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Visual Studioはあらゆる開発者、あらゆるアプリ、プラットフォームに向けた開発プラットフォームに
マイクロソフトが11月の開発者向けイベント「Connect();」で発表した製品について説明
2016年12月8日 15:26
日本マイクロソフト株式会社は7日、11月に米国で開催した開発者イベント「Connect(); // 2016」で発表した内容に関する説明会を開催した。
クラウドプラットフォーム製品マーケティング部部長の斎藤泰行氏は、「モバイルファースト、クラウドファーストの時代には、アプリケーション開発に求められるものも以前とは違うものになっている。こうした要望に対応するのが、今回の発表の根幹となる製品でもあるVisual Studioで、あらゆる開発者、あらゆるアプリ、あらゆるプラットフォーム向けの開発プラットフォームとなっている」と語った。
斎藤氏は、「みなさんがご存知のVisual Studioと、開発プラットフォームとしてのVisual Studioはまったく別のものではないかと思っている。Visual Studioといえば、Visual BasicでWindows向けアプリを作るもの、という感覚が多くの方にあるかもしれない。しかし、現在のVisual Studioは、マルチOS、マルチ言語、マルチプラットフォーム対応で、WindowsだけでなくMacやLinux上でも動作し、ウェブやiOS/Android向けアプリも開発でき、さまざまな言語が利用できるようになってきている」とした。
また、いまや多くのデータ(データベース)はクラウド上にあり、それをどう使ってアプリを作るのかという、データプラットフォームも重要になるとして、こちらについてもさまざまな環境への対応を進めているとした。
Visual Studioはあらゆるアプリの開発プラットフォームに
クラウド&エンタープライズビジネス本部エグゼクティブプロダクトマネージャーの相澤克弘氏は、Visual Studio関連の発表について説明した。
現在、企業にとって新しい価値を生み出す中心となるのがアプリケーションであり、データは新たな付加価値の源泉であり、開発者にはさまざまな環境や状況、デバイス、プラットフォームへの対応が求められていると説明。マイクロソフトが近年進めているオープン化もそのためのものであり、イベントで発表したLinux Foundationへの参加もその一環だとした。
相澤氏は、現在ではGitHubで一番のコントリビューター企業はマイクロソフトであるというデータを示し、たとえば、.NETもオープンソース化してGitHubで公開し、さまざまな環境への対応を進めているとした。イベントでは.NET FoundationにGoogleが参加したことも発表されており、こうした流れはさらに進んでいくとした。
こうした状況の中、Visual Studioはあらゆる開発者にとって最もパワフルな開発プラットフォームとなることを目指しているとして、イベントとともにRC版の提供を開始した次期製品「Visual Studio 2017」は、Windows、iOS、Androidアプリ開発が可能で、継続的な開発のための先進的なツールになるとした。
また、イベントでは「Visual Studio for Mac」のプレビュー版も発表しており、開発環境についてもマルチ対応を進めていると説明。Visual Studio for Mac は、Xamarinと.NETによるモバイルおよびクラウドアプリ開発に最適化された開発環境として、Android、iOS、.NETアプリ開発に対応。追加コストなく手持ちのVisual Studioサブスクリプションで利用可能になるとともに、無償のCommunity Editionが提供される予定だとした。
さらに、今後はモバイルアプリの開発が中心になっていくが、こうしたモバイルアプリの継続的なビルド、テスト、配布、監視といったさまざまな機能を統合した「Visual Studio Mobile Center」のプレビュー版も発表。「モバイルアプリ開発の管制センター」として、あらゆるモバイルアプリに適用可能な製品になるとした。
アプリを支えるインフラ側のAzureでもさまざまな発表を行っており、特にマルチプラットフォームの面からはコンテナ技術が開発者にとっても重要なテクノロジーになると説明。イベントでは、統合されたDockerツールのVisual Studio for Dockerや、Azure App Serviceのコンテナ対応、Azure App Service Linuxのプレビュー版などが発表された。
また、クラウド開発ツールのVisual Studio Team ServicesがDockerコンテナをサポートするとともに、オンプレミス版のTeam Foundation Server 2017が一般提供を開始。ウェブ開発者向けのアプリケーションパフォーマンス管理サービスであるAzure Application Insightsも一般提供を開始した。
サーバーレスコンピューティングを実現するAzure Functionsについても、イベントで正式提供の開始が発表された。Azure Functionsについては、サーバーを意識することなく、作ったビジネスロジックをすぐに動かすことができ、実行ベースの課金のため、条件によっては仮想マシンに比べてかなり安価になる点もメリットだと説明。ただし、複雑なビジネスロジックを動かすのには向いておらず、たとえばECサイトをAzure Functionsの上で作り込むといった用途には適していないとした。
SQL Server 2016 SP1ではエディションの機能制限を緩和、SQL Server on Linuxも発表
データプラットフォーム製品マーケティング部エグゼクティブプロダクトマネージャーの北川剛氏は、SQL Server関連の発表について説明した。
一般提供が開始されたSQL Server 2016 Service Pack 1では、「SQL Serverの持っている強みを、より多くの開発者に使ってもらいたい」という観点から、StandardやExpressといったすべてのエディションで、Enterpriseの機能を利用可能になったと説明。これまで、インメモリ機能などはEnterpriseでしか利用できなかったため、ベンダー開発のパッケージなどではエディションごとにコードを変更する必要があったが、今後は単一のパッケージで拡張機能に対応できるとした。
また、イベントではSQL Server on Linuxのパブリックプレビュー版も発表。SQL Server 2016が提供するデータベースコアの機能はすべて提供する予定で、SQL Serverでもプラットフォーム選択の自由を提供していくとして、LinuxだけでなくmacOS上のDocker環境にも対応すると説明。実際にMac上で動作させるデモを披露した。
SQL Server on Linuxは、「SQL Server v.Next」と呼ばれるSQL Serverの次期製品をターゲットにしている。SQL Server v.Nextのスケジュールについては、今回、パブリックプレビュー版が公開されたが、これから月次でのアップデートが予定されており、2017年には一般提供が開始されるとした。