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オークマと日立、IoT活用によるマスカスタマイゼーション対応の先進モデル確立に向けて協創

 オークマ株式会社と株式会社日立製作所(以下、日立)は16日、IoTを活用し、個別にカスタマイズされた製品を大量生産する「マスカスタマイゼーション」に対応した、高効率生産の先進モデル確立に向けた協創を開始したと発表した。

 オークマの愛知県丹羽郡の新工場Dream Site2(以下、DS2)において実証モデルを立ち上げ、次世代のものづくりプロセス全体の革新、モデルの構築に取り組み、実証を含む生産革新により、生産性2倍、生産リードタイム半減を目指す。

 マスカスタマイゼーションに対応するための課題に対し、オークマでは高効率でスマートなファクトリーの実現に向けたDream Site1を2013年に立ち上げて、ここでのノウハウ・経験を生かし、さらに進化した次世代ファクトリーの構築を検討してきた。

 日立では、自ら製造業として長年培ってきた経験・ノウハウを基に、ITとOT(Operational Technology、制御・運用技術)を融合したIoTプラットフォーム「Lumada」など、製造業向けのソリューションコアを開発・提供している。

 オークマと日立では、「生産の見える化の進化」と「工場制御周期の高速化」をテーマに両社のノウハウを融合し、新工場DS2において、マスカスタマイゼーションに対応する高効率生産の実証モデルを構築した。

 生産の見える化の進化においては、IoTを活用し、生産の進捗状況と設備の稼働状況の両データを収集・連携させて、一元的に監視・見える化し、高度に分析できるシステムを開発し、導入した。これにより、工程上のボトルネックの特定から全体最適での対策までのプロセス迅速化を可能にする。

 次のステップとして、進捗・稼動状況の監視システムで収集・蓄積した現場のビッグデータを活用するとともに、AIを活用して自動学習する先進のシミュレーション技術を駆使し、従来困難だった刻々と変化する現場の状況に応じて精度の高い生産スケジュールをダイナミックに自動生成するシステムへ進化させ、柔軟かつ迅速に生産計画の最適化を図る。

 これらのシステムは、日立の「Lumada」の産業分野向けソリューションコアである「生産計画最適化ソリューション(Production Planning Optimization:以下、PPO)」の機能として提供している。システム基盤は、サーバーやミドルウェア、運用保守を含めてパッケージで貸与する日立のクラウドサービス「出前クラウド」で提供している。

 工場制御周期の高速化については、ワークID(認識タグ)を活用した工程管理システムを導入し、全ての加工部品が工場内のどこに、どの状態で存在しているか正確に把握する。IoTを駆使して、時間単位・分単位の正確さで部品搬送の作業を指示し、進捗・稼動状況の監視システムとの連携により、生産進捗の把握精度を向上させ、正確なボトルネックの特定と迅速な対策を可能とする。

 今後、オークマでは、DS2に加えて他の生産拠点にこの生産モデルの展開を検討していくとともに、実証を通じて得たノウハウや高付加価値マシンを「ものづくりサービス」ソリューションとして、製造業向けに提供していく。

 日立は、DS2で実証を行う生産の見える化・最適化技術をIoTプラットフォーム「Lumada」の産業分野向けソリューションコアであるPPOの1つとして、事業展開を図っていく。また、オークマと日立はビジネスパートナーとして、両社によるサービス事業展開の協業モデルも検討していく。