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SAS、クラウド対応のアナリティクスプラットフォーム「SAS Viya」搭載製品を国内提供開始へ

 SAS Institute Japanは1日、次世代アナリティクスプラットフォーム「SAS Viya」をベースにしたマシンラーニングツール「SAS Data Mining and Machine Learning(DMML)」の国内提供を開始した。

 SAS Viyaは4月に米国ラスベガスで行われた米SAS Institute(以下、SAS)の年次カンファレンス「SAS Global Forum」で発表されたAI搭載の次世代アナリティクスアーキテクチャ。このSAS Viyaを搭載した第1弾プロダクトがSAS DMMLとなる。

SAS Viyaをプラットフォームとしたマシンラーニングツール「SAS DMML」は、SAS Viya搭載の最初のプロダクトとして国内提供が開始される

 SAS プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント ライアン・シュミーデル(Ryan Schmiedl)氏は、「SAS ViyaはSASの40年に渡るアナリティクスの知見がすべて詰め込まれた、まさに次世代のアナリティクスプラットフォーム。これからの10年はアナリティクスがビジネスの主流となる。新しい時代におけるアナリティクスへのアプローチを容易にし、ビジネスに大きな価値とイノベーションをもたらす基盤となる」と語り、SAS Viyaへの自信を見せる。

SAS プロダクトマネジメント担当バイスプレジデント ライアン・シュミーデル氏

 SAS Viyaの最大の特徴は、オンプレミス環境だけでなく、パブリッククラウドを含むほぼすべてのクラウド環境に対応可能なインメモリプラットフォームという点だ。コア部分のアナリティクスエンジンは「CAS(Cloud Analytics Services)」と呼ばれ、並列分散処理型のインメモリエンジンとデータおよびユーザーのマネジメントを受けもつマイクロサービスから構成されている。

 そしてCASとSAS 9.4などの既存のSASプロダクト、HadoopやRDBMSなどのソースコードベースのエンジン、サードパーティ製のアプリケーション、パブリッククラウドあるいはプライベートクラウドといった外部環境などを連携させるメカニズムを備えたエコシステムを総称して「SAS Viya」としている。

SAS Viyaの構成。メインコンポーネントはCASと呼ばれるインメモリエンジンとマイクロサービスで構築されている部分。外部アプリケーションやHadoopなどの外部ソースのエンジン、さらに多様なクラウド環境と連携可能なオープンなプラットフォームであることが特徴

 シュミーデル氏はSAS Viyaの優位性として

・クラウド対応
・分散プロセッシング
・オープン性
・弾力性

の4つを挙げている。いわゆる"3つのV(Volume/Variety/Velocity)"を備えたビッグデータをすみやかに分析する環境としてクラウド、特にスケーラビリティにすぐれたパブリッククラウドを活用したいというニーズは高い。

アナリティクスプラットフォームとしてのSAS Viyaの4つの優位性

 SAS Viyaは、DockerなどのコンテナシステムやCloudFoundryを介することで、アナリティクスエンジンであるCASを容易にクラウド上へと展開、スケールアウト型のアナリティクスを可能にしている。データおよび分析負荷は自動的に分散され、並列コンピューティングによる高速処理が可能だ。

 また、SAS 9.4などのSASネイティブなインターフェイスだけでなく、PythonやJava、LuaなどからもAPI経由でアクセスが可能だ。これはSAS Viyaが「単一で標準的なコードーベース」(シュミーデル氏)を採用しているからで、コードにはパブリックなREST API群も含まれており、サードパーティ製のアプリケーションにも開かれた環境を提供する。

 さらに、分析処理が途中で終了しないよう、自動でサーバの障害を検出し、マルチプラットフォーム環境であっても処理を再分散できるフォルトトレラント機能を実装している。「いわゆる"オープンソース"よりもずっとオープンなプラットフォームあることを徹底している」(シュミーデル氏)。

 SASは今後、SAS Viyaをベースにしたアナリティクスプロダクトを順次提供していくとしており、その国内提供第一弾がマシンラーニングツールのSAS DMMLとなる。マシンラーニングやコグニティブコンピューティングを含むAI機能の活用がアナリティクスにより求められているトレンドから、SAS DMMLでは予測モデリングとマシンラーニングをSAS Viya上で実行、並列分散処理による高速なアナリティクスを実現している。

 データはインメモリに保持されるため、反復的な分析においてもデータロードを繰り返す必要はない。また、自動チューニング機能が実装されているので、複数のシナリオを統合環境でテスト(比較/探索)し、最もパフォーマンスの高いモデルを見つけることも可能だ。

 シュミーデル氏は「SAS DMMLにより、データサイエンティストやデータアナリストの生産性を飛躍的に向上させることが可能になる。マルチプラットフォームをサポートするので、複数のユーザーのコラボレーションにも適している」と、SAS DMMLによる生産性の向上を強調する。

パブリッククラウドでの提供開始は2017年以降に

 SAS ViyaはあくまでSASによって提供されるアナリティクスエンジンであり、エンドユーザーはSAS DMMLのようなSAS Viyaベースのプロダクトを介して利用するかたちになる。注目されるのはクラウド、特にAWSやMicrosoft Azure、Google Cloudといったパブリッククラウド経由での提供だが、SAS Institute Japan 代表取締役社長 堀田徹哉氏は「パブリッククラウドベンダーによる日本での提供開始時期は未定だが、2017年には実現したい。各ベンダーとの話し合いはこれから」と語るにとどまっており、まずはSASクラウドでの提供が先になるとしている。

 SAS Viyaおよび搭載プロダクトがターゲットとする業界について、シュミーデル氏は「アナリティクスにスケーラビリティとパフォーマンスを求めている環境であればすべて該当する。金融、ヘルスケア、製造、通信、ライフサイエンス、流通など業界を問わない」と語るが、一方で堀田氏は「分析環境をオープンソースだけで構築している企業にも推奨したい」と語っている。

 「コストやスケーリングの面から"アナリティクスはオープンソースで十分"という企業も少なくないが、モデリングにおけるガバナンスなどはSAS Viyaが圧倒的に有利。チャレンジングではあるが、オープンソースで環境を構築しているユーザーにもSASの良さを知ってもらうきっかけにしたい」(堀田氏)。

SAS Institute Japan 代表取締役社長 堀田徹哉氏

 また、SASのメインプロダクトであるSAS 9.4との棲み分けに関してシュミーデル氏は「SAS 9.4の顧客に対してはこれまで通りサポートとアップデートを提供していく。SAS ViyaはSAS 9.4とはプロセッシングアーキテクチャが異なるため、顧客が到達するゴールも当然異なる。したがって製品ポートフォリオをどちらかひとつに統合する予定はない。もっとも、アルゴリズムやコードは相互に連携可能なので、両方を導入したほうがよいケースも十分ある」と語り、当面はSAS 9.4とSAS Viyaを併売していく方針を示している。

 なお、SASはSAS DMMLにつづき、「SAS Visual Investigator」などSAS Viya搭載プロダクトを2017年以降、順次提供していくとしている。