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最新技術を活用したミーティングルームで企業に働き方改革を提案――、日本ヒューレット・パッカード

 米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の日本法人である日本ヒューレット・パッカード株式会社は11日、無線LANソリューション「HPE Aruba」、Microsoft Office 365などを駆使した次世代ミーティングルーム「HPE Intelligent Space-Workplace」を開設すると発表した。これにより、働き方改革を提案する事業を強化していく。

HPE Intelligent Space-Workplace

 日本ヒューレット・パッカード 代表取締役社長執行役員の吉田仁志氏は、「働き方改革は、労働人口の減少、長時間労働と生産性向上、ビジネススピードの加速といった課題を抱える日本企業にとって、取り組み必至といえる」と働き方改革提案を行う背景を説明する。

日本ヒューレット・パッカード 代表取締役社長執行役員の吉田仁志氏

 最新テクノロジーを使った物理的なスペースを設けることで、ことばでは伝わりにくい次世代ソリューションを体感して理解してもらいながら、必要性を実感してもらうことが狙い。テクノロジーとしては、HPEのArubaの技術に加え、日本マイクロソフトのOffice 365などを活用。デジタルコラボレーションによる生産性/効率性向上、ハイブリッドクライアントによるコスト削減効果、アイデンティティー&セキュリティ機能によるセキュリティ機能の向上実現などメリットを訴え、導入企業を増やしていく。

 会見には日本マイクロソフトの代表取締役社長である平野拓也氏も登場し、「働き方改革を実現するためには、企業のトップがきちんとビジョンを持って取り組み、企業文化を変えていくことなども必要だが、新しい気づきを与えるのがクラウドやAIといったテクノロジー。テクノロジーを上手に活用することで新しい方向性が生まれる。日本ヒューレット・パッカード自身がOffice 365 E5など当社のテクノロジーを活用し、素晴らしい働き方改革を実践されている。その活用経験をベースに、お客さまに新たな働き方改革を推進されていくことを期待している」と、期待のことばを寄せた。

日本マイクロソフト 代表取締役社長の平野拓也氏

世界で3カ所目の物理的なショーケース

 今回開設した、HPE Intelligent Space-Workplaceは、イタリア、シンガポールに次いで3カ所目の物理的なショーケースとなる。このショーケースの通称は「Cube」。2016年の12月に開催されたHPE Discoverで紹介された、HPE Arubaのワークプレイステクノロジーに、Microsoftのワークプレイス生産性向上のためのテクノロジーと、サードパーティのクラウドサービスとの連携によって実現している。会議の流れに応じて部屋の照明を調節するIoT連携などもシナリオに含まれている。

 「米国では、(分社前の米Hewlett-Packardが)買収したAruba Networksのサンタクララのオフィスを改装し、1月にオープンしたが、このオフィスでは全棟に今回紹介したテクノロジーを導入している。物理的なショーケースを作って見てもらう。HPE Intelligent Space-Workplaceは物理スペースを指す名称であり、ソリューションそのものを指す名称ともなっている」(日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 テクノロジーコンサルティング事業統括 事業統括本部長の小川光由氏)。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 エンタープライズグループ事業統括 テクノロジーコンサルティング事業統括 事業統括本部長の小川光由氏

 デジタルコラボレーションには、HPE、HPE Aruba、Microsoftをはじめ、LOSANT、Robinなど、ハイブリッドクライアントではMicrosoft、VMware、Citrixなど、セキュリティではHPE、HPE Aruba、Microsoftなどのテクノロジーを活用する。

さまざまなベンダーのテクノロジーを活用

 具体的な機能としては、会議室への入室を自動認識、部屋の状況をリアルタイムに更新し、サイネージに反映、フルセットアップ会議室テクノロジーによる会議の自動開始・終了、物理的な出席者を同じデジタル空間に自動的に誘導、会議出席者が使用するコラボレーションツールとの統合、会議終了時に会議中に作成されたアウトプットを共有、といったさまざまな機能を利用できる。

HPE Intelligent Space-Workplaceのコンポーネント

 「注目点は、会議室に入室してから会議を始めるまでの時間。会議室が空いていることを確認し、予約を入れ、Skypeを起動するまで1分半。今、当たり前にあるテクノロジーを使って、いかに会議を始めるまでの時間を効率化するのかを体感してもらう。具体的なイメージを持つことで、『この部分はもっと効率化できないのか?』といったアイデアを生み出すきっかけにしてもらえればと考えている」(日本ヒューレット・パッカード テクノロジーコンサルティング事業統括 モビリティー&ワークプレイスソリューション ポートフォリオリードの大村恵吾氏)。

日本ヒューレット・パッカード テクノロジーコンサルティング事業統括 モビリティー&ワークプレイスソリューション ポートフォリオリードの大村恵吾氏
デジタルサイネージを使った会議室の状況の表示

 日本ヒューレット・パッカード自身も、「現在の10年前、2007年時点からフレックスワークプレイス制度を導入し、2011年には現在の大島本社を開設し、全面的にフリーアドレス制度を導入し、カフェテリアにも電源、Wi-Fiを完備している。オフィスがキレイな会社トップ100にも選ばれ、会社に来たくなるような環境を整えている」(吉田氏)と、働きやすい環境作りを整えている。

 また2016年にOffice 365をしているが、現在では最高レベルのOffice 365 Enterprise E5を導入し、2017年からは有線電話を廃止してSkype Phoneを全社に導入。最新テクノロジーを活用した働き方改革に自ら取り組んでいる。

日本ヒューレット・パッカード自身の取り組み

 「当社にいらっしゃるお客さまには、HPE Intelligent Space-Workplaceだけでなく、大島本社全体を見てもらう。お客さまの反応がとてもよいのがフリーアドレスの仕組み。フリーアドレスは決して珍しいものではないが、大島本社は縦100メートル、横100メートルの社屋全部をフリーアドレス化している。これだけ大規模なスペースを使ったフリーアドレスは珍しく、組織と組織の壁をどう作らずに運営していくのかといった点に、IT部門、総務部門の方にリアリティーを感じてもらうことができるようだ。それ以外の部分は、企業ごとに環境が異なるため、反応がある部分は個々に異なる」(大村氏)。

 働き方改革に取り組む企業は、企業規模を問わず拡大しているため、大企業から中堅、中小規模の企業を含めてターゲットとしてアピールしていく。