ニュース
日本ヒューレット・パッカード、オンデマンドでオールフラッシュを実現するプログラム
2016年12月7日 06:00
ストレージのフラッシュ化が進んでいる。オールフラッシュデータセンターの普及も視野に入ってきた昨今、米Hewlett Packard Enterprise(HPE)シニアバイスプレジデント ストレージ&ビッグデータソリューションズ ジェネラルマネージャーのビル・フィルビン氏は、「HPEはオールフラッシュ分野のリーディングプロバイダーであり、最も顕著に成長しているベンダーだ」と主張する。
フィルビン氏は、HPEのストレージ部門でトップを務める人物だ。日本ヒューレット・パッカードは6日、同氏を迎え、フラッシュの導入を促進する新たなプログラムを発表すると共に、HPEのストレージ戦略を説明した。
オールフラッシュをオンデマンドで提供
今回同社が発表した新たなプログラムは、「HPE 3PAR Flash Now」と呼ばれるものだ。これは、オールフラッシュのストレージ「3PAR StoreServ Storage」を、オンプレミスにて実効容量1Gバイトあたり月額3セント(6日現在の為替レートで約3.4円)にて提供するプログラムだという。
「資産としてオールフラッシュを保有するのではなく、月額の経費でオールフラッシュを実現したい顧客もいる。そのため、ファイナンスチームとテクノロジチームが共同でこのプログラムを考案した。これにより、安価で3PARオールフラッシュアレイの導入が可能になる」(フィルビン氏)。
HPE 3PAR Flash Nowプログラムは、フラッシュの使用量に応じて課金するオンデマンド方式で、新たに導入したオールフラッシュアレイが稼動するまでは支払いも不要だ。無償の自動データ移行ツールが用意されているほか、ストレージクラスメモリやNVMeといった次世代テクノロジーへの無停止アップグレード機能も備わっている。同プログラムは、国内でも同日より提供される。
フィルビン氏は、「新技術を導入する際の検討材料として重要なのは、コスト、機能、耐障害性の3点だ。HPE 3PAR Flash Nowプログラムはこの3点をすべてカバーしており、顧客がオールフラッシュに容易に移行できるようになる」とした。
オールフラッシュが次の段階に進むには
フィルビン氏は、「フラッシュに限らず、どんな技術革命においてもすべては段階的に広まっていく」と話す。第1段階では、非常に高価でニッチな分野にしか適用しないような技術でも、「どうしてもこの技術を採用して高パフォーマンスの利益を享受したい」というユーザーのみが利用する。その技術がメインストリームになる第2段階では、経済性が求められるようになる。そして第3段階では、さまざまなシーンで標準的な技術となるための機能拡充が必要になるという。
フィルビン氏によると、オールフラッシュは容量の増加やデータ削減技術などを取り入れ、第2段階の経済性をすでに実現しているという。その上で、「第3段階では、フラッシュをデータセンターの標準とするための進化が必要だ」としている。
オールフラッシュデータセンターが標準となるためには、どのような進化が必要となるのか。フィルビン氏は、「アプリケーションのサポートと高速化」「運用の簡素化」「リスク低減」「投資の選択肢」の4点を検討すべきだと述べた。
まずアプリケーション面では、「OracleやMicrosoftなどの既存アプリケーションのみならず、さまざまなアプリケーションをサポートする必要がある」とフィルビン氏。同氏は、HPEの3PARが、DockerやMesosphereなどの新興アプリケーションを含め幅広いアプリケーションをサポートしている点を挙げ、この分野でHPEの強みがあると説明。また、「メッシュアクティブやASIC、不揮発性メモリ、さらには先週のイベントにてプレビューしたばかりの3Dキャッシュといった技術で、アプリケーションの高速化を実現している」と述べた。
運用の簡素化については、システム管理ソフトの「HPE OneView」や3PAR独自のシステム管理コンソール「HPE 3PAR StoreServ Management Console」などを用意、共通のユーザーエクスペリエンスとコンポーザビリティでデータセンターからデータサービスまで運用を簡素化しているという。また、先週「StoreFabric 32Gb Fibre Channel」のポートフォリオをアップデートすると発表したほか、同ポートフォリオにてストレージファブリックのゾーニングが高速化できる「Smart SAN」技術を採用、「ゾーニングの時間が99%短縮できる」とした。
リスクについては、「オールフラッシュデータセンターでは、総所有コストやデータセンター内の資産の低減など、さまざまなメリットがある一方、少ないデバイス上でこれまでより多くのワークロードを走らせるため、それに伴うリスクが発生する」とフィルビン氏。こうしたリスクを低減させるため、HPEでは3PARに内蔵されたデータ保護機能「HPE 3PAR Peer Persistence」をはじめとするソリューションでデータを保護しているほか、ISVとの連携や統合でリスク低減に努めているという。
そして、投資の選択肢を増やすことを目的に発表したのが、冒頭で紹介したHPE 3PAR Flash Nowプログラムだ。このほかにもフィルビン氏は、HPEがエントリーレベルからよりハイレベルの顧客に向けた製品まで、幅広くフラッシュ製品を提供しているとした。
「このように、HPEではさまざまな観点から顧客のインフラの課題を解決している。HPE自身、変革を経て、ストレージ、サーバー、コンバージドインフラなど、強力なポートフォリオが展開できるようになった。ストレージベンダーとして成功するには、イノベーションを続け、幅広いポートフォリオを抱え、ストレージのみならずコンバージドなインフラを提供する必要がある。これができる数少ないベンダーがHPEだ」とフィルビン氏は述べ、同社のストレージ事業が順調であることをアピールした。