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問題は常にイノベーションで解決する――、シンガポールのスマートシティへの取り組み

Huawei Innovation Day Asia 2015レポート

 Huawei Technologies(ファーウェイ)は12日(現地時間)、プライベートイベント「Huawei Innovation Day Asia 2015」をシンガポールで開催した。

 Huawei Innovation Dayは社会を含むイノベーションエコシステム推進を目的として、各地域の政府関係者や有識者などを招いて開いているイベントだ。これまで3回ヨーロッパで開催され、今回初めてアジアパシフィック地域で開催された。共催はNUS(シンガポール国立大学)。

 前回はドイツのミュンヘンで「インダストリー4.0」がテーマだったが、今回のテーマは「スマートシティ」。地元であるシンガポールの「スマートネーション」や、インドネシアのバンドン市の取り組みが、政府関係者などにより語られた。

 ウェルカムスピーチに立った、ファーウェイのアジア太平洋地域担当プレジデントであるリ・ジングォー氏は「経済の発展にともない情報も発展している。ファーウェイは次の世代のコミュニケーションを向上させようとしている。IoTに代表される新しい活用により新しい産業が構築される。スマートネーションを推進するシンガポールで、スマートシティにどのように適用できるかを探りたい」とイベントの背景を説明した。

 イベント中のパネルディスカッションでは、「アジア特有の事情とは」という問いに、「アジアでは政府によるリーダーシップのもとで、官民共同のイノベーションがなされる。そこがシリコンバレーとの違いだ」という意見も出た。

Huawei Innovation Day Asia 2015
ファーウェイ アジア太平洋地域担当プレジデント リ・ジングォー氏

土地や資源の問題をイノベーションで解決 ~シンガポール

 開会あいさつには、シンガポール 貿易産業相のS・イスワラン氏が登場した。氏はシンガポールの事情として、土地などの資源が限られていることを挙げる。その中で人口が増えていって深刻化する交通渋滞や電力不足などの問題について、「常にイノベーションで解決する」と語った。

 その例として、交通渋滞を解消するためのロードプライシングを挙げた。シンガポールでは市街地の通行料金を徴収することで交通量を減らすロードプライシングを導入しており、1998年からは電子化されたERP(Electronic Road Pricing)が採用されている。そのほか、都市のシミュレーションや、国を挙げて2017年までに2500人のデータ専門家を育成するという活動などを紹介した。

シンガポール 貿易産業相 S・イスワラン氏

 ICT関連の実際の取り組みについては、シンガポール首相府 スマート・ネーション・プログラム事務所所長 タン・コック・ヤム氏が、「Ask right questions(課題設定)」「Support creative process(クリエイティブなプロセスのサポート)」「Create space for experiments(実験)」「Prepare to/for change(変革)」の4フェーズに分けて解説した。

 サポートの例としては、産・官・学複合施設「フュージョンポリス」における、R&Dやスタートアップ企業のインキュベーションの活動を紹介。そのほか、オープンデータやサイバーセキュリティについても触れられた。

 また、実験としては、ジュロン地区での実験に始まる自動運転車や、その公道での実験を紹介した。

シンガポール首相府 スマート・ネーション・プログラム事務所所長 タン・コック・ヤム氏
サポート。産・官・学複合施設「フュージョンポリス」におけるR&Dやインキュベーション
実験。自動運転車など
変革。法、組織、文化

(高橋 正和)