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第2回「JEITAベンチャー賞」、アプライド・ビジョンやエアロセンスなど7社が受賞
2017年3月17日 06:00
一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)は16日、第2回「JEITAベンチャー賞」の結果を発表し、表彰式を開催した。
JEITAベンチャー賞は、IT・エレクトロニクス業界の発展に繋がるベンチャー企業の支援や、JEITA会員とスタートアップ企業とのエコシステム構築支援を目的としたもの。創業15年以内で、中小企業基本法の定義に合致し、技術と経済の発展に貢献しうる企業が対象となる。他者による推薦があった中から審査・選考しており、基本的には国内企業を対象とするが、第2回の今回からは、日本市場進出を検討する海外企業も対象としている。
第2回は、株式会社アプライド・ビジョン・システムズ、エアロセンス株式会社、株式会社エクスビジョン、株式会社Kyulux、株式会社フェニックスソリューション、株式会社FLOSFIA、株式会社MUJIN(以上50音順)の7社が受賞した。ハードウェアや素材のベンチャー企業が多く推薦されたこともあり、大学や大企業の研究所で生まれた技術をもとに起業した企業が多く見られた。
審査委員会の委員長を務めた荒川泰彦氏(東京大学 生産技術研究所 教授)は、「1年目に非常に優れた企業を表彰させていただいて、2年目はどうなるか心配していたが、今回も優れた企業が多数推薦され、高いレベルとなった」と語った。
また、JEITA代表理事/会長の東原敏昭氏(日立製作所 代表執行役 執行役社長兼CEO)は、「皆さまの技術やソリューションが社会の課題を解決することを期待している。Society 5.0の時代には、大企業だけでなく、異業種やベンチャー、海外企業などが一緒にオープンイノベーションを推進していく必要があり、それを支援していくのがJEITAのミッション」と挨拶した。
【お詫びと訂正】
- 初出時、荒川泰彦氏のお名前を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。
受賞7社の独自技術
アプライド・ビジョン・システムズは、3次元視覚技術をベースとした高精度な3次元計測や物体認識のソリューションを開発している。代表取締役の高橋裕信氏は、「3次元視覚技術といっても、産業用ではなく、深海や宇宙、スポーツなどに取り組んでいる」と自社を紹介した。
エアロセンス株式会社は、ドローンによるセンシングとクラウドによるデータを組み合わせた産業用ソリューションを開発している。ソニーとZMPが出資。取締役の佐部浩太郎氏は、「創業した2年前には『おもちゃみたいなもの』と言われていたが、現在では社会の役に立つ測量・点検などのソリューションができてきた」と事業を語った。
株式会社エクスビジョンは、公職画像処理技術をロボットやFA、映像メディア、自動車、ドローン、医療分野などに適用しえいる。東大発のベンチャー企業。代表取締役社長の藤井照穂氏は、「高速画像処理により情報を精度よく抽出することには、エッジコンピューティングで重要な役割がある」とその可能性を語った。
株式会社Kyuluxは、九州大学で世界で初めて作成された熱活性遅延蛍光現象(TADF)と蛍光材料を組み合わせることで、高効率発光、低コスト、高純度な発光色を実現する有機EL素子「Hyperfluorescence」(超蛍光)を開発している。代表取締役 CTOの安達淳治氏は、実際の素材を手に、その有用性をアピールした。
株式会社フェニックスソリューションは、金属対象物でも読み取り可能なRFIDタグの開発に初めて成功した。代表取締役社長の金岡久夫氏によると、これによってトレーサビリティ管理やセンサーなどによりIoT化を加速させることが期待されるという。
株式会社FLOSFIAは、ミストCVD成膜技術により勘弁、安価、安全な金属酸化物の薄膜形成を可能とする、京都大学発のベンチャー。代表取締役社長の人羅俊実氏は最近の研究成果として、酸化ガリウム半導体によるパワーデバイス試作を紹介し、「パワーデバイスによる電力変換の損失を減らす」と語った。
株式会社MUJINは、産業用知能ロボットの企業。画像認識によって事前のプログラムを必要とせずに自らピッキング動作を実行するという。CEOの滝野一征氏は、「現在、人件費高騰や人手不足により、世界中で物流やピッキングのロボットに需要がある。それを誰にでも使えるようにするのは難しいが、われわれの製品によって産業を盛り上げたい」と抱負を語った。