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デジタルサイネージを活用した災害時の多言語情報提供サービス、NTTなどが東京・竹芝で実証実験

 一般社団法人CiP協議会は16日、総務省の2016年度事業「IoTおもてなし環境実現に向けた地域実証に係る調査請負」の一環として、事業者をまたぐサイネージ一斉配信システムの実証実験を、東京・竹芝地区で開始した。

 実証実験には、竹芝地区の施設整備のために東急不動産株式会社と鹿島建設株式会社が設立した株式会社アルベログランデと、NTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)、NTTアイティ株式会社、日本電信電話株式会社(以下、NTT)が参加。複数の事業者が提供するデジタルサイネージなどを活用して、災害時における多言語情報提供サービスを提供し、導入効果や技術検証などを実施する。

 訪日外国人の増加などを受け、総務省が2015年7月にまとめた「2020年に向けた社会全体のICT化アクションプラン(第一版)」では、災害時の一斉情報配信などの実現に向けて、デジタルサイネージの相互運用性を確保することや、スマートフォンやデジタルサイネージ、ICカードなどを横串で活用し、外国人観光客などがその属性(言語など)や位置に応じた情報入手を可能にするといった環境整備が、重点目標として掲げられている。

 また、これらの実現に向け、一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムと連携し、「デジタルサイネージ標準システム相互運用ガイドライン(以下相互運用ガイドライン)」を策定するとともに、ICカード内のIDなどの情報と任意のサービスのIDを紐付ける機能を提供する「IoTおもてなしクラウド」を整備する方針を示している。

サイネージ一斉配信システムによるサービスイメージ(災害時)

 実証実験では、NTTサービスエボリューション研究所が開発した、事業者システムをまたぐサイネージ一斉配信システムを活用して、災害時多言語情報提供サービスを提供する。具体的には、相互運用ガイドラインに準拠したサイネージ相互運用基盤により、災害に関するウェブ上の情報を自動的に取得し、サイネージ用コンテンツに変換、各事業者のサイネージ配信システムに一斉配信する。

 また、NTTが開発したWeb-basedサイネージ配信システムを活用することで、サイネージに割込表示するとともに、スマートフォンにも、自動的に使用言語で表示させることができる。さらに、大規模災害などによりインターネットが繋がりにくい場合は、ローカルのサイネージ配信システムから配信を継続できる。

 これにより、誰にでも確実に災害情報を配信することが可能になるとともに、場所や状況に応じた適切な避難行動を支援することが可能になる。通常時には、同システムを活用した観光情報サービスを提供する。

 実施期間は2017年3月中旬まで。今後は実証実験の結果を踏まえ、技術的な検証結果についてはデジタルサイネージの標準化団体(ITUなど)への提案を行い、技術の普及展開に貢献するとともに、竹芝の街づくり計画に反映するとしている。

災害時・通常時の利用イメージ