたように思う。インフラ産業を主業務とする会社、デジタル家電に軸足を置く会社、白物家電に注力する企業、自動車産業との連携を強化する企業など、それぞれの得意分野に注力するようになり、同じようなことをやっている会社の集合体ではなく、個性が出てきた」。

 なお、長榮氏は1950年1月生まれ。1972年4月に松下電工に入社し、2010年6月にパナソニック電工の代表取締役社長に就任した。松下電工は2008年にパナソニック電工へ社名変更した後、2012年にパナソニックに吸収合併されており、長榮氏もパナソニックの専務役員、代表取締役副社長を経て、2013年6月に代表取締役会長に就任している。