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SFDC、Spring '17でService Cloudのオムニチャネル機能を強化 2017年半ばにはLINEにも対応

 株式会社セールスフォース・ドットコム(以下、セールスフォース)は、「Salesforce Service Cloud」の新機能として、オムニチャネル対応を強化する「Einstein Supervisor」および「Salesforce LiveMessage」の提供を開始した。

 同機能は、2月15日から提供が開始された「Spring '17」によって追加されたものであり、「Spring '17は、セールスフォースにとって、52回目のアップデートになる。企業におけるオムニチャネルへの対応は、部分最適として取り組むケースが多いが、セールスフォースでは、オムニチャネルに関するすべてのサービスをService Cloudで対応でき、対話型のサービスコミュニケーションを強化可能だ。新機能のEinstein Supervisorは、オムニチャネルの状況をリアルタイムで把握でき、さらにSalesforce LiveMessageでは、どんなメッセージングアプリでも、顧客とシームレスに会話することができる」(セールスフォース プロダクトマーケティング シニアマネージャーの畠慎一郎氏)とした。

セールスフォース プロダクトマーケティング シニアマネージャーの畠慎一郎氏
Service Cloudで強化されたオムニチャネル機能

AIのチカラでスーパーバイザーを支援

 Einstein Supervisorは、コンタクトセンターにおいて、どのエージェントが対応中か、待機中かをリアルタイムで把握。エージェントの対応能力や状況、業務量、ワークロードを見せ、自動的に作業を割り当てられるという。また、一覧のソートや絞り込みによる迅速な情報検索を行い、インサイトをスーパーバイザーに迅速に提供。異常を察知するといったサポートも可能だという。

 「どんな問い合わせ内容が多いのかといったことや、各エージェントの状況はどうなっているのかといったことが理解可能。AIのチカラで、スーパーバイザーを支援することができる」(同)とした。

Einstein Supervisorの画面の様子

顧客ひとりひとりに最適なサービスを迅速に提供

 一方のSalesforce LiveMessageは、Service Cloud内で、企業がFacebookメッセンジャーやSMS、MMSといったメッセージングアプリを通じ、あらゆるタッチポイントから、直接、顧客接点を作ることにより、顧客ひとりひとりに最適なサービスを迅速に提供することが可能になるという。

 企業は、既存のカスタマーサポートの問い合わせ先情報にメッセージング機能を追加し、メッセンジャーやSMSでのサポートをその日のうちに立ち上げて、稼働させることができる。

 サービスエージェントは、Service Cloud Agent Consoleから顧客情報に簡単にアクセスでき、迅速に、効率的にメッセンジャー上で回答できるようになるという。

 また、新たなService Cloud Botsによって、データ収集の自動化や、関連するアカウント登録情報およびケースとの連携をService Cloud内で連携。問い合わせに対して、ボットが顧客の名前や住所、eメールアドレスなどの情報を集めるなど、サービスエージェントの生産性を向上可能とのこと。

 さらにBring Your Own Bot(BYOBot)により、企業は既存のボットと連携可能になる。年1回の健康診断予約などの場合にも、診断の日が近づくと、予約可能な候補時間をメッセージングアプリに提供し、アプリから予約ができるようにする。

Salesforce LiveMessageの画面の様子
書き込んだ内容がすぐにユーザーのアプリに表示される

 なお、Salesforce LiveMessageは、HeyWireの買収によって製品ラインアップに加えたもので、買収前からの導入実績も多い。

 POSレジなどを提供しているNCRでは、Salesforce LiveMessageの導入により、従来のサポート方法と比較して10倍以上の稼働率となり、顧客満足度を32%から40%に向上させた実績がある。また、ハンバーガーチェーンのウェンディーズでは、テイクアウトの袋にコンタクトセンターへの問い合わせ先を表示し、ユーザーからのフィードバックを強化。フィードバック件数を20~40%増にすることに成功したという。

 住宅ローンのQuicken Loansでは、3400人の融資担当者がリアルタイムな会話を実現。営業サイクルを23%短縮。さらに、ティーンエイジャーの利用が多い旅行サイトのme to weは、eメールでの受付に加えてメッセージング機能を活用することで、レスポンス率を75~100%増にしたという。

Salesforce LiveMessageの導入企業

 「いまやメッセージを使ったやりとりは、1日800億に達しており、今後2年以内に、音声を使ったやりとりを追い越すだろう。セールスフォースは、2012年にソーシャルサービスを提供したのを皮切りに、ビデオチャットのSalesforce SOSや、アプリとしてのSnap-insを提供など、最新チャネルへの対応を行い続けてきた。Salesforce LiveMessageは、リアルタイムでの顧客接点を強化するものであり、さらに、Einstein Supervisorは、よりリアルタイムに管理し、オペレーションを強化できる。企業は、オムニチャネル対応をもっと広げていくことができる」(セールスフォース マーケティング本部プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏)とした。

セールスフォース マーケティング本部プロダクトマーケティング シニアディレクターの御代茂樹氏

 Salesforce LiveMessageの価格は、1ユーザーあたり、1種類のメッセージングの利用で月額9000円から。利用するには、Service CloudとSalesforce LiveMessageが、同ライセンス数であることが前提となる。

 なお、2017年後半には、Salesforce LightningでもSalesforce LiveMessageが利用できるようになる。

 また、御代氏は、「新たなカタチに対応していかないと、歴史を持つ企業も生き残ることができないという危機感がある。だが、企業のシステムは分断しており、一連の業務プロセスがつながっていないこと、バックエンドシステムとつなげることができずに、メリットを享受できていないという課題がある。セールスフォースの製品は、すべてがAPI化しており、さらに買収したプロダクトもつながっている。現在、Service Cloudの販売の伸びが著しく、今後、セールスフォースにとって、最も大きな売り上げ規模を誇るプロダクトになってくるだろう。Service Cloudは、Sales Cloudとの連携提案が進んでおり、つながった情報を活用することに注目が集まっている。今後は、Service Cloudにおける機能統合とともに、Einsteinの強化が行われていく」とした。

 一方で、Service Cloudに関する今後のロードマップについても言及。LiveMessageにおいてLINEに対応することを発表。「現在、開発を進めており、2017年半ばには出せる。早期にパイロット運用も開始したい」(御代氏)とした。

 あわせて、Summer '17では、Service Einsteinにおいて、ケース自動分類パイロットを提供。Winter'17では、ケースマネジメントの効率化、Spring'18では問い合わせ傾向の予測機能を追加することを示している。

Service Cloudの今後のロードマップ