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シュナイダーエレクトリックソフトウェア、産業用ソフトのシステム構築基盤の最新版を発表

 シュナイダーエレクトリックソフトウェア株式会社は24日、産業用ソフトウェア「Wonderware」のシステム構築基盤の最新版「System Platform 2017」を、日本国内で5月から提供開始すると発表した。これに合わせ、同社の産業用ソフトウェア事業戦略および新製品について説明会を開催した。

シュナイダーエレクトリックソフトウェア 代表取締役社長の渡辺純一氏

 シュナイダーエレクトリックソフトウェアは、2014年にグループ会社となったインベンシス プロセス システムス株式会社(以下、インベンシス)の産業向けソフトウェア、およびシュナイダーエレクトリックのエネルギーマネジメントソフトウェアを統合し、今年4月に設立された。

 シュナイダーエレクトリックソフトウェア 代表取締役社長の渡辺純一氏は、説明会で、「シュナイダーエレクトリックグループの産業用ソフトウェア事業を担う当社は、グローバルで10のR&D拠点、24のプロジェクト拠点をもち、160のテクノロジーパートナーと3500のSIパートナーを有している。

 製品展開としては、設計・解析および運転・制御の『SimSci』から生産計画『SimSci Spiral』、生産データ管理『Wonderware』、保守管理『Avantis』、エネルギー管理『Schneider Electric』まで、幅広い産業分野に向けて多種の製品群をラインアップしている。また、各地域において長年にわたる手厚いサポートを提供している」と、同社の事業概要について説明した。

シュナイダーエレクトリックソフトウェアの製品ラインアップ

 「製造業を高度にデジタル化し、“第4次産業革命”を起こすとして注目されているIndustrial 4.0についても、すでに20年前から取り組んできた。そして今回、『Wonderware』から最新のシステム構築基盤『System Platform 2017』をリリースすることで、Industrial 4.0の技術と合わせて、プラント運営の改革を推進する。これにより、業務運営管理を端から端までデジタル化し、従来のサイロのような業務の流れを解消し、よりスムーズで正確、かつタイムリーな業務の流れを実現していく」と、スマートプラントに向けた動きを加速していく考え。

 日本での事業展開については、「現在、国内の産業ソフトウェア事業は、石油とガス産業が中心で、個別のソフトウェアを個別のソリューションに適用しているのが実状。今後は、『System Platform 2017』によって、各種産業用ソフトウェア群をデジタル結合し、電力や食品・飲料産業などにも注力分野を拡大していく」との方針を示した。

今後の日本での産業用ソフトウェア事業の展開

 「System Platform」は、現場のデータを分析し、企業システムへ連携する産業オートメーション用ソフトウェア「Wonderware」のシステム構築基盤として、データの標準化/集中管理の役割を担う。具体的には、対象となる装置の共通の機能を抽象化/モデル化し、そのテンプレートを作成・定義することで、機能・設備の標準化と集中管理を実現する。抽出した共通の属性/機能はオブジェクトとして定義することが可能で、このオブジェクトを派生させながら定義することで、共通の属性/機能を継承しつつ、効率的に装置の開発と変更を行うことができる。

 今回の最新版「System Platform 2017」では、優れた可視化とスマートなナビゲーション機能を備えた使いやすいインターフェイスの提供に加え、同社の産業用ソフトウェア製品ポートフォリオとの統合を実現している点が大きな特徴だ。

 シュナイダーエレクトリックソフトウェア 営業本部 ソリューション事業部の大矢征仁氏は、「インダストリアルIoT(IIoT)ソリューションの提供において、多くの企業では、膨大なデータをいかに活用するかという課題に直面している。また、パフォーマンスを可視化するために、ITとOT(産業用アプリケーションの運用技術)の融合が求められている。こうした現状の中で、『System Platform 2017』では、次世代のIIoTプラットフォームを提供するべく、『タッチ操作』、『見える化』、『複数装置』の3つをキーワードに機能強化を行った」と説明する。

シュナイダーエレクトリックソフトウェア 営業本部 ソリューション事業部の大矢征仁氏

 具体的には、「タッチ操作」では、スマートフォンのようなフィンガージェスチャーを採用し、現代的なユーザーインターフェイスを実現。操作性と使い勝手を大きく向上した。「見える化」では、高度なグラフィック、可視化、ナビゲーションを実現するとともに、ITとOTを統合化し、様々なデータをあらゆるデバイスに表示して、現場の状況を迅速かつ的確に把握することが可能となった。「複数装置」では、各種解像度での表示とマルチスクリーンに対応。これにより、オペレーションルームなどで、マルチタッチやマルチスクリーン機能ですべての画面を連動させることができる。また、4K解像度もサポートし、高画質の大画面スクリーンを使った運用管理も可能となっている。

 同社では、「System Platform 2017」を、ITとOTの融合によるIIoTソリューションを推進している大規模企業・サイトをターゲットに拡販展開していく考え。