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JAふくしま未来、果樹の防霜対策にNTT東日本の「eセンシング For アグリ」を採用

 ふくしま未来農業協同組合(以下、JAふくしま未来)は25日、果樹の防霜(ぼうそう)対策を目的として、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)の圃場(ほじょう)センシングソリューション「eセンシング For アグリ」を導入したと発表した。4月より運用を開始している。

 JAふくしま未来は、2016年3月に福島県北地域の4JAが合併して誕生した組織で、その管内となる福島県内12市町村では、桃、梨、りんご、あんぽ柿などの果樹や、きゅうり、トマト、にら、なすなどの野菜が栽培されている。

 この地域における果樹栽培では、霜による凍霜害が重大な被害をもたらしており、その対策として、降霜時の危険温度に達する前に果樹園地内で燃焼剤を燃やして空気を対流させ、温度を上げる取り組みを行ってきた。毎年、果樹の開花期となる4月から防霜対策本部が設置され、霜注意報が発令されると職員・組合員約60人が福島地区に点在する56箇所の観測地の温度を夜明けまで観測していたため、その際に発生する人的負担が課題となっていたという。

 この状況を改善すべく、これまでも温度観測の自動化は検討されてきたが、圃場における観測装置に電源が必要になること、観測データの送信にモバイル回線を利用するため通信コストがかかることから、導入は見送られてきた。

 しかし「eセンシング For アグリ」では、センサーの電源が不要なほか、導入圃場ごとの観測データの送信に、モバイル回線費用が不要であるLPWA方式の無線通信機器を使用するため、これらの点が評価され、JAふくしま未来は同ソリューションを採用したという。

 具体的には、小型太陽光パネルを利用したエネルギーハーベスティング(環境発電)により、圃場のセンシングデータを収集できるため、電源工事不要でセンサーや無線通信用送信機の設置が可能。また、距離の離れている圃場のセンシングデータをLPWA経由で受信機に送信する仕組みにより、通信費用を削減している。

 なお「eセンシング For アグリ」では、オンラインストレージサービス「フレッツ・あずけ~る」に自動収集した観測データを、インターネット経由で確認でき、農業従事者同士での情報共有を行える。収集した観測データはスマートフォンのアプリから閲覧可能で、観測データが事前に設定したしきい値に達した場合は警報メールも送信されることから、遠隔からの環境チェックも容易に行えるとした。

 なおJAふくしま未来では、果樹の防霜対策以外に、水稲適期刈り取り期や農薬散布の防除適期の提示、果実収穫適期診断など生産の質向上のために活用していくほか、福島地区での実績を踏まえて、福島地区以外への導入を検討するとしている。