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2016年の国内SDN市場は355億円規模に、IDC Japan調査

国内SDN市場 支出額予測、2016年~2021年(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は3日、SDN(Software-Defined Network)およびNFV(Network Functions Virtualization)に関する国内市場予測を発表した。

 2016年の国内SDN市場規模は335億円で、データセンターのみならず、企業ネットワークやキャリアネットワークでも顕著な進展を見せたとしている。

 内訳では、最も導入が進んでいるデータセンターSDN市場の規模が208億円で、前年比成長率は70.8%と高成長を達成。成長の背景には、マイクロセグメンテーションやネットワーク自動化の実現といった、データセンターSDN適用にふさわしい用途とその効果が、市場内で定式化されたことが大きいと分析している。

 また、データセンターSDN市場は今後も成長を続け、2016年~2021年の年間平均成長率は30.2%、市場規模は2021年には777億円に拡大すると予測している。

 企業ネットワークSDN市場については、インターネット接続における入口出口対策や、内部ネットワークにおけるマルウェア感染防止などのセキュリティ対策に、SDN技術が有用であるとの認識が高まったことで、市場の盛り上がりに実績が伴ってきたと分析。セキュリティ対策を始めとして、SDN技術を企業ネットワークに導入する余地はいまだ多く残されているとして、企業ネットワークSDN市場の2016年~2021年の年間平均成長率は36.8%で、今後も成長すると予測している。

 キャリアSDN市場とNFV市場については、一部で商用サービス提供環境に導入されるなど着実に進展しているが、キャリアネットワークにおけるこれらの技術の活用はまだ緒に就いたばかりで、今後、本格的な成長期への移行が見込まると分析している。

 NFVのユースケースの中では、ソフトバンクやNTTドコモが商用環境にすでに導入しているvEPC(virtual Evolved Packet Core)が市場では最も進んでおり、今後、機能や場所を選択しながら順次導入が進められるだろうとしている。また、vEPCに加え、汎用サーバープラットフォームをベースにしているIMS(IP Multimedia Subsystem)がNFV化で先行し、NFV市場は2016年~2021年の年間平均成長率31.7%で成長すると予測している。

 通信事業者が今後NFVの導入を拡張していくにあたっては、仮想化環境の運用管理体制が未整備なことや、パケット転送をはじめとする処理能力への不安など、いくつかの課題も明らかになっていると指摘。IDC Japanコミュニケーションズ グループマネージャーの草野賢一氏は、「このような運用管理体制や処理能力の課題は、半導体性能の向上や技術の成熟、さらには運用側の習熟度向上によって解決される可能性は十分高い。しかしながら、ベンダーや通信事業者のNFV活用に対する積極的な働きかけがあって初めて解決されることを意識すべきである。NFVの進展には、通信事業者とベンダー双方の積極的な働きかけが必須である」とは述べている。